2025年8月2日(土)

 浮上した尹錫悦前大統領への旧統一教会の1億ウォン選挙資金供与疑惑

大統領選出馬のため検察総長を辞任した尹錫悦前大統領と権性東議員(右)(「JPニュース」)

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏への旧統一教会(世界平和統一家庭連合)によるダイヤモンドネックレス贈与疑惑を追及している特別検察チーム(特検)は旧統一教会が野党に転落した「国民の力」の前院内総務、権性東(クォン・ソンドン)議員を通じて尹前大統領に不法政治資金1億ウォン(日本円で約1千60万円)を供与した疑いを突き止めたようだ。

 旧統一教会と尹錫悦政権とのコネクションを追っている韓国の「SBS」テレビが今朝のニュースで「特検『統一教会側が権性東に1億・・・正教分離』違反」のヘッドラインを掲げて報じたところによると、権議員を介して1億ウォンを渡したとされる尹英鎬(ユン・ヨンホ)前統一教会世界本部長の手帳に記されていた2022年1月5日付けのメモが決定的な証拠となったようだ。また、同じ日に当時財政局長だった尹前本部長の妻が携帯で撮ったキャッシュボックスの写真も決め手となったようだ。

 尹前本部長は請託禁止法と政治資金法違反容疑で数日前(7月30日)に逮捕、拘束されているが、「尹錫悦大統領候補のために使うように」と現金で金を渡したと供述している。元検察総長の尹前大統領の1年後輩にあたる元検事の権議員は当時、尹大統領選挙対策総括本部長のポストにあった。折しも尹錫悦大統領候補は1か月後の2月13日、ロッテホテルで開かれた教団主催の「朝鮮半島平和サミット」行事に出席している。

 高額な政治資金供与に関する尹前本部長の逮捕令状には「宗教と政治は分離すべきとの憲法精神に全面的に反する重大な犯行」と明示されているが、尹前本部長は1億ウォンについて「これは韓鶴子(ハン・ハッジャ)総裁が内室の金庫から取り出した現金束を妻が包装し、渡したまでだ」と主張し、「自分はあくまで上の指示に従っただけである」と、逮捕に異を唱えているとのことである。

 一方、渦中の権議員も特検の調査結果について「政治資金を貰ったこともなく、(教団と)金銭取引など不適切な関係を結んだ覚えもない」と容疑を全面否認し、また統一教会側も「教団の次元で特定の人物に対して不法に応援した事実はない」とこれまた容疑を否認している。

 しかし、権議員は1億ウォンとは別途に旧統一教会側から政治献金を受けていた事が明るみになっている。このことは「SBS」が報道する前にすでに「韓国日報」が7月22日付でスクープしていた。

 同紙は「統一教前核心幹部が『権性東に高額後援金・・・3か月後権性東祝辞』の見出しの記事で尹前本部長が2024年3月9日に権議員に500万ウォンを献金したと報じていた。

 その見返りかどうか定かではないが、権議員は約3か月後の6月22日に尹前本部長が主催した「コリアドリームフェスティバル青春ニューラン2024年」に出席し、祝辞を述べていた。

 韓国の政治資金法では個人が国会議員に寄付できる年間後援金額は500万ウォンまで認められているが、2004年から300万ウォンを超える政治後援金寄付者の身元公開が義務化されているが、権議員は届けてなかったようだ。

 特検は京畿道加平郡にある旧統一教会の総本山に家宅捜索に入った日(7月18日)に権議員の国会会館内事務所と地元(江原道江陵)の事務所への家宅捜査も同時に実施している。

 特検はまた、2008年から2011年までの間、ラスベガスでの遠征賭博の疑い(横領容疑)を持たれている韓鶴子総裁に捜査当局の情報をリークしたとされる疑惑の「尹核関」(尹大統領に近い関係者の意味)が権議員であるとの疑いを強めている。

 特検はその裏付けとして尹前本部長が2023年6月に「捜査情報を誰が知らせてくれたかと言えば、『尹核関』だ。それでオモニ(韓総裁)に私が知らせたのだ」との「証言」を確保している。

 権議員は尹大統領当選のため2021年から旧統一教会だけでなく宗教集団「新天地イエス教会」などにも支援を働きかけていたが、尹錫悦氏は2022年3月9日に第20代大統領に当選した13日後の3月22日に尹前本部長と約1時間面会していた。

 旧統一教会側は一連の疑惑について「教団とは何の関係もなく、尹前本部長が個人的に行ったこと」との立場を表明している。

 特検は1億ウォン献金との関連で近々権議員だけでなく韓総裁にも出頭を求め、事情聴取を行う方針と伝えられている。