2025年12月6日(土)
北朝鮮も中露に同調し、「軍縮主義復活を企んでいる」と日本を批判
金正恩総書記と高市早苗首相(労働新聞と首相官邸から筆者キャプチャー)
モスクワを訪問した中国の王毅外相とショイグ安全保障会議書記との会談で日本の軍国主義の復活の動きが議題となり、両国は「日本の軍国主義の復活の企みを防ぐ」ことで一致したと、外電は伝えていた。
ラブロフ外相との会談でもこの問題が取り上げられ、王外相は会談で中露両国が協力し「日本の極右勢力が地域の平和と安定を破壊し、再軍備化を企てる挑発行為を断固として阻止しなければならない」と述べたそうだ。
日本は木原官房長官が台湾関連の高市発言に関する中国の非難や中国メディアの沖縄県の日本帰属に疑義を呈する報道には反論しているが、中露の軍国主義云々批判についてはいまのところ正面からの反論を控えているようだ。
「日本軍国主義」批判は北朝鮮の十八番であって、中露からの批判は近年では珍しい。その北朝鮮が待っていましたとばかり、まるで中露と共同歩調を取るかの如くタイミングを合わせ、日本批判を始めた。
国営放送「朝鮮中央通信」は昨日(5日)が配信した「敗亡 80年の日本の針路」との見出しの記事がそれだ。
「日本にとって2025年は過去の罪悪を全面否定し、過去の犯罪的行跡を繰り返すための軍国主義の復活と再侵策動をいつになく騒ぎ立て、平穏な生活を渇望する人類の願望を深刻に脅かした年だった」と前置きし、次のように具体的な実例を挙げていた。
その1.4月の靖国神社への首相の玉串料奉納を皮切りに、「皆で靖国神社を崇拝する国会議員の集い」に所属する約70名の国会議員が集団で靖国に集まり、軍国主義の亡霊を呼び起こす醜態を演じた。8月の敗戦の日も神社に奉納した宰相の妄動は高位の政治家らの参拝訪問を招き、こうした動きは10月の秋大祭を契機に再び繰り返された。
その2.日本の反動らは戦犯を称賛し、軍国主義を推進すると共に国の基盤を変える憲法改革策動に拍車をかけた。3月に自民党は党大会を開き、これまで推進してきた憲法改正をできるだけ早く実現するために全力を尽くす意向を示す2025年の「運動方針」を決定した。政客らは「日本を守るためには戦争を拒否する憲法を改正しなければならない」との狂信的な発言を時無しに並べた。
その3.2025年の防衛予算を史上最大規模に増額した日本はそれを土台に自衛隊の攻撃能力向上にこれまで以上に注力している。莫大な資金を投じ、米国から中距離空対空ミサイル、空対地長距離巡航ミサイル及び関連装備を購入することを決定し、その一方で「反撃能力」保有という戦犯国には適さない看板を掲げて新たな地上発射型長距離精密誘導ミサイルの開発に着手し、潜水艦と艦載発射型国産長距離ミサイルの大量生産も開始した。
その4.F−35Bステルス戦闘機を初めて航空自衛隊基地に配備し、米国製トマホーク長距離巡航ミサイルの購入計画を予定より早め、イージス駆逐艦「ちょうかい」を米国に急派した。
その5.射程を1000km以上に延長し、地上だけでなく空中や海上でも運用可能な12種類の地対海誘導ミサイルの実際の配備も画策した。海外侵略の基本となる先制攻撃手段を確保する戦略は日本の反動らが一刻も早く侵略の大砲を鳴らすことへの焦りとその策動の危険性を示している。
その6.日本は陸・海・空の自衛隊を一元的な体系に伴い包括的に指揮する統合作戦司令部と侵略武力の迅速な移動を目的とした自衛隊海上輸送部隊を立ち上げたのに続き数百kmに達するミサイルを配備した「第8地対艦ミサイル連隊」を新たに編成するなど「自衛隊」武力の軍事構造を侵略型に確実に変貌させた。
その7.「自衛隊」武力の海外進軍も再侵攻の道を広げるために年間を通じて休むことなく行われている。最新のフリゲート艦「能代」を含む海上自衛隊の艦艇は次々とオーストラリアとフィリピンに投入され、F−15戦闘機などの空中打撃武力は初めてヨーロッパやカナダに派遣された。
その8.特に「NATO(北大西洋条約機構)との安全保障協力強化」や「インド・アジア太平洋地域とヨーロッパ及び大西洋地域の戦略的連帯促進」という名目の下でNATOが世界最大の戦争同盟国かつ史上最悪の対決集団となったNATOへの独立専任代表部を正式に設立した事実は日本が戦争陣営構築に奔走していることを明確にしている。
その9.「自衛隊」軍の戦争遂行能力を熟達することを目的とした軍事演習も発狂的に行われた。海上自衛隊の哨戒機飛行演習で幕を開けた今年の軍事演習は陸上「自衛隊」による大規模な「富士総合火力演習」と国内で初めてとされる88式地対海ミサイルの実弾演習、そして陸海空の部隊が総動員された最大規模の統合演習に繋がった。
その10.日本の外部勢力との連携による軍事演習における役割が過去よりもはるかに大きくなった。その代表例が9月に史上最大規模で実施された日米間の実演「レゾリュート・ドラゴン」である。2021年の初開始時には訓練に投入された自衛隊の兵力は約1400名、米軍兵士数は約2650名だったが、今年5回目となるこの演習に参加した「自衛隊」の数は約14000人、米軍兵力は約5000人で、日本の兵力数は10倍にした。
「朝鮮中央通信」の記事はさらに日本政府が核兵器の保有、製造、輸入を否定する「三つの非核原則」の全面的な見直しに進めていることなどについても触れ、日本の「大東亜共栄圏」という古い幻想を実現しようとする激しい再侵攻の試みは10月に強い軍国主義的色彩の強い高市新首相の登場によってさらに高まった」と展開し、日本の敗北80周年は日本が無謀な外国の侵略の道を必死に歩み始め、地域と世界の平和と安全に対する脅威となる存在であることを世界により公然と明らかにした年であった」と結論づけていた。
日本にとっては根も葉もない言いがかりに聞こえるが、北朝鮮がこんな調子ではいくら高市首相が拉致問題解決の「突破口開きたい」と、日朝首脳会談に意欲を示しても所詮無理であろう。
(参考資料:高市首相のラブコールは北朝鮮に届くのか? 日朝首脳会談の2つの関門)