2025年8月16日(土)
韓国で追及される統一教会の「政治資金」疑惑 大統領選にも国会議員選挙にも介入
京畿道加平にある教団の総本山(「SBSテレビ」から)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領に続いて金建希(キム・ゴンヒ)夫人の身柄を拘束したことで尹前大統領夫妻の不正疑惑を追及する特別検察官チーム(特検)の捜査に拍車がかかっている。
尹前大統領の裁判はすでに5月から始まっているが、金夫人はまだ起訴はされていない。特検はこれから金夫人を徹底的に取り調べ、起訴する方針だが、主な容疑の中で特検が注視しているのがダイヤモンドネックレスやシャネルのバッグを贈与したとされる統一教会(世界平和統一家庭連合)との関連である。
金夫人の逮捕で俄然、マスコミの報道も熱を帯び、テレビや新聞では連日、「金建希スキャンダル」を取り上げているが、中でも昨日、今日と金夫人に関する特検の捜査状況を伝えている「MBC」テレビと「JTBC」テレビの報道とそれに保守紙「中央日報」の記事は一見、一読に値する。順に取り上げてみよう。
今朝午前7時に放映された「MBC」のニュースのヘッドラインは「統一教から?『大統領選資金』狙いを定める特検」となっており、レポーターは以下のように伝えていた。
▲「特検」は尹錫悦氏が大統領候補だった2022年の第20代大統領選当時、統一教会から与党「国民の力」に政治資金が流れた疑惑を捜査していることを確認した。
▲「特検」は先月、統一教会高位幹部らを呼び、調査をした際、当時、「国民の力」に大統領選挙資金を支援したとする疑惑を集中的に追及した。
▲「特検」は教団の韓鶴子総裁が大統領選挙の1週間前にソウルのあるホテルに教会幹部らを呼び、尹大統領を支持せよとする趣旨の説教を行い、その後実際に巨額の政治資金が尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長を通じて「国民の力」側に流れたものと捜査している。
▲当時、尹前本部長は統一教韓国協会組織図1地区(ソウル・仁川)、2地区(京畿道・江原道)、3地区(忠清道)4地区(全羅道)、5地区(慶尚道)の5つの圏域を管理する役割を任され、「特検」は傘下の地区長らが政治資金の伝達通路になったのではないかと調べている。
▲また、統一教会が大統領選挙だけでなく、昨年4月の総選挙でも「国民の力」に対して組織的な支援を行ったのか、捜査を拡大している。
▲2023年2月に尹前本部長と易者の全聖培(チョン・ソンベ)との間で交わしたメールには尹前本部長が金建希女史に見せるように送ったメールには「総選挙勝利のため個人の入党だけでなく大統領選挙の時のように組織も秘密裏に協力している」と記されていた。これにより、「国民の力」入党員が1万T千人も増えたと強調されていた。それも地区別入党関連報告まであった。
「JTBC」は一日早く、昨日(15日)の午後7時台のニュースで「統一教、尹大統領選時に『国民の力の』7市・道党に金を伝達・・・組織的支援の状況」の見出しで、以下のように報じていた。
▲統一教会が3年前の大統領選挙の時、「国民の力」を組織的に支援した状況が明らかになった。「特検」は統一教会の資金が「国民の力」の一部市・道党委員長に伝達されたとする陳述を入手した。2億ウォン(日本円で約2118万円)を超える規模である。
▲第20代大統領選挙を1週間後に控えた2022年3月2日、ソウル蚕室ロッテホテルに統一教会主要幹部120人余りが集まり、この懇談会で尹元統一教会世界本部長が当時「国民の力」の尹錫悦候補を支持する方針を遠回しに明らかにしたとのことである。
▲以後、尹氏が本部長をしていた世界本部が地域別統一教会教団を率いる地区長らに現金数千万ウォンを伝達した状況を特検が捕捉した。「国民の力」の地域組織を支援するのが名目だった。一部の地区長らは実際に「国民の力」の市・道委員長らに合計2億ウォンの現金を伝達したという。
▲仮に統一教首脳部の決定により教団の資金が国民の力の市・道党に渡されたならば「特検」の捜査は「統一教会大統領選挙資金事件」に拡大される可能性がある。
▲尹前世界本部長は2022年3月19日に「私の戦略は助けを受ければ助けを与え、(尹錫悦が)偉大な団体の助けを受けたと勘違いさせる」と語っている。
▲関連陳述を入手した特検は最近、統一教会会計職員を召喚し、資金の出所と伝達方法を調査している。
▲尹前世界本部長は以前「JTBC」の取材に「金建希のグラフネックレスなどの贈り物は易者を通じて伝達したが、大統領選挙後の尹大統領との非公開会談は別のラインを通じた」と述べていた。「特検」は統一教会が尹前本部長の別のラインを通じて「国民の力」と接触し、大統領選挙を支持したのかを集中的に調べている。
昨日の「中央日報」の記事の内容もほぼ同じだが、「統一教会が国力に2億ウォンを渡し、数万人の教人が入党した」の見出しが示しているように教団信者が「国民の力」に入党したことが少し詳しく書かれていた。
「法曹界によると、特検チームは20代大統領選挙当時、親尹錫悦系の権性東(クォン・ソンドン)議員だけでなく、『国民の力』の市・道党委員長に対しても尹候補当選のため統一教会の資金を渡したとする趣旨の陳述を最近入手した」
「尹本部長は2022年1月、権性東議員に『尹大統領候補のために使ってほしい」と1億ウォンを渡した容疑(政治資金法違反)で拘束され。捜査を受けている。権議員2022年2月〜3月、1億ウォンだけでなく、韓鶴子総裁から金品の入ったショッピングバッグを受け取った疑いを受けている」
「『特権』は統一教会と『国民の力』の癒着が党員組織でもなされたのではないかと調査している。『特検』は2023年の国民の力の全党大会で特定候補(権議員とみられる)を当選させるため少なくとも3万人以上の統一教会信者を『国民の力』に加入した情況を把握している。『特検』は尹前本部長が2023年2月に易者に送った『新規入党員は1万1101人、既存党員は2万1250人だ』との内容のメールを確認している」
報道によると、統一教側は一連の疑惑について「捜査中の事案でいちいち回答することはできない」としたうえで「教団次元で特定の政治家に資金を流した事実はない」と全面否定している。
なお、特別検察官らはこの件で8月13日に「国民の力」の党本部の家宅捜索を強行しようとしたが、「国民の力」議員らが激しく抵抗したため不発に終わった。来週、仕切り直しるとしているが、「国民の力」は断固阻止する構えだ。