2025年8月8日(金)

 前代未聞!尹錫悦前大統領に続き金建希夫人も収監の危機

尹錫悦前大統領と金建希夫人(韓国共同取材団)

 大統領の座にあった者が権力を失い、奈落の底に突き落とされると、ファーストレディーまでもが一転、囚人扱いされるから韓国は怖いと、日本では誰もがそう思うかもしれない。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏の疑惑を追及している特別検察官チーム(特検)は昨日、金夫人に対する拘束令状をソウル中央地裁に請求した。金夫人を午前10時に出頭させ、検察の取調室で事情聴取してから16時間しか経っておらず、電光石火の対応だった。

 金夫人に掛けられている容疑は全部で16件もある。特検はそのうち独身時代のドイツモーターズ株価操作疑惑や大統領夫人になってからの公選挙介入疑惑、収賄疑惑など5件を集中的に取り調べているようだ。

 拘束すべきかどうかのソウル中央地裁の判断は来週火曜(12日)に下るが、尹前大統領は内乱容疑でソウル拘置所にすでに収監されているので仮に夫人に令状が発付されれば、歴代大統領夫婦の初の同時拘束、韓国史上初の夫妻揃っての身柄拘束となる。

 金夫人の弁護団は「証拠もなく、特検は令状を無理やり請求している」と不満を露わにしているが、特検は「家宅捜索で証拠は固めており、関連容疑者からの証言も得ている」と身柄拘束に自信を見せている。

 それでも金夫人の弁護側は「金女史は出頭し、特検の取り調べに誠実に応じている」ことや「顔も知られていて逃亡の恐れがない」ことなどを理由に拘束の不当性を訴えているが、特検は逆に金夫人が容疑を全面否認していることから「証拠隠滅の恐れがある」として身柄の確保を求めている。

 万が一のことを考え、金夫人の弁護団は金夫人が6月に鬱病で1度入院し、退院時に車椅子を利用せざるを得ないほど衰弱していたことや今でも週に一度治療を受けていることなど健康上の理由も持ち出し、予防線を張っているが、特検は「収監されても調査には耐えられる健康状態にある」として情けを掛ける気は全くなさそうだ。

 窮地に立たされた尹前大統領夫妻について大統領選挙で「国民の力」の指名候補を最後まで競った同じ検事出身の洪準杓(ホン・ジュンピョ)前大邱市長は6日、自身のフェイスブックに実に興味深いことを綴っていた。

 「(尹大統領が)゙国(チョ・グック)一家に向け振り上げていた刃が尹前大統領夫婦に向かってきている。大統領予備選挙の時のテレビ討論で私は尹候補に『夫婦を同時に拘束するのは過酷すぎる。゙一家を捜査しても、夫婦のうち一人だけ拘束するのが慣例ではないか?』と質してみたが、私のこの発言に他の候補から『゙国を擁護している』と嘲弄され、ひどい目にあったことがある。法にも涙があるというもの。いくら罪悪でも夫婦のうち一人は拘束すべきではないというのが私の持論だが、今回の件で金夫人に対する国民の怒りを鎮めて不拘束にする理由を特検は探し出せるのだろうか。゙国の前例に従えば、自業自得と言わざるを得ない」

 文在寅(ムン・ジェイン)政権下で初代民情首席秘書官を担った後に法務部長官に任命された、日本で「タマネギ男」と称されている゙国氏は検察総長だった尹錫悦氏に睨まれ、子供らの不正入学や奨学金不正授受疑惑を徹底的に追及され、大学教授だった夫人とともに起訴され、不遇を極めた。

 夫人の鄭慶心(チョン・ギョンシン)東洋大教授は2022年1月に娘の件で懲役4年が確定し、2023年9月まで服役し、健康上の理由で仮釈放されたが、それとは別に今度は息子の入試関連書類偽造で起訴され、昨年12月に懲役1年、執行猶予2年が最高裁で宣告されている。

 一方、゙国氏は昨年12月、最高裁で懲役2年の実刑が確定し、現在ソウル拘置所に収監されている。

 ゙国氏は収監される前に新党「祖国革新党」を立ち上げ、昨年4月の国会議員選挙に挑み、野党第2位の12議席を獲得し、自らも比例で当選し、国会議員となったが、最高裁で刑が確定したことで公民権を剥奪され、失職している。

 盟友の李在明(イ・ジェミョン)政権の発足で゙夫妻の場合は今月15日の光復80周年で恩赦されることがほぼ確実視されているが、代わりに尹夫妻が枕を並べて収監されるという皮肉な結果を見るかもしれない。