2025年4月6日(日)

 ニューヨーク?かと勘違いする平壌の豹変ぶり 平壌国際マラソン大会を機にPR

1万世帯の住宅が建される和盛地区第3段階区域(朝鮮中央通信から)

 北朝鮮が昨年11月に国連制裁の最中5年ぶりに「国際見本市」を開催したのに続き、今日4月6日、北朝鮮の首都、平壌で世界陸上競技連盟認定の「第31回平壌国際マラソン」が開催される。新型コロナウィルスが感染拡大した2019年以来、6年ぶりの開催となる。

 北京にある北朝鮮旅行専門会社「高麗ツアーズ」を通じてエントリーした外国人ランナーの第1陣は4月3日に、第2陣は5日に北京を出発し、平壌入りしている。「高麗ツアーズ」が募集した5泊6日のツアーは日本円で約34万円。1国につき男女2名の招待選手限っては航空券も宿泊費も主催者の北朝鮮が負担することになっている。

 「高麗ツアーズ」はカナダ、イラン、中国など45カ国から参加申請があったと発表していたが、今朝の「朝鮮中央通信」によると、中国、エジプト、エチオピア、タイ、英国、ルーマニア、モロッコなどからマラソン愛好家らが平壌に到着している。

 米国と韓国、そして4年前に国交を断絶したマレーシアの3か国には入国規制措置が取られているが、日本人は規制対象外となっているものの日本の外務省から渡航自粛要請が出ており、現在のところ、日本人の入国者は確認されていない。最後のマラソン大会となった2019年の「第30回大会」では約900人が出場していたが、その中には少数ながら日本人も含まれていた。

 マラソンコースはこれまでと同じで10万人収容の金日成競技場をスタート地点に、紋繍通り、平壌大劇場、未来科学者通りなど平壌の主要地点を回って金日成競技場に戻るコースとなっている。

 平壌滞在中は自由行動は規制され、ガイドの許可なく勝手に写真を撮ることも許されない。北朝鮮が提示した観光コースに従って行動することになるが、北朝鮮は市内の観光コースに6年前に訪れた時にはなかった新たな通りを見せ、平壌の発展ぶりをPRするようだ。

 北朝鮮は2021年1月に開かれた労働党第8回大会で5か年経済計画を打ち出し、「住宅問題を解決するため2025年までに毎年1万世帯、計5万世帯を建設する」とぶち上げ、超スピードで新たな街づくりをしてきた。

 党大会から2か月後の2021年3月23日に平壌市の松花(ソンファ)通り(地区)に1万世帯住宅建設に着工し、2022年4月11日に僅か1年で完成させた。驚いたことに高層住宅の中には近代的な80階超高層マンションも含まれていた。北朝鮮はミャンマーやタイと違って地震がほとんどないため可能なのだろう。

 続いて今度は林興通りにある和盛(ファソン)地区に同じく1万世帯住宅建設に着手し、これも1年後の2023年4月16日に竣工させ、その間、2021年4月から2022年4月の間に普通江川岸の中区瓊楼(キョンル)洞に800世帯の段々式住宅も建設していた。段々式住宅は科学者や教育者ら国家の功労者らに与えられるもので、あの名物女性アナウンサー、李春姫さんも入居している。

 近くには太陽宮殿がある和盛地区は第2段階区域で1万世帯の住宅がすでに建設され、昨年2月から第3段階区域で新たな住宅建設が始まり、来週の4月15日の金日成(キム・イルソン)主席の生誕日に合わせて竣工される予定である。

 テープカットを前に金正恩(キム・ジョンウン)総書記が先月、第3段階の住宅建設場を視察していたが、その際北朝鮮のメディアは「1年という短期間に超高層・高層住宅と教育、商業およびサービス施設などの公共建築が理想的に調和したもう一つの人民の幸せの住処が壮観をなした」と伝えていたが、金総書記もまた「社会主義文明開化の素晴らしい景観をなした和盛地区の変革ぶりを感慨深げに俯瞰していた」ようだ。

 内装やガス、水道、電気などのインフラ設備がどこまで整っているのか確かめようがないが、街並みの写真を見る限り、平壌に限っては外見上、年々変貌していることは間違いなさそうだ。

 北朝鮮当局は平壌国際マラソンを機に高層住宅が立ち並ぶ通りを大々的にPRするのではないだろうか。