2025年8月28日(木)

 日韓首脳会談の評価は高いのに李大統領の支持率は過去最低の珍現象

李在明大統領(「共に民主党」HPから)

 日米歴訪を終え、帰国した李在明(イ・ジェミョン)大統領は予想外の世論調査の結果を知れば、顔しかめるどころか、がっくりと肩を落とすのではないだろうか。

 というのも、国民の半数ほどが8月23日に東京で行われた石破茂首相との首脳会談を「意味のある第一歩」と評価したにもかかわらず李大統領の(国政運営)支持率は2週間前より下落し、5割を割ってしまったからである。

 韓国の政治、社会、経済に関して世論調査を頻繁に行っている韓国メディア「ニューストマト」が8月25〜26日に全国成人男女約1千人を対象に実施した世論調査によると、日韓首脳会談については36.6%が「過去史など両国間の敏感な問題を扱わない実体のない会談だった」と下評価したものの半数近い48%が「17年ぶりに共同宣言を採択するなど意味のある第一歩だった」と評価していた。(15.4%が「わからない」と回答)

 日韓首脳会談では17年ぶりに共同記者声明が発表され、未来志向の日韓関係が約束されたことは報道されたとおりである。具体的には両国は水素、人工知能(AI)など未来産業における協力の強化や両国の青年が相手の国で長期間参加できるワーキングホリデーの参加上限を2回に増やすことでも合意した。その一方で、韓国の在野団体が固執していた過去史や日本側が求めていた福島水産問題など両国間の敏感な問題については一言も言及されなかった。

 支持層別でみると、与党及び大統領支持層は74.3%が「有意義な第一歩」と評価し、逆に保守層は53.8%が「実体のない会議」酷評としていた。

 肝心の中産層の評価はどうかというと、43.9%が「有意義な第一歩」と答えたのに対し、36.3%が「実体のない会談」と回答していた。これが言わば、平均的評価である。

 このように世論は概ね日韓首脳会談を評価したが、不思議なことにそれが李大統領の支持には繋がらず、むしろ支持率は再び50%を割り、「支持」と「不支持」が逆転してしまった。

 李大統領の支持率は4.5ポイント減少し、再び2週間前の48.3%まで下落した。これに対して「不支持」は7ポイント上昇し、48.8%と、50%に迫った。ちなみに李大統領の就任当時の支持率は70%を超えていた。

 内訳をみると、支持については「非常によくやっていっている」が38.3%、「まあまよくやっている」が10.0%で、一方、「不支持」は「全くダメだ」が37.1%、「およそダメだ」が11.7%だった。

 支持率低下の背景には第2野党・「祖国革新党」の゙国(チョ・グック)前代表の恩赦、法制委員長に任命された李春錫(イ・チュンソク)議員の不正株取引疑惑(秘書の名義を使い株式取引を行った疑惑)、それに株式の譲渡世代株主基準を巡る混乱などが影響したものと分析されている。

 李大統領の支持率と並行して、与党「共に民主党」の支持率も6月4日の政権発足以来、初めて40%を割りこみ、39.1%に落ち込んでいた。37.3%の「国民の力」との差は僅か1.8ポイントである。

 与党の代表に法制委員会委員長として国会で尹錫悦大統領を弾劾に追い込んだ鄭清来(チョン・チョンレ)議員が今月2日に就任したが、鄭代表に関する世論調査でも「評価しない」が53%と、「評価する」(40%)を大きく上回っていた。

 興味深いのは、李大統領の支持率の急落は尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の時と類似していることだ。

 尹前大統領も就任当時の支持率は54〜55%あったが、2か月後には下落していた。

 マドリードで開かれたNATO首脳会議に出席し、帰国した7月1日に発表された世論調査会社「リサーチ・ビュー」の調査では尹前大統領を「評価する」が45%に対して「評価しない」は51%と、6ポイントも上回っていた。物価高や検察出身者に偏重した人事、政権与党内の「権力抗争」、さらには李俊錫(イ・ジュンソク)代表のスキャンダルなどが足を引っ張った。

 当時、与党の金鍾仁(キム・ジョンイン)前非常対策委員会委員長は「政権が発足してまだ50日しか経っていないのに不支持が支持を上回るような結果が出たのは尋常ではない。深刻な事態である」と嘆いていた。

 前・前大統領共にNATO首脳会議や日米韓首脳会談に出席するなどの外交デビューは評価を受けたものの不思議なことに外交は支持率のアップには繋がらないようだ。

 李大統領も国会で圧倒的多数の議席を占めている与党をバックに民主主義のルールを無視し、行政、議会、司法、立法を牛耳り、好き勝手なことをやれば、尹前大統領と同じ道を辿るかもしれない。