2025年4月26日(土)
統一教会が尹錫悦前大統領夫人に贈ったダイヤのネックレスはカンボジア利権絡み?
スペインを訪問した時の金建希夫人(「JPニュース」)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が罷免、失職し、政権の座から転がり落ちるや尹夫妻にまつわる風聞が次から次に出てきた。
その一つが、数日前から韓国のTV「MBC」と「JTCB」が競って報じている統一教会と尹大統領夫妻との浅からぬ関係である。
「MBC」と「JTCB」は尹政権に批判的な報道で知られているが、奇しくも同じ22日に「MBC」は「尹錫悦―統一教会 単独面談の斡旋?・・・『暗黙の了解があった』」の見出しを掲げ、また「JTCB」は「『金夫への贈り物』・・・易者に『ダイヤモンドネックレス』を贈った統一教会」の見出しを付け、それぞれ1報を伝えていた。
「JTCB」は翌23日にも「クリスチャンディオールバックの20倍『物議のネックレス』波長・・・金女史の捜査不可避」の見出しの下、続報を流していたが、「MBC」も負けじと、昨日(25日)、「単独面談とダイヤ・・・統一教、易者を通じてカンボジア事業の特恵を企図?」と、統一教会が高額のネックレスを金夫人にプレゼントした謎に迫っていた。
このスキャンダルの発端は検察が前回の大統領選挙で尹錫悦陣営の選挙対策本部で活動していたいわゆる巫俗の「乾真法師」として知られる易者、チョン・ソンベ氏と尹夫妻との関係を調査している過程で明るみに出たことによる
検察が家宅捜査で押収した易者の携帯電話から統一教会の関係者から送られたとみられる札束の写真とともに不動産開発プロジェクトについて話しあったような状況が捕捉された。また、その統一教会の関係者が当時、教会NO.2だった尹英鎬(ユン・ヨンホ)世界本部長だったことも判明した。
さらに調査を進めると、尹世界本部長が2022年5月に開かれた統一教会創立記念行事で尹前大統領の名前を突然持ち出し、「3月22日に大統領当選者にお会いしました。1時間1対1で話しました。多くのことを話しました」と語っていたこと、具体的には「朝鮮半島サミットと今後、この国が進むべき方向について話しあい、暗黙nの了解を求めた」と語っていたことも明らかになった。
しかし、尹本部長はこの時点では「暗黙の同意」が何かを明らかにしなかったが、直ぐにも政府関係者と会うことになった」と述べ、後続の協議があることを示唆していた。
尹本部長と易者は尹錫悦大統領選挙キャンプが発足した2021年12月から連絡を取り合っており、検察は易者が尹本部長から数億ウォンの紹介料を受け取り、尹前大統領とのプライベートの会談を斡旋したとみている。
検察は易者が尹本部長から「金夫人への贈り物」として6000万ウォン相当のダイヤモンドネックレスを受け取ったことを確認しているが、易者は検察に「ネックレスを受け取ったが、それを紛失し、金夫人に渡さなかった」と述べている。
金夫人は2022年6月、NATO首脳会議の開催地、スペインに高級ブランド「ヴァンクリーフ&アーペル」の6000万ウォン台の高価なネックレスを身に付け現れ、韓国国内で物議を醸したことがあった。当時、夫人は「知人からの借り物」と答えていたが、検察は統一教会が贈ったものとは別物とみているようだが、価格は同じだ。
統一教会が易者に仲介料を払い、さらには金夫人に6000万ウォン相当のネックレスをプレゼントした理由について「MBC」は25日の放送で「統一教会がカンボジアでの開発事業を請託しようとしたのではないかとの疑惑が持ち上がっている」と伝えていた。当時、統一教会はカンボジアで事業を推進しており、同じ時期に政府はカンボジア協力基金を大幅に増額し、尹前大統領もカンボジアを訪問していたからだ。
ここでは「MBC」の報道をそのまま引用する
「当時、統一教会側はカンボジアのメコン川近くに『アジア太平洋連合本部』の建設を進め、偶然にも政府は2022年6月にカンボジアに対する対外経済協力基金の借款支援限度額を7億ドルから15億ドルに大幅に引き上げていた。政府の支援が増えれれば、ODA事業の規模も拡大し、その分統一教会が財政支援を受ける可能性も高まる。支援を増額した同年11月、尹前大統領夫妻は東南アジア歴訪のためカンボジアを訪れていた」
「MBC」の報道によると、尹大統領のカンボジア訪問直後の2022年12月17日、尹前本部長は易者にテキストメッセージを送り「一緒に大きな絵を描きましょう」「韓国産業銀行なども不動産開発ローンの議論の対象になるかもしれない」と述べていた。そして、翌年の2023年5月、ODAを活用した統一教会の発展計画が具体化された。
「MBC」によると、尹前本部長は2023年5月に「メコン平和公園プロジェクトは実質的に建設に向けてすでに壮大な航海が始まっている。国家単位ODA年代プロジェクトとして行われるこの事業は・・・・」と語っていたそうだ。
検察は大統領との面談後、尹前本部長が2022年12月頃、不動産開発事業に言及し、「韓国産業銀行とも話しをすることになる」との趣旨の発言を行い、易者は与党「国民の力」の尹漢洪(ユン・ハンホン)議員との親交を引き合いに出し「尹議員ならば解決できる」と答えていた状況を把握している。
慶尚南道の馬山出身の尹漢洪議員は2022年の与党の大統領予備選挙では尹大統領支持に回り、尹大統領当選後の政権引き継ぎ委員会では青瓦台改革TFチーム長として大統領府の竜山移転を推し進めたことで知られる、尹大統領の側近の一人で、「孟太均(ミョン・テギュン)事件」の主役である孟太均氏に尹大統領夫妻が選挙に介入している証拠となる録音テープを流さないよう口止めをした当事者である。
韓国産業銀行の釜山移転は尹前大統領の大統領選挙時の公約であり、偶然にも尹漢紅議員は韓国産業銀行を担当する国会政務委員会の与党の幹事を務めていた。
なお、統一教会側は「尹前本部長と尹前大統領との対面についてはわからず、尹前本部長は2023年以降、教会を去っている」と説明している。