2025年12月17日(水)
「ジュエ」と呼ばれる娘の同行を報じたり、省いたりするミステリー
金正恩親子(左が李雪主夫人、右が娘)
金正恩(キム・ジョンウン)総書記の看板政策である「地方発展20×10政策」の一つである江東郡地方工業工場、総合奉仕所の竣工式が15日に行われたが、「ジュエ」と呼ばれている娘と共に久しぶりに李雪主(リ・ソルジュ)夫人が姿を現した。
そのことは写真でも影像でも確認できる。配信された53枚の写真のうち約30枚に娘が写っており、また李夫人も含めた親子3人の写真も十数枚あった。それにもかかわらず、報道記事では不思議なことに妻子が同行したことについては全く言及されてなかった。
娘が初めて公の場に姿を現した2022年11月18日の「火星17」の発射の際には金総書記が「愛するお子様と夫人と共に出向いた」と報道されていた。以降、娘に限っては「愛する」との敬称が付けられ、父親とセットで報道されていた。
しかし、新型小型弾道ミサイル発射に立ち会った翌年の2023年3月から7月にかけて7〜8回も行動を共にしながらも、また父親とのツーショット写真が配信されていたのに労働新聞などでは「お子様と一緒に」の文言が削除されていた。
「お子様と一緒」の文言が復活したのは1か月後の8月28日の海軍司令部訪問からで何と、同年11月23日の軍事偵察衛星発射成功祝賀宴に母親と共に出席した際には「尊敬するお嬢様」と、「尊敬する」という最大限の尊称が付けられた。
ところが、またまた不思議なことに12月18日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射には娘と李雪主夫人も立ち会っていたことが映像で確認されたのに夫人だけでなく、金総書記が娘を連れて来たことについても言及されてなかった。
年が明けた2024年1月4日のICBMの発射台を生産する軍需工場を視察した際には一転「尊敬するお嬢様が同行した」と伝えてられた。それも単独扱いである。随行した党序列3位の政治局常務委員の趙甬元(チョ・ヨンウォン)ら党幹部及び叔母の金与正(キム・ヨジョン)党副部長らを差し置いて、先に報じられていた。
すると、これもまた長くは続かず、3月15日の人民軍の各航空陸戦兵(空挺)部隊の訓練視察と8月4日の新型戦術弾道ミサイル発射台の国境第1線部隊引き渡し式、さらには12月31日 平壌のメーデースタジアムでの新年慶祝公演を観賞では黙殺されていた。
今年も4月に和盛地区第3段階1万世帯住宅の竣工式(15日)、駆逐艦の進水式(25日)「崔賢」号艦戦闘適用性の試験(4月28日)ではいずれもスルーされていたが、5月9日のロシア大使館訪問に随行の際には「尊敬するお嬢様が同行した」と紹介されていた。
先月28日の人民軍空軍創設80周年記念行事でも「尊敬するお嬢様が同行した」と報道され、配信された写真41枚のうち15枚に写っていた。
報道したり、しなかったりすることにどのような深い意味があるのかは定かではない。北朝鮮が内外の目や評判を気にし、後継者としての娘の取り扱いに極めて慎重になっているとの分析もあるが、それだけでは説明がつかない。
韓国では15日の江東郡地方工業工場、総合奉仕所の竣工式では娘が父親より前面に出ていたとか、一歩先に歩いていたことから後継者としての地位を確立したのではと報道されているが、そんなことよりも韓国情報機関の国家情報院も筆者も含め誰も解明できないこの謎を解き明かしてもらいたいものだ。