2025年4月18日(金)

 大人びてきた「金正恩の娘」はやはり後継者か

雛壇中央の金正恩総書記と娘の「ジュエ」(朝鮮中央通信)

 「ジュエ」と呼ばれている金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘が4月15日、平壌市内の和盛地区第3段階1万世帯住宅の竣工式に出席していた。

 娘は2013年生まれでまだ12歳だが、容姿も身なりも随分と大人びてきた。

 娘は1万世帯住宅の竣工前の4月3日に父親が視察した際にも随行していたので娘がこの日も現れることは予想できた。

 しかし、今回も前回同様に北朝鮮の報道機関は娘が随行していたことを言及しなかった。「朝鮮中央通信」には「朴泰成(パク・テソン)内閣総理をはじめとする党と政府の幹部と内閣、武力機関、省、中央機関の幹部、建設者、平壌市内の勤労者が竣工式に参加した」とだけ報じられていた。

 昨年10月10日の朝鮮労働党創建79周年慶祝宴を最後に「金総書記が愛するお嬢様と共に姿を現した」の報道は消えてしまった。

 実際に10月31日に大陸間弾道ミサイル「火星19」の発射に立ち会った時も12月29日に葛麻海岸観光地区を視察した時も、また今年1月1日に平壌のメーデースタジアムで新年慶祝公演を観賞した時もその種の報道はなく、写真のみ公開されていた。

 報道したり、しなかったりの摩訶不思議な現象は北朝鮮が内外の目や評判を気にし、後継者としての「娘」の取り扱いに極めて慎重になっていることの表れなのかもしれない。

 今回は配信された43枚のうち雛壇で父親の右側に立っている写真や祝賀公演を観ている写真、手を繋いでいる写真を含め父親と一緒に移っている写真が13枚もあった。

 また、その後、朝鮮中央テレビが放映した約40分の映像には会場を立ち去る際に父親が先に娘を車に乗せる場面も映し出されていた。特筆すべきは、公演鑑賞中に娘だけに焦点を合わせたというか、クローズアップした場面が何カ所かあったことだ。娘が単独で映し出されたのは初めてのことである。

 娘が建国の父である金日成(キム・イルソン)主席の生誕日である「太陽節」関連行事に出てきたのもこれが初めてである。どうみても、金総書記は国民に娘が後継者であることを吹き込もうとしているようだ。

 折しも、韓国統一部傘下の国立統一教育院は昨日、学校や市教育委員会に配布される国民向け統一教育指針書として「2025年 北朝鮮理解」を発刊していたが、娘について露出度や礼遇からして「金正恩政権の4代世襲の可能性が高いとみられている」と記述していた。

 どうやら韓国の方が先に感化、洗脳されてしまったようだ。