2025年12月16日(火)
「竹島」も「徴用工」も「佐渡金山」騒動も意に介さず来日する李在明大統領は「親日大統領」!?
慶州で会談した高市早苗首相と李在明大統領(出典:大統領室)
李在明(イ・ジェミョン)大統領は来月(1月)中旬を目途に訪日し、高市早苗首相の地元・奈良で日韓首脳会談を行い、日本との関係強化を図る考えのようだ。
日本の政権が保守中道の石破茂政権から右寄りの高市政権になっても日韓シャトル外交を継続する考えを11月に慶州でのAPEC総会に出席するため訪韓した高市首相に公言していたが、有言実行することにはいささかの揺るぎもないようだ。
仮に訪日が実現すれば、今年8月に続き2度目となる。大統領の任期は5年だが、任期中に2度訪日したのは歴代大統領の中では唯一、大阪生まれの経済界出身の大統領、李明博(イ・ミョンパク)氏しかいない。韓国初の女性大統領である朴槿恵(パク・クネ)氏にいたっては任期途中で罷免されたこともあって一度も日本に来ることはなかった。
李在明大統領は今年6月4日に就任してから半年しか経っていない。1年もしない間に2度も訪日するのは極めて異例である。李明博氏は2度目までに約2年半の間隔を空けていた。
保守系大統領ならば「親日」で済まされるが、李大統領の場合、野党時代は「反日強硬派」で知られていた。意外といえば意外であるが、それだけ日本を重視している証でもある。
奈良訪問が1月中旬ならば、残り1か月である。このまま障害がなければ順調に事が進むが、不安要素も幾つかある。例えば、領土問題である。
高市首相は今月9日、衆議院予算委員会での答弁で「竹島は歴史的事実と国際法の両方に照らして、明らかに日本の固有領土である」と答えていたが、これに大手保守紙「中央日報」をはじめ韓国のメディアが一斉に「高市発言」を「妄言」と批判していた。
メディアが騒ぐので韓国大統領室も韓国が「独島」と呼称している竹島について「独島は歴史的、地理的、国際法的に明白な我が国の固有の領土」と反応せざるを得なかった。
毎年繰り返されているパターンなので韓国政府も与党も野党もこれ以上、問題にすることはなく、幸いにも一度の応酬で終わった。
領土問題に加え、元徴用工の問題もくすぶったままである。
今月11日に韓国最高裁が日本製鉄の上告を棄却し、元徴用工らに対して精神的苦痛への慰謝料として1億ウォン(約1千万円)の支払いを命じたばかりだ。
慰謝料は韓国企業の募金で設置された財団から支払われるが、韓国政府はいつになっても敗訴した日本の企業から財団へのコミットメントがないことを尹錫悦前政権の時から問題視しており、今も日韓の火種となっている。今月9日には日韓の法律家約240人が東京で記者会見を開き、日本政府と企業に対して元徴用工及び慰安婦被害者への賠償を即時履行するよう促したばかりである。
そして、昨日から韓国のメディアで大々的に取り上げられている佐渡金山の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産問題である。
ユネスコ世界遺産委員会は15日、日本が提出した佐渡島の金山の保全状況報告書をホームページに公開したが、韓国政府はこの報告書について「ユネスコ世界遺産委員会の決議と自らの約束を日本政府が忠実に履行していない」と不満を表明している。
韓国政府の主張によると、日本は佐渡島の金山における全ての労働者、特に朝鮮半島出身労働者を誠実に記憶に留めつつ、決議の勧告を忠実かつ完全に履行し、韓国と緊密に協議しながら佐渡島の金山の全体の歴史を包括的に扱う説明・展示戦略及び施設を強化すべく引き続き努力していくことを約束していたのに日本の報告書には「全体の歴史」の中核である朝鮮半島出身者が強制労働を強いられた歴史に関する記述や説明が省かれているとのことである。このため韓国政府は昨年に続き今年も日本の追悼式に参加せず、2年連続で別途開催している。
李大統領は今月3日、外国人特派員らとの会見で佐渡金山などの懸案については聞かれた際に「互恵的な立場で協力し、解決されていない課題は議論して少しずつ解消していけばいい」と述べ、経済交流や安全保障協力、文化協力などを重視する考えを明らかにしていた。
李大統領としては日韓間に多少問題があったとしても大局的な立場から訪日し、日韓関係を進めていく方針だが、尹錫悦前大統領は文在寅(ムン・ジェイン)政権下で悪化した日韓関係を修復するため日本に歩み寄る政策を取った際、当時、韓国の反日・市民団体「国民財産取り戻す運動本部」から「尹錫悦は大韓民国の大統領なのか、それとも日本の下手人なのか」との批判を浴びせられた。
「日本の下手人」の烙印を押された理由の一つがまさに過去の問題に対する対応だった。
進歩勢力の「運動本部」は尹前大統領に「慰安婦と元徴用工への賠償、軍艦島、佐渡金山、歴史的事実の直視などは当然で、日本が独島領有権の主張を二度とできないようにすべき」と注文を付けていたが、李大統領もへたをすると、同じようなバッシングに晒される恐れもある。
それでも意に介さず、日中対立の最中、日本を孤立させようとする習近平主席の誘いに乗らず、高市首相の顔を立てて訪日するわけだから日本は李大統領に「親日大統領」の称号を授けても良さそうなものだ。