2022年11月1日(火)

 米韓に北朝鮮が警告! 軍事挑発を仕掛けるならば「強化された次の段階の措置」を取る!

7月に行われた戦闘機による米韓合同飛行訓練(韓国空軍提供)


 北朝鮮が昨日、外務省スポークスマン談話を出して、連日、陸海空で合同軍事演習を続けている米韓に対して警告を発していた。

 北朝鮮は談話で10月17日から28日まで実施された大規模野外機動訓練「護国演習」と昨日から始まった歴代最大規模の空中飛行訓練「ビジラント・ストーム」などの米韓軍事演習によって「朝鮮半島情勢は再び重大な強対強の対決局面に入った」との認識を示していた。

 陸海空の合同野外機動訓練「護国演習」では陸上ではアパッチヘリが、海上ではイージス駆逐艦と護衛艦など艦船20数隻と海上哨戒機が、そして空ではF―15など戦闘機が投入され、訓練が行われた。また、特殊部隊を乗せ、西北諸島及び西海岸に高速浸透する訓練も行われ、夜間にも前線地域で砲撃訓練を含めた訓練が実施された。

 米韓空軍の戦時連合航空作戦遂行体系を検証する「ビジラント・ストーム」は2017年12月以来最大規模で行われる。

 韓国軍はF-35AやF-15Kなど戦闘機140機、米軍はFー35B,EAー18電子電機、Uー2高高度偵察機、Kー135空中空輸機、F−16など100機を参加させるほか、岩国からもFー35Bステルス戦闘機も加わる。今年7月にもアラスカ州からFー35B6機を朝鮮半島に展開させ、米韓合わせて30機が合同訓練を行ったが、今回はそれをはるかに上回る規模で行われる。

 F―35BはF−35Aとは異なり垂直離着陸が可能で空母からの運用が可能である。また、この演習には北朝鮮のレーダーを無力化させ、地対空ミサイル攻撃を妨害し、防空網を焦土化させるEA−18Growlerも投入されるが、朝鮮半島での展開は極めて異例である。さらにグアムからBー1戦略爆撃機も5年ぶりに投入される予定である。

 別名「死の白鳥」と呼ばれているBー1戦略爆撃機は核兵器を搭載していないもののGBUー31とGBUー38など合同直撃弾、長距離空対地ミサイル「JASSM」など在来式兵器で930km離れた場所から北朝鮮の核心施設を半径2〜3km内で精密打撃が可能である。「爆弾の母」と称されているGBUー43や地下60メートル攻撃可能なGBUー57も搭載しており、これら在来式爆弾だけで平壌の指揮所や地下バンカー、核ミサイル基地を焦土化できる。

 こうしたことから北朝鮮は米韓合同軍事演習は「朝鮮半島有事の際、我が国の戦略的対象を打撃するのに基本目的を置いた侵略型戦争演習である」と断じ、さらに4月の「連合指揮所訓練」によって本格化した米韓合同軍事演習が8月は「ウルチ・フリーダム・シールド」大規模野外機動訓練に、9月と10月は原子力空母打撃団が動員された大規模連合海上訓練と史上最大規模の連合空中訓練に拡大したことは「我が国に反対する米国の核戦争シナリオが最後段階に入ったことを如実に示している」と、警戒感を示していた。

 また、米国は「大規模上陸訓練や斬首作戦のような北朝鮮の領域と縦深を占領するための演習を行っている」と非難し、バイデン政権が国防省の核戦略指針で「北朝鮮が核を使用すれば、金正恩政権は終焉する」と威嚇したことについても「我々に対する武力使用を謀る場合、自分らも対等な代償を払うことになるということを(米国は)覚悟すべきである」と反発していた。

 外務省代弁人談話は最後に「我々は外部の軍事的威嚇から国家の自主権と人民の安全、領土保全を守り抜くために必要な全ての措置を履行する準備ができている」として「米国が引き続き重大な軍事的挑発を仕掛けてくる場合、より強化された次の段階の措置を考慮することになるであろう」と対抗措置を示唆し、米国は「自分の安保利益に全く合致しない重大な事態の発生を願わないのならば、演習を直ちに中止すべきであり、そうしない場合、今後招かれる全ての悪結果に全責任を負わなければならないであろう」と警告を発していた。

 「より強化された次の段階の措置」の中身については触れていないが、「米国の安保利益に全く合致していない事態」と言っているところから米国をターゲットにした長距離弾道ミサイルの発射あるいは7度目の核実験の可能性が考えられる。

 「ビジラント・ストーム」は今月8日まで実施されるが、仮にBー1戦略爆撃機が投入されれば、過去のケースからして北朝鮮が対抗措置を取る公算は極めて高い。

 「B−1B」が2016年9月にグアムから飛来し、韓国上空でデモンストレーション飛行した際には李容浩(イ・ヨンホ)外相(当時)がベネズエラで開かれた非同盟閣僚会議で「我々には戦略爆撃機を投入した米国の挑発に対抗するため新たな攻撃を開始する準備ができている」と「報復」を示唆していた。

 また、翌年の2017年8月にグアムから飛んできた時には北朝鮮の弾道ミサイル運用部隊である戦略軍が報道官声明を出して「米帝の侵略装備を制圧、牽制するための強力かつ効果的な行動案を検討せよ」との金正恩(キム・ジョンウン)総書記の指示を受け、中距離弾道ミサイル「火星12」によるグアム周辺への包囲射撃を予告していた。

(参考資料:危険な南北のチキンレース! エスカレートする韓国軍と北朝鮮軍の「威嚇戦闘飛行」と「砲撃合戦」)

(参考資料:第2次朝鮮戦争勃発に向けて時計の針が動いた!@)

(参考資料:第2次朝鮮戦争勃発に向けて時計の針が動いた!A)