2024年10月21日(月)
北朝鮮の「ロシア派兵」を示す6枚の「証拠写真」
ウクライナが公開したロシア軍の装備を手にする北朝鮮兵士(「SPRAVDI」配信)
ロシアのウクライナ侵攻による「ウクライナ戦争」は一進一退を繰り返しているが、ロシアと戦っているウクライナと、北朝鮮と軍事的に対峙している韓国は連携して連日、ウクライナ戦場への北朝鮮の派兵事実を公表している。しかし、ロシアも北朝鮮当局も21日午前までこの件については沈黙したままである。
米国及びNATO(北大西洋条約機構)は「まだ確認されていない」と慎重な姿勢を崩していないが、ウクライナのゼレンスキー大統領は昨日(20日)も国際社会に向かってロシアのウクライナ侵略を支援する北朝鮮に対して断固対応するよう促していた。
ゼレンスキー大統領は北朝鮮がロシアに武器だけでなく、戦場に兵士まで送り込んでいることは「衛星写真や映像で十分に証明されている」と訴えているが、これまでにウクライナ及び韓国が示した「証拠」写真は全部で6枚に上る。
その1.北朝鮮の港に停泊しているロシア輸送艦の写真
韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は10月18日、北朝鮮兵士第1陣、約1500人が10月8日から13日までの間、ロシア海軍の上陸艦4隻と護衛艦3隻を利用し、ロシアのウラジオストク港に移動したことを明かにし、その証拠として日本海に面した清津港と咸興港に停泊していたロシア上陸艦の写真を公開。韓国の軍事偵察衛星が10月12日に捉えたもので、清津と咸興港にそれぞれ2隻停泊していた。
その2.ロシアの軍事基地に集合した北朝鮮兵士の衛星写真
航空宇宙及び防衛産業を手掛けている民間企業「Airbus」がロシア極東・ウスリースクの軍事基地前に集合している約400人の北朝鮮兵士を捉えた衛星写真を「国情院」が入手し、公開した。
ロシアの極東・ウスリースク軍事基地に集合した北朝鮮兵士(「国情院」配信)
その3.訓練を受けるため移動する北朝鮮兵士らの動画
ウクライナ文化情報政策省傘下の戦略通信情報セキュリティーセンター(SPRAVDI)はウスリースクの軍事基地内を移動する北朝鮮兵士一団を取った映像を公開した。
その4.北朝鮮兵士にロシア軍の装備を供給している内部映像
「SPRAVDI」がロシア沿海州の「セルギエフスキー訓練所」で北朝鮮兵士にロシアの軍装備が支給されている映像を公開。僅か27秒の映像には「そこを越えるな」「こっちに来い」などの朝鮮語音声が流れていた。
その5. 北朝鮮兵士への軍需品支給のための朝鮮語で書かれたアンケート
「SPRAVDI」がロシア軍による北朝鮮兵士に軍需物品を支給するためのアンケート用紙を公開。アンケート用紙には「帽子のサイズ(周囲)、体幅/軍服の寸法と靴の文書を作成してください」との文言がロシア語と朝鮮語で記されていた。
「国情院」はロシアに派遣された北朝鮮軍は戦場投入の事実を隠すために容貌が韓国人と類似したシベリアのヤクティヤ・ブラティヤ地域住民と表記された偽造身分証も発給されていると分析している。
その6.ロシア兵と肩を組んでいる北朝鮮ミサイル技術者の写真を公開
「SPRAVDI」は東部ドネツク州付近の北朝鮮製短距離弾道ミサイル「KN23」の発射場でロシア人とおぼしき兵隊に肩を組まれていた東洋人の写真を公開したが、「国情院」による人工知能(AI)顔面認識技術の分析の結果、金正恩(キム・ジョンウン)総書記がミサイル開発のキーマンでもある金正植(キム・ジョンシク)党第1副部長を引き連れ、昨年8月11〜12日にかけて戦術ミサイル生産工場などを訪れた際に後方にいたミサイル技術者と同一人物であった。
ウクライナの戦場に現れた軍人(左)と北朝鮮ミサイル技術者(「国情院」配信)
軍需部門を担当している金正植第1副部長は将校数十人を引率し、モスクワで開かれた国際軍事技術フォーラムに出席するため8月13日に平壌を出国し、2週間近くロシアに滞在していたが、「国情院」は一行が「KN23」の発射場を「複数回にわたって訪れていた」と発表している。