2023年2月19日(日)

 ICBM「火星15」をミサイル部隊が実戦に備え発射!性能は「火星17」並み

ICBM「火星15」(朝鮮中央テレビから)


 北朝鮮が昨日午後5時台に発射したICBMは「火星17」ではなく、「火星15」だったと、今朝、朝鮮中央通信が報道していた。

 防衛省が飛行時間約66分、最高高度約5700km、飛行距離約900km、と発表していたことから、昨年11月18日に発射されたICBM「火星17」が約69分飛行し、最高高度が約6100km、飛行距離が約1000kmあったことから同型と推定されていたが、違っていた。

 よくよく考えると、昨年何度も発射テストが繰り返されていた「火星17」は昨年11月18日の発射を持って「完成した」ことになっており、実際にそれから3カ月間で11基を生産し、先の軍事パレードでお披露目したわけだから改めて実験する必要性はなかった。それでも再発射するならば、パレードに初めて登場し、行進していた長距離弾道ミサイル部隊が実戦に向けてテスト発射したのかもしれないと推定していたが、これはどうやらあたったようだ。

 今朝の朝鮮中央通信の報道をかいつまんで整理するならば、北朝鮮が昨日、ICBMを発射した狙いは以下の通りである。

 ▲発射訓練は、事前計画なしに2月18日の未明に下された非常火力戦闘待機指示と同日の午前8時に下達された朝鮮労働党中央軍事委員会委員長の命令書によって不意に手配された。命令書には金正恩(キム・ジョンウン)総書記の親筆尊名サインがあった。

 ▲「火星砲15」型を利用し、不意の奇襲発射訓練を通じて兵器システムの信頼性を再確認及び検証すると共に核武力の戦闘準備態勢を刻印させ、核抑止力の構成部分の正確な可動性、反応性、信頼性、効果性、戦闘性に対する確信と保証を立証して見せることにあった。 

 ▲ミサイルを発射したのは新型大陸間弾道ミサイル「火星17」型を発射した誇らしい偉勲を持っている区分隊として戦略的任務を全的に担当している区分隊の中で最も優れた戦闘力を持った火力中隊である第1赤旗英雄中隊である。

 ▲「火星15」は午後、平壌国際空港で最大射程システムで高角発射され、最大頂点高度5768kmまで上昇して989kmの距離を4015秒間飛行して朝鮮東海(日本海)の公海上の目標水域を正確に打撃し、講評で「上」に評価された。

 ▲米国と韓国の軍事的威嚇行為が看過できないほど深刻化している現在の情勢の下で不意に行われた大陸間弾道ミサイル発射訓練は敵対勢力に対する致命的な核反撃能力を不敗のものに築くための我が国の戦略核武力の絶え間ない努力の実証である同時に我々の強力な物理的核抑止力に対する徹底した信頼性の保証、疑う余地もない明白な実証となった。

 「火星15」はこれまで2017年11月29日のたった1回しか発射されてなかった。平安南道・平城から初めて移動式車両(9軸18輪)から発射され、約53分飛行し、高度約4475km、飛行距離約950kmで青森県西方約 250キロメートルの日本の経済的排他水域(EEZ)内に落下していた。

 今回発射されたのが「火星15」(2段式。全長21メートル、直径2.4メートル)ならば、飛行時間で13分、飛行距離で39km伸び、高度は実に1293kmも上昇していたことになる。「火星15」も「火星17」同様に射程15000kmと、米全土を攻撃できることを見せつけたことになる。

 今回も前回同様に「朝鮮東海の公海上の目標水域を正確に打撃した」と発表していることから最初から日本のEEZ内に落とすつもりであったことが窺える。北朝鮮は昨年12月20日に日本向けに発表した外務省スポークスマンの談話で「我々が(日本の先制攻撃能力に)どれほど憂慮し、不快に思っているのかを実際の行動で見せ続けるであろう。日本は遠からず覚えることになる身震いする戦慄を通じて、確かに間違っていてあまりにも危険な選択をしたことを自ら悟るようになるであろう」と予告していたが、実際にそのとおりのことが起きた。

 北朝鮮は今朝、金総書記の実妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長の名義による談話を発表し、「米国と南朝鮮の連中が朝鮮半島地域で軍事的優勢を獲得し、支配的地位を占めてみようとする危険極まりない欲深の野心と企図を露骨にしている」として米韓を非難していた。日本についての言及はないものの「米国の追随勢力」との表現を使い、批判していた。

 米国については特に「我々に対して敵対的ではなく、対話に開かれているというたわごとを取り止め、対話の場で時間を稼ごうとする愚かな窮策を諦め、わが国の安全を脅かす一切の全ての行動を中止し、我が国のイメージをダウンさせようとせず、自国の展望的な安全のためにも常に熟考すべきであろう」と警告し、韓国に対しても「南朝鮮の連中も、今のようにあたかも『勇敢無双』であるように、無分別に振る舞っていては結局にどんな災いを自ら招くようになるのかを考えてみる方がよかろう」と牽制していたが、いつものように韓国に対しては「最後に愚か者であるので悟らせてやるが、大陸間弾道ミサイルでソウルを狙うことはないであろう。我々は相変わらず南朝鮮の連中を相対する意向がない。」と、皮肉ることも忘れてなかった。

 北朝鮮の外務省は来月中旬に米韓が大規模合同軍事演習を実施すれば、「(米韓は)これまで見られなかった持続的で前例のない強力な対応に直面することになるであろう」と一昨日に予告していたことから7度目の核実験も含めて様々な軍事的アクションを起こす可能性が高い。昨日の「火星15」はその「本気度」を示す「烽火」のような気がしてならない。