2025年12月2日(火)

 韓国でもついに統一教会の解散を検討 大統領が直接指示

李在明大統領と韓鶴子総裁(大統領室と韓国統一教会から筆者キャプチャー)

 統一教会の「教主」でもある韓鶴子(ハン・ハッチャ)「世界平和統一家庭連合」総裁の斡旋贈賄や政教癒着疑惑に関する裁判が昨日(1日)から始まったが、それを意識したのか李在明(イ・ジェミョン)大統領は本日(2日)行われた国務会議(閣僚会議)で「政教分離は非常に重要な原則であり、宗教団体がこれを破って体系的に政治に介入する事例がある」と唐突に発言していた。

 李大統領は「政教分離の原則が実際に機能せず、違反が放置されれば、憲法秩序は揺らぎ、宗教戦争に近い社会的対立に発展する可能性がある」と述べていたが、途中で日本で統一教会に対して解散命令が出されたことについて触れ「我々も制度的な対応を真剣に検討しなければならない」と、担当閣僚らに直接指示していた。

 国務会議では単なる見直しを超え、今後改善すべき法律や制度のための行動計画とプログラムを作成し、国務院(総理)に報告するよう李大統領が指示したことで鄭成浩(チョン·ソンホ)法務部長官は「法務省に一度審査させます」と答えていた。

 韓総裁の裁判の結果次第では法務部を中心に解散を含む行政措置を取る公算が極めて高い。

 韓総裁の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏や「国民の力」の前院内総務、権性東(クォン・ソンドン)議員らに対する斡旋贈賄との関連では教団のカンボジアプロジェクトを支援するため尹前政権がカンボジア対外経済協力基金(EDCF)を7億ドルから倍の14億ドルに増額したことや教育部長官の統一教会関連行事への出席、教団関係者の総選挙比例公認や教団の大学「鮮文大学」への支援金増額疑惑などが焦点となっているが、李政権はそれよりも教団と尹政権の癒着、特に教団の大統領選挙や「国民の力」の代表選への介入を最重要視している。

 周知のように李大統領は2022年の大統領選挙では尹錫悦候補に苦杯をなめたが、尹候補の勝因の一つが教団によるテコ入れであったことが特別検察チーム(特検)によって炙り出されている。

 例えば、大統領選挙直前に教団が55万ドルの講演料で呼び寄せたペンス元副大統領と尹候補の会談を斡旋したことだ。

 この日の会談をメディアが「米韓同盟強化で合意した」と大々的に伝えたことで政治、外交キャリアのなかった尹候補にとっては効果的な選挙PRになったことは言うまでもない。

 それよりも何よりも韓総裁が尹候補支持を全面的に打ち出したことで教団の組織力と資金力がフルに使われたことだ。

 投票日の1週間前の3月2日、ソウルの蚕室ロッテホテルに募った教団の最高幹部らを前に韓総裁が「大統領選は天を前に責任を果たすべき最後の機会だ。愛国歌が奏でる神から我が国を守ってくれるため今回は2番の尹錫悦候補を選択した」と発した「鶴の一声」で数万人の信者らが「国民の力」に大量入党しただけでなく、2億ウォン規模の政治資金が教団1地区(ソウル・仁川)、2地区(京畿道・江原道)、3地区(忠清道)4地区(全羅道)、5地区(慶尚道)の地区長らを通じて「国民の力」の市、道党委員長らに流れたことだ。

 教団の選挙介入については「特検」はすでに教団の慶尚道支部幹部6人が「国民の力」の中央後援会に3千万ウォンを支援したことも突き止めており、「国民の力」の党員名簿のデータベースを管理する会社を家宅捜査し、同党が差し出すのを拒んでいた党員名簿を入手し、名簿から信者とみられる11万人を確認している。

 李大統領が敗北した2022年3月の大統領選挙は尹候補が0.7ポイント(約25万票)の僅差で辛勝したが、仮に教団が支援に回らなければ尹候補の当選はあり得なったかもしれない。逆に言うと、李候補は落選せずに済んだかもしれない。それだけに李大統領の教団に対する怨念は凄まじいものがある。

 なお、韓総裁は裁判では金夫人や権議員への贈賄は自身も教団も全く関与しておらず、尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長が自身の私利私欲のため教団の金を不正に横領し、勝手に行ったことと主張している。