2025年4月17日(木)

 北朝鮮のビールはそんなに美味しいのか?

北朝鮮のビアーガーデンと大同江ビール(「今日の朝鮮」から)

 北朝鮮が故金日成(キム・イルソン)主席の生誕日を記念し、4月6日に平壌で6年ぶりに開催した国際マラソンには46か国から約200人のマラソンランナーが出場したようだ。参加国数に限っては五輪マラソン並みだ。

 マラソン大会後にランナーや観光客らは国別に、あるいはグループ別に分かれ、宿舎のレストランで、あるいは市内のビアーガーデンなどで酒盛りをやったようだが、ビール党の間で「幻のビール」と称されている北朝鮮のビールをおそらく賞味したのではないだろうか。

 北朝鮮には「平壌ビール」や「金剛ビール」、「鳳鶴ビール」それに大麦だけでなく白米も使用する「龍城ビール」などの銘柄がある。また経済特区に指定されている中露との国境都市、羅先にも「豆満江ビール」などがあるが、何と言っても一番人気は麦と米を配合した「大同江ビール」であろう。

 大同江ビール工場は廃業した英国のアッシャーズビール工場の設備を購入し、ビールの本場、ドイツ人の協力を得て、金正日(キム・ジョンイル)政権下の2002年4月15日の金日成主席生誕90周年に建設され、生産段階に入った。製造工場が平壌市の中心を流れる延長439kmの大同江(テドンガン)の近くにあることから「大同江ビール」と名付けられた。

 「大同江ビール」は8種類あり、一昨年12月に糖質を抑えた低カロリーの新商品が開発され、中国に輸出されている。現在、「大同江ビール」が飲めるのは北朝鮮を除くと中国だけだが、ベトナムなど東南アジアにある北朝鮮レストランには置いてあるようだ。

 北朝鮮は外国への輸出に向け「大同江ビール」のPRに力を入れ、一時は2009年頃に国営テレビ「朝鮮中央テレビ」にTVコマーシャルが流れたこともあった。

 「大同江ビール」の直営店「大同江ビアーホール」は平壌だけで約200店舗が運営され、平日は15時から、日曜日は12時から営業し、勤労者や市民らで賑わっているようだ。「コロナ」前までは毎年、大同江ビール祭りが行われていたそうだ。

 北朝鮮に対する韓国の独自制裁が発動するまでは韓国にも輸入され、「韓国のよりもうまい」と絶賛していた。実際に韓国のメディアも「夏には大同江ビールが最高に合う」(中央日報)などと持ち上げていた。日本人旅行者の間でも「アサヒスーパードライと遜色がない」と評価されていた。

 韓国の代表的なビールはビール市場で13年連続不動の1位の座にある「OBビール」だが、「OBビール」の主力品「CASSフレッシュ」は国内市場の40%を占める「国民ビール」として知られているが、国際的評価では「大同江ビール」よりも低いようだ。

 今から十数年前に英国の経済誌「エコノミスト」にソウル特派員が書いた「北朝鮮の大同江ビールよりもおいしくない韓国のビール」という見出しの記事が当時、韓国のビール業界に衝撃を与え、それ以来、ビール業界は品質改善を図ってきたが、国際的評価は依然と低いようだ。

 韓国大手紙「朝鮮日報」系列の経済専門メディア「Chosun Biz」(4月2日付)が世界的ビール専門評価サイト「ビールアドボケート(BeerAdvocate)」と「アンタップト(Untappd)」レビューを分析した結果、「CASSフレッシュ」は「ビールアドボケート」の評価では100点満点のうち61点だった。60点台は「推薦に値しないビール」とみなされている。

 ちなみに米国のあの「バドワイザー」57点、オランダを代表する「ハイネッケン」は65点、中国1番人気の「青島」は66点だったが、「大同江ビール」はなんと、75点を獲得していた。

 北朝鮮と言えば、国際社会では「核」と「ミサイル」そして「金正恩」しか一般的には知られていないが、仮に国連安保理の制裁が解かれ、北朝鮮が貿易と観光客誘致を本格的に進めれば、「大同江ビール」は北朝鮮を代表する「名産品」になるかもしれない。