2022年3月7日(月)

 韓国大統領選挙 僅差で与党、大差で野党? 李候補は1.5%、尹候補は8%の差で勝利を確信!

与党の李在明候補と野党の尹錫悦候補(両陣営のHPから筆者キャプチャー)


 与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)候補の一騎打ちとなった韓国の大統領選は投票日(9日)まで残り2日に迫った。

 先週末(4日〜5日)に行われた期日前投票は有権者4419万7692人のうち1632万3602人が投票し、投票率は過去最高の36.9%を記録した。

 選挙委員会ですら予測できなかったこの異常現象は急速なコロナ感染拡大で有権者が投票日を分散したことや投票率のアップは有利になるとみて各陣営ともに積極的に呼び掛けたことによるものだが、その結果については面白いことに各陣営とも「我が方に風が吹いているからだ」と自己評価している。

 期日前投票ではメディアによる出口調査が禁じられているので今回の期日前投票がどちらの候補に有利に作用したのかは不明だが、世論調査では苦戦が伝えられている李候補陣営では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が当選した前回の大統領選挙(投票率77.2%)で期日前投票が26.1%と高かったことや圧勝した2020年の国会議員選挙(投票率66.2%)でも26.7%に達していたこと、逆に文在寅氏が朴槿恵(パク・クネ)前大統領に挑んで敗れた前々回の大統領選挙(投票率75.8%)は11.5%と低かったことから「我が方に有利」と気を良くしている。

 特に与党の政治地盤である全羅南道で51.4%、全羅北道で48.6%、光州で48.3%と、全国平均よりもかなり高く、1位から3位まで占めていたことに注目し、野党の一本化に危機感を抱いた全国の与党支持層が結集した現れと受け止め、選対本部の金泳鎮(キム・ヨンジン)総務本部長は「高い事前投票率は野党候補一本化への反作用である」と断じていた。

 これに対して尹候補陣営では事前投票が高かったのは野党を支持する若い有権者が投票場に大挙駆け付けた結果であり、全羅道の高投票率も尹候補や李俊錫(イ・ジュンソク)「国民の力」代表が何度も全羅道、光州に足を運び遊説した賜物であるとみており、全体として「野党候補一本化で政権交代の可能性が高まったことへの民意の表れである」と歓迎している。

 特に尹陣営では李候補が知事をしていた京畿道の投票率が全国で最低だったことは李候補の宅地開発疑惑や夫人の公私混同・公金流用などで「政治不信を招いた結果である」として「李候補は国民から支持を得られていない」と分析している。

 与野党の現状分析では李候補陣営では禹相虎(ウ・サンホ)総括選対本部長が「1.5%の差で勝つ」と読み、また、姜勲植(カン・フンシク)戦略本部長は昨日、某メディアとのインタビューで「3%程度の差で勝つ」と予測していた。

 仮に禹選対本部長の読み通りならば、金大中(キム・デジュン)大統領が1.5%(約40万票)の僅差で当選した第15代大統領選挙(1997年12月)の再現となる。

 一方、尹候補陣営では李代表が「尹候補が6〜8%の差を付けて勝つとの世論調査結果が出ているが、もっと差が付くのでは」と、尹候補の圧勝を確信していた。

 李代表は「全羅道の投票率が高かったことで25%〜30%の得票も夢ではない」と自信を深めているが、保守にとっては全羅道・光州は「不毛の地」で第13代(1987年12月)から第19代(2017年5月)までの過去7回の大統領選挙での光州での得票率は2012年の第18代大統領選での朴槿恵候補の7.7%が最高だった。

 仮に尹陣営の予測通り8%の大差を付けての圧勝ならば、金泳三(キム・ヨンサム)大統領が金大中候補に8.1ポイント(約193万票)の差を付けて圧勝した第14代大統領選挙(1992年12月)の再現となる。

 なお、「選挙勝利請負人」で知られている金鍾仁・前「国民の力」総括選対委員長は中央日報(4日付)とのインタビューで「尹候補が勝つならば4〜5ポイントの差で、李候補が勝つならば2ポイントの差で」と予測していた。