2024年3月29日(金)

 韓国軍が「北朝鮮が近く衛星打ち上げ」と警戒! 「近く」とはいつ?

北朝鮮が昨年11月に打ち上げた軍事偵察衛星「万里鏡―1号」(労働新聞から)

 韓国軍の消息筋が昨日(28日)、韓国メディアに語ったところによると、北朝鮮の西海衛星発射場に覆いが設置されたようだ。米国の偵察衛星に捉えられることを防ぐための措置のようだが、覆いの設置は打ち上げが差し迫った兆候とされている。

 但し、この消息筋は覆いの内側での作業までは確認できないため発射時期を明確に判断することは難しいと言っている。肝心要の衛星を打ち上げる推進体(ロケット)が発射場に運ばれているのかどうか確認できないからだ。

 推進体が発射台に立てられていれば、数日内の発射もあり得るが、韓国軍は「まだ発射台には立てられない」と判断しているようだ。

 金正恩(キム・ジョンウン)党総書記は昨年12月末に開かれた党中央委員会総会で今年中に「3基の偵察衛星を打ち上げる」と公言していた。従って、目標の1基目は4月までに打ち上げるというのが韓国軍に限らず大方の見方だ。

 北朝鮮の4月の記念日を調べると、1日北朝鮮国家宇宙開発局設立日(11周年)、9日金正恩党第一書記推戴日(12周年)、13日金正恩国防委第一委員長推戴日(12周年)、14日北朝鮮科学技術同盟結成日(78周年)、15日金日成主席生誕日(112周年)があるが、昨年3度試射した初の軍事偵察衛星「万里鏡―1号」(千里馬1型)はいずれも国内の記念日と関係なく打ち上げていたので、今回も準備状況によってまた、天候を最優先させ、発射されるものと推測される。

 北朝鮮は昨年、初の軍事偵察衛星を発射した際には国際海事機関(IMO)の決議に従い、世界航行警報業務(WWNWS)上の地域別航行区域調整国である日本(海上保安庁)に事前に通報していた。今回も慣例に従って、事前通告するものとみられる。

 そこで、2度の失敗も含めて昨年発射した過去3回のケースをみてみると;

1回目は5月29日に海上保安庁に「5月31日から6月11日の間に打ち上げる」と通告し、2日後の5月31日午前6時27分に発射していた。

2回目は8月22日に海上保安庁に「8月24日から31日までの間に人工衛星を打ち上げる」と通告し、これまた2日後の午前3時50分に発射していた。深夜のミサイル発射ならば過去に何度もあったが、人工衛星の午前3時台の発射は異例だった。

3回目は11月21日に海上保安庁に「11月22日から12月1日にかけて発射する」と通告しておきながら、約3時間後の11月21日午前10時42分に奇襲発射した。

 いずれもすべて予告から2日以内に発射されている。

 但し、軍事偵察衛星ではなく、国際社会が大陸間弾道ミサイル「テポドン」と呼称していた人工衛星「光明星」の発射についてはこの限りではない。

 例えば、「光明星2号」は2009年3月13日に「4月4−8日の間に打ち上げる」とIMOに通告しておきながら、再度4月4日に「間もなく発射する」と通告し、4月5日午前11時20分に発射していた。

 失敗に終わった「光明星3号」は2012年3月16日に「4月12−16日の間に発射する」と発表し、その期間中の4月13日午前7時38分に発射していた。予告から27日目の発射だった。

 同じ年の2012年に再発射した「光明星3号―2号基」は12月1日に「12月10〜22日の間に発射する」と発表したが、発射予定日の10日になって突如「技術的欠陥が見つかったので発射予定日を29日まで延期する」と修正しておきながら実際には12日午前9時49分に発射していた。

 さらに2016年2月7日に発射した「光明星4号」も2月2日に国際電気通信連合(ITU)に「8−25日の間に発射する」と通告しておきながら、直前の6日になって「7−14日に発射する」と土壇場で変更し、翌7日午前9時に電撃的に発射していた。

 米韓による電波妨害や迎撃を警戒しているからだと言われているが、それが理由ならば、今回も予告があったとしてもフェイント掛け、予定日を変更するなどの工作があり得るかもしれない。