2025年8月12日(火)
金総書記が軍事訓練に異例の欠席 バカンス中?それとも体調不良?
双眼鏡を手にしている朴正天党軍事副委員長と李永吉総参謀長(右隣)(朝鮮中央通信)
北朝鮮が昨日、人民軍大連合部隊の砲兵区分隊の砲撃競技を実施していた。折しも前日に努光鉄(ノ・グァンチョル)国防相が今月18日から始まる米韓合同軍事演習を批判する談話を発表し、「我が武装力は確実で断固たる対応態勢で米韓の戦争演習騒動に備え、自衛権レベルの主権的権利を厳格に行使する」と、対抗措置を示唆していたことから、韓国ではこの砲撃競技がその一環と受け止められているようだ。
しかし、昨日の大連合部隊の砲兵区分隊の砲撃は訓練ではない。以前から計画されていた各部隊による競技である。現に、順位が発表され、射撃訓練競技で優勝した第9軍団第55機械化歩兵旅団第6大隊の82ミリ迫撃砲兵中隊に名砲手賞状が、軍人たちにはメダルとバッジが授与されていた。
競技であっても訓練には変わりはないが、韓国が弾道ミサイルや軍事偵察衛星の発射を想定していたならば人民軍の競技は対抗措置としてはレベルが低いと言わざるを得ない。
むしろ、筆者にとって気になるのはこの場に立ち会っていなければならない最高司令官である金正恩(キム・ジョンウン)総書記が珍しく顔を見せなかったことである。
大連合部隊の砲兵区分隊の砲射撃競は上半期の5月29日にも、また先月(7月23日)も実施されていたが、金総書記はいずれにも姿を現し、参観していた。ちなみに昨年も3月13日に戦車大連合部隊による対抗訓練競技が行われていたが、この時も金総書記は立ち会っていた。それが、今回は異例の欠席である。
金総書記が参観しない軍事訓練を北朝鮮が公開したのは2023年2月20日に行われた西部戦線長距離砲兵部隊の放射砲射撃訓練以来である。
地方視察など他に行事がなかったことから多忙を極めていたとは考えにくい。米韓を刺激するのを避けるための自制もあり得ない。国防相に合同軍事演習を批判する談話を出させているからだ。となると、考えられるのは体調不良か、バカンス中のどちらかである。
金総書記の公式活動は8月1日に中国との国境に近い威化島の温室総合農場の建設現場と新義州市と義州郡の島地区永久化堤防工事場を視察したのを最後に10日間途絶えている。
金総書記は昨年の8月は2日に空軍飛行部隊視察、4日に新型戦術弾道ミサイル引き渡し式典出席、6日に平安北道被害復旧関連式典出席、8日から9日にかけての平安北道義州被災地視察など精力的に活動していた。
また、一昨年(2023年)も3日から5日まで主要軍需工場を訪れ、9日には平壌で党中央軍事委員会を開き、11日から13日までは再び主要軍需工場を巡回していた。13日も江原郡安辺郡を訪れ、台風被害地を見て回っていた。
健康不安が原因でなく、バカンスで休暇を取っているならば、中旬頃には活動を再開するであろう。
そこで注目すべきは祖国解放記念日にあたる8月15日である。
昨年は79周年でも金総書記は解放塔を訪れ、献花していたが、今年は80周年という節目の年なので解放塔参りしなければならない。
万が一、姿を現さなければ、健康不安説がまた取り沙汰されることになるかもしれない。