2025年12月18日(木)
北朝鮮 軍事偵察衛星と原子力潜水艦は来年に持ち越し
北朝鮮が建造中の原子力潜水艦(朝鮮中央テレビから)
今年も残り2週間を切ったが、今年の北朝鮮は比較的におとなしかった。
北朝鮮と言えば、ミサイルだが、2023年は北朝鮮は「火星15」「火星17」「火星18」の3種類の大陸間弾道ミサイルICBM(5発)を含め、延べ37回に亘って約70発のミサイルを発射していた。
また、2024年も17回にわたって弾道ミサイル以外に新型極超音速固体燃料中距離弾道ミサイル、潜水艦発射戦略巡航ミサイル、新型地対艦ミサイル「パダスリ(ミサゴ)6」、新型中・長距離極超音速ミサイル(火星=16ナ)、新型大陸間弾道ミサイル「火星砲―19」型等を延べ17回にわたって発射していた。
しかし、今年は上半期に弾道ミサイルを5回、そして下半期は10月に極超音速ミサイル「火星11マ」と艦対地戦略巡航ミサイルの2回、11月に極超音速ミサイルの1回に留まっている。全部合わせても8回で終わっている。
北朝鮮は来年1月頃に第9回労働党大会を開く予定である。そのせいもあって北朝鮮は前回の大会で打ち出した経済と国防の5か年計画を成功裏に終わらせようと最後の追い込みに入っている。
経済分野では大幅に遅れていた元山・葛麻海岸観光地区開発が6月にオープンし、平壌総合病院建設も10月に竣工しており、残りは住まいの問題を解決である。
北朝鮮は前回大会で5年の間に毎年1万世帯、計5万世帯の住宅建設を決定していた。2021年3月から建設が始まり、すでに4万世帯が入居しているが、1万世帯がまだ残っている。1万世帯から4万世帯まで2月に着工し、翌年の4月に竣工しているので、今年2月16日に着工した最後の1万世帯は来年4月頃に完成する見込みである。
国際社会にとって気になるのは経済5か年計画の結果よりも「国防科学発展及び兵器システム開発5か年計画」であろう。
北朝鮮はこの期間、極超音速滑空のミサイルや水中・地上固体エンジン大陸間弾道ミサイル、それに500kmを精密偵察できる無人偵察機などを手にしたものの軍事偵察衛星と原子力潜水艦の保有はまだ達成されていない。
▲軍事偵察衛星
北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)総書記は2023年5月16日に偵察衛星発射準備委員会を訪れ、「軍事偵察衛星を成功裏に打ち上げるのは現在の国家の安全環境から出発した差し迫った要求である」と述べてから約2週間後の5月31日に1回目の打ち上げを行ったが、失敗に終わった。
金総書記から「失敗は衛星打ち上げの準備事業を、責任を持って推進した活動家らの無責任にある」と叱責された国家宇宙開発局は8月24日に再度、トライしたが、2回目も3段の飛行中、非常爆発システムに誤りが発生し、爆破し、これまた失敗してしまった。
北朝鮮は3か月後の11月21日に3度目の発射で軌道に上げ、成功させたものの衛星画像の鮮明度に問題があり、夜間撮影はゼロで、画像は基地など固定対象物で、動く物体もゼロで機能に疑問符が付けられていた。そして翌年の5月27日の4度目もまたもや失敗に終わった。
失敗した翌日の28日、国防科学院を訪れた金総書記は「作戦上必要な宇宙偵察能力の保有は我々の国家主権と正当防衛のための必須不可欠の先決課題である」と述べ、「あらゆる努力を尽くして党中央の示した国防発展5カ年戦略目標を必ず達成すべきだ」と国防科学者、技術者らにはっぱをかけていた。
金総書記は2024年までに偵察衛星を3基保有すると明言していたが、今年は1回も発射しておらず、このままでは3基保有は「絵に描いた餅」となる。巷間言われているようにロシアからの技術支援があれば、前回の打ち上げから1年半以上も経過しているので放棄しない限りはそろそろ打ち上げてもおかしくはない。
▲原子力潜水艦
北朝鮮は5か年計画中に潜水艦発射巡行ミサイル「ファサル」、潜水艦弾道ミサイル(SLBM)、巡行ミサイル、核無人水中攻撃艇「ヘイル」を開発したほか、10個の垂直発射管が装着されている攻撃型戦術核潜水艦「金君玉」に加え、「崔賢」と「姜建」の駆逐艦を2隻建造した。しかし、原子力潜水艦はまだ完成していない。
金総書記は2023年9月6日の戦術核潜水艦の進水式での演説で「今日の戦術核攻撃潜水艦の進水式は我々が新型原子力潜水艦を建造しているのと同じぐらい、敵にとっては負担となるであろう」と述べ、原子力潜水艦を建造していることを明らかにした。
そして、今年3月8日に金総書記が原子力戦略潜水艦の建造現場を訪れた際に北朝鮮は「底の部分」だけ公開していたが、韓国国防研究院(KIDA)では米海軍のロサンゼルス級攻撃型潜水艦と同等の6000トン級推定していた。
ロシアからの原子力技術支援で開発のスピードは上がっているものと予測されるが、それでも偵察衛星同様に年内までにはとても間に合わないであろう。
従って、軍事偵察衛星も原子力潜水艦も来年の党大会後に持ち越され見込みだ。