2025年8月21日(木)
李在明大統領は「反日の盧武鉉」ではなく「親日の金大中」のDNAを引き継いでいるのかも
盧武鉉元大統領(左)と金大中元大統領(韓国大統領資料館から)
李在明(イ・ジェミョン)大統領が2日後に訪日することもあって韓国のメディアはこぞって「読売新聞」が行った李大統領との単独インタビューを大きく取り上げていた。
ソウルの大統領府で行われた「読売新聞」とのインタビューで李大統領は元慰安婦問題や元徴用工問題など「過去の問題」を蒸し返さず、保守の朴槿恵(パク・クネ)、尹錫悦(ユン・ソクヨル)両政権下で過去に交わされた政府間合意を順守、踏襲する意向を表明していた。また、経済や安全保障、人的交流分野でも協力を拡大していく考えも明らかにしていた。
李大統領はすでに8月15日の「光復節」演説で「日本は経済発展において切り離せない重要なパートナーだ。国益中心の実用的な外交を原則として、『シャトル外交』を通じて率直に話し合い、未来志向的な共生と協力の道を模索していく」と述べ、両国の協力を推進する考えを披露していたが、「読売新聞」とのインタビューではそれを再確認したことになる。
李大統領の対日観、歴史観は野党時代とは明らかに衣替えしている。
野党時代は例えば、元慰安婦問題では「売国奴と侵略国との間の常識外の合意は無効である。韓日慰安婦合意は破棄、再交渉すべきである。韓日合意は被害者が同意しなければ効力はない。密室で決めた結果であって、国家の合意の最小限の条件も備えていない。正統性もなければ、国民の信頼も完全に失い、追い出される危機に瀕していた政府(朴槿恵政権)がやったことだ」と辛らつに批判していた。
また、福島原発処理水海洋放出についても京畿道知事の時代からフェイスブックで「日本の一方的な放流決定を糾弾する。1380万人の京畿道民はもちろん、大韓民国の国民の生命と安全を脅かすものだ」と痛烈に批判していた。放出が始まった時も「日本の核汚染水放流は第2の太平洋戦争として記録されるだろう」とまで言い放っていた。
一般的に知られてないが、李在明政権の与党「共に民主党」は政権を奪還した際の「対日政策」を内々で立案する時に尹前政権の対日外交を「マイナス屈辱外交の典型である」と、次のように酷評していた。
▲日本の好意に期待し、韓国が譲歩し過ぎている▲日本の右傾化及び歴史修正主義の容認で国家の本来の独立性が棄損されている▲日本の植民地支配及び戦争犯罪を容認している▲平和憲法改定と日本の軍事大国化を容認している▲半永久的な福島核汚染水投棄を容認している▲慢性的対日貿易構造解消のため実用的な代案を示せないでいる。
しかし、政権を奪取すると、李大統領も「共に民主党」も言わば、前政権の「負」を完全に封印し、おくびにも出していない。
李大統領の対日発言が180度変身したことに最大野党の「国民の力」は「まるでカメレオンのように前言を翻している」と非難しているが、李大統領は外交は実用主義、国益に基づき、現実的に対応する必要があるとの考えを持っている。そのお手本にしているのが革新のシンボル的存在である金大中(キム・デジュン)元大統領である。
野党時代の金大中氏も日韓条約に反対し、破棄を主張し、日韓条約(1965年6月)を締結した朴正煕(パク・チョンヒ)政権を「百歩譲って考えたとしてもこの韓日条約は国民の誰が見ても屈辱的だ。一方では、過去について謝罪しろ、その血債を返せと叫びながら、他方では頭を下げて少し金を貸してくれと言う。こんなことで堂々と交渉ができるのか」と激しく追及していた。
金大中氏はまた、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領が1984年9月に韓国の大統領として初めて来日し、天皇陛下と会見した際にも過去の問題に触れなかったことについて痛烈に批判していた。
ところが、それから14年後の1998年に大統領に就任し、1998年10月に訪日し、天皇陛下と会見した際には「不幸な過去」については一言も言及せず、元慰安婦問題や竹島問題などの懸案は全部棚上げにした。
過去については「区切りが付いた」として「今後韓国からはこの問題を持ち出すことはない」と表明し、小渕恵三総理(当時)との会談では「21世紀に向けた日韓パートナーシップ共同宣言」を発表していた。
一方、同じ進歩派大統領でも盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は逆に大統領になっても終始一貫「反日」を貫いていた。
日本の歴史教科書問題などもあって任期中盤の2005年3月には国民向け談話を発表し「これまでは政府間の葛藤を招く外交上の負担や経済に及ぼす影響を考慮し、何よりも未来志向の日韓関係を考えたために我慢してきた。しかし、(日本から)返ってきたのは未来を全く考慮しないような行動だった。今はむしろ我が政府が前面に出なかったことが日本の慢心を招いたのではないかとの疑問が提起されている。これではだめだ。これから政府がやれることはすべてやる。まず外交的に断固対応する」と対決姿勢を露わにしていた。
李大統領が「読売新聞」とのインタビューで「新しい共同宣言を発表することができればと思う」と語っているところをみると、「反米・反日」色が強かった盧武鉉元大統領よりも金大中元大統領の「親米・親日」の外交路線を歩もうとしているようでもある。
それもこれも韓国国内で日本に対する好感度が高まっていることが背景にあることは言うまでもない。