2022年10月12日(水)

 北朝鮮がミサイル発射の写真を操作!? 韓国メディアが相次いで報じる!

北朝鮮が9月25日に貯水池から発射したミニSLBM(労働新聞から)

 北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち合いの下、9月25日から9月10にかけて行った7回のミサイル発射の写真を約40枚労働新聞に掲載していたが、公開された写真の一部に保守紙「中央日報」など複数のメディアから偽造の疑いが指摘されている。

 24時間のニュース放送で知られている韓国のケーブルテレビ「YTN」は「北朝鮮 ミサイル打撃写真再活用疑惑…1月の写真を活用か」との見出しを掲げて、北朝鮮が公開した戦術核運用部隊の訓練写真の一部が「過去の写真を再活用したものと推定される」と報じていた。

 北朝鮮は1月27日午前8時と5分後の8時5分頃に日本海に面した咸鏡南道・咸興付近から移動式発射台を使って日本海に向けて戦術誘導ミサイル「イスカンデル」改良型を2発射したが、翌28日に朝鮮中央テレビは「発射された2発の戦術誘導弾は目標の島を精密打撃した」として、日本海上にある「卵島」と推定される島が爆撃の炎と閃光に包まれた写真を公開していた。

 北朝鮮は9月25日に西北部の平安北道・泰川の貯水池から「模擬の戦術核弾頭を搭載したミサイルの発射訓練を行った」として10付けの労働新聞に発射写真とミサイルが島に命中した写真を掲載していたが、TNTはこの命中写真が今年1月28日に公開された写真と「角度や爆発閃光の形状だけでなく、島周辺の波の形も類似している」と疑問を呈していた。

 「TNT」また、10月8日に戦闘機150機を動員して実施された大規模な航空攻撃総合訓練についても「多少誇張されている」として「訓練に動員された戦闘機の一部が思うように離陸できず、非常着陸し、強いては墜落した機体もあるとの疑惑が指摘されている」と伝えていた。

「大規模航空攻撃総合訓練」と称された空軍の訓練(朝鮮中央通信から)

 「中央日報」もまた、「北朝鮮 ミサイル打撃 写真再活用・・・1月の写真とそっくり」の見出しを掲げ、軍関係者の「北朝鮮がその写真に正確な説明を付けていないためどのような意図でその写真を使ったのか分からないが、過去の写真と同じように見える」とのコメントを載せ、「1月28日の写真が再使用されたものと推定される」と報じていた。

 写真偽造疑惑をスクープとして報じたのは「北朝鮮 ミサイル発射写真操作?・・・1月と10月の爆撃場面がそっくり」との見出しを掲げた「ソウル経済」で、同紙は2枚の写真を独自に分析し、「火炎に包まれた場面の写真が今年1月28日に対外的に公開された自称『地対地戦術誘導ミサイル』の試射写真と比較して、細部から構図全体まで同一である」と指摘していた。

10月10日(左)と1月28日の写真(労働新聞と朝鮮中央テレビから)

 同紙は「どちらの写真も『卵島』を打撃するミサイルの飛翔角度が入射角で約46〜47度になっており、打撃に伴う炎や閃光の形も大きさも同じだった」とし、また「島を上空から取った写真の構図と背景サイズもほとんど違いがなかった。島にぶつかり白く上昇する波の形や大きさも、見分けがつかないほど似ていた」との分析結果を伝えていた。

 同紙は「あえて2つの写真の違いがあるとすれば、1月の写真が少し明るくてカラフルであるのに対し、今回の写真はやや全体的に暗くて色がぼやけていることであることである」としているが、これについては「実際は同じ写真のように見えるが、(編集過程で)コントラストを変えたようだ」とのある写真専門界の推測を紹介していた。

 韓国(合同参謀本部)は9月25日に泰川から発射されたミサイルを「移動式は発射台から発射された地対地戦術弾道ミサイルで、「高度60km、飛距離600km」と発表し、日本(防衛省)は「通常の弾道軌道だとすれば、約400km程度飛翔し、落下したのは、北朝鮮東側の沿岸付近である」と発表していた。泰川から「卵島」までの距離は約400kmなので、韓国の発表とおり、600kmならば10付けの労働新聞に掲載された命中写真は1月28日の写真を使った公算が大である。

 なお、10付けの朝鮮中央通信も、また労働新聞も9月25日のミサイルについては「予定された軌道に沿って東海上(日本海)の設定標的上空を飛行し、設定された高度で正確な弾頭起爆の信頼性を検証した」として、どこに命中したのかについては触れていなかった。