2022年7月31日(日)

 再登場した韓国で「金正恩の異母姉」と噂される「謎の女性」

7月27日の「戦勝節」記念行事に姿を現した「謎の女性」(朝鮮中央テレビから)


 金正恩(キム・ジョンウン)総書記の異母姉ではないかと騒がれていた「謎の女性」がまた、現れた。平壌で開かれた7月27日の「戦勝節」記念行事にその姿が確認されたのである。

 朝鮮中央テレビの映像をみると、平壌の祖国解放戦争勝利記念塔の前で行われた記念式典に李雪主(リ・ソルジュ)夫人同伴で出席していた金総書記に子供が花束を渡していたが、この女性は金総書記の後ろでその様子を見守っていた。

 金総書記の儀典を担当するのは実妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長とモランボン楽団の元歌手・玄松月(ヒョン・ソンウォル)党副部長の2人だけである。与正氏は近くにいたのでこの女性は玄副部長に代わって金総書記を補佐していたようだ。

 この女性が初めて公の場に出てきたのは労働党初級書記大会が開催された今年2月26日のことである

 この日はひな壇で金総書記に演説文を差し出す場面が朝鮮中央テレビに映し出されていたが、日韓のメディアの目を引いたのは金総書記が北朝鮮の名物アナウンサーの李春姫(リ・チュンヒ)さんに高級住宅をプレゼントした4月13日の平壌市内の高級住宅地区竣工式に現れてからである。他の二人の女性とは異なり、意外にも全国民に義務付けられている金日成(キム・イルソン)・金正日(キム・ジョンイル)バッジを胸に着けていなかったのである。

 北朝鮮でノーバッジが許されるのは唯一、金正恩・李雪主夫妻だけである。妹の与正副部長も欠かさずバッジを着けている。しかし、 この女性は李夫人同様にバッジの代わりに左胸にブローチを着けていただけであった。

 単なる付き人なのか、それとも与正氏と同じ身内なのか?女性の身元に大いなる関心が払われたが、そのことを意識したのか、朝鮮人民革命軍創建90周年を記念して4月25日に行われた軍事パレード及びパレード後に開かれた宴会の場ではバッジを着けて登場していたものの、しばらくは公の場から姿を消していた。

 韓国の一部脱北者の間ではこの女性は金総書記の異母姉の金雪松(キム・ソルソン)ではないかと囁かれている。韓国のメディアの中には「金雪松」と断定していたところもあった。

 故金正日前総書記はマレーシアで殺害された長男・金正男(キム・ジョンナム)の実母、元女優の成恵琳(ソン・ヘリム)と別居後、1973年に父・金日成主席の勧めもあって党宣伝部でタイピストをしていた金英淑(キム・ヨンスク)という名の女性と結婚したが、翌年の1974年12月30日に生まれたのが金雪松である。この「謎の女性」が金雪松ならば、異母弟よりも10歳年上である。

 金正日前総書記は2011年12月17日に心臓発作で急死したが、亡くなる2か月前に「10.8遺訓」と呼ばれている遺訓を残していたが、その中に「雪松」について以下のような記述がある

 「正恩の補助者として準備させ、支えてあげること。また、国内外のすべての資金管理は(叔母の)金慶姫(キム・ギョンヒ)が行い、慶姫ができない場合は、雪松が引き受けること」と書かれてある。

 この女性が本当に金松雪ならば、異母妹の与正氏と同等の力があっても不思議ではない。もしかすると、それ以上かもしれない。

 仮に一族ではなく、玄松月副部長の代行だとしても、それ相応のポストにあるわけだからもうそろそろ身元が確認されてしかるべきだ。

 韓国情報当局の対北情報能力は一般に考えられているよりはるかに高いレベルにあると言われている。有線・無線電話の探知能力も相当なものだ。しかし、今もってこの「謎の女性」については特定できないでいる。金総書記の儀典を担当していること以外は何一つわからないのである。

(参考資料:「金正恩の付き人」の女性は何者? 異母姉か? 韓国メディアも騒ぎ出す!)