2025年2月24日(月)
韓国では新聞よりもユーチューブ 20〜30代の若い世代が尹錫悦大統領の支持に回る理由
ソウル拘置所前で尹錫悦大統領に声援を送る保守支持者(国会写真記者団配信)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾裁判を巡る韓国の世論調査をみると、「賛成」が「反対」を若干上回っているが、ほぼ拮抗している。しかし、20代〜30代の若い世代に限って見ると、「弾劾反対」派が若干上回っているようだ。
毎週土曜日にソウルを中心に行われている集会でも動員数は反対派が賛成派を上回っているようだ。反対派を押し上げているのは参加者の中に若い世代が急増していることにあるようだ。
なぜ、韓国の若い世代は保守傾向なのか?最大の理由はユーチューブにある。
韓国の世論調査会社「韓国リサーチ」が韓国の時事週刊誌「時事IN」の依頼を受け、2月3〜5日にかけて全国の成人男女約1万人を対象に世論調査を実施したところ「平素、政治、社会情報については何をよく見ているのか?」との質問に回答者(2000人)がトップに上げたのは「テレビ」(33%)だが、2番目が「ユーチューブ」(18%)だった。
以下は、ポータルサイト(13%)、「オンラインコミュニティサイト(6%)、
「言論社のHP」(6%)となっており、「新聞」はなんと4%と6番目だった。
ユーチューブの影響力は項目別で明白に表れており尹大統領の非常戒厳令の発令についてはユーチューブ未視聴者は「間違いだ」が85%、「正当だ」が6%(「わからない」9%)となっているが、ユーチューブを1時間以上見ている人に限っては「間違いだ」の27%に対して「正当だ」は68%と逆転していた(「わからない5%」)。1時間未満であっても「賛成」49%、「反対」46%と「賛成」の方が多い(「わからない」6%)。
「弾劾の賛否」についても未視聴者は「賛成」76%、「反対」15%、「わからない」9%と「賛成」が「反対」を大きく上回っているが、ユーチューブ視聴者限定では1時間以上の視聴者場合は「賛成」23%、「反対」74%、「わからない」3%となっており、1時間未満の場合でも「賛成」49%、「反対」46%、「わからない」6%と、ほとんど差がない。
尹大統領の逮捕を認めたソウル西部地裁への大統領支持派の前代未聞の乱入については韓国世論の80%が批判的だが、この調査ではユーチューブ視聴者の場合だと、1時間以上の視聴者は「容認できない」30%なのに対して「容認できる」が63%(「わからない」6%)と容認派が上回っている。但し、1時間未満の場合だと「容認できない」58%、「容認できる」34%、「わからない」9%と、「容認できない」のほうが多い。
最後に、来月中旬頃に出る憲法裁判所の審判結果について全体では「どんな結果でも受け入れる」50%、「期待していない結果ならば受け入れない」が39%(「わからない」12%)となっているが、1時間以上視聴している保守支持者の場合は「どんな結果でも受け入れる」は27%しかなく、「期待していない結果ならば受け入れない」が68%と、圧倒していた。(「わからない」4%)
ユーチューブは進歩系も発信しているが、圧倒的に保守派のほうが勢いを増しているのが今の韓国のユーチューブ事情である。
主な保守・極右ユーチューブチャンネルは10本以上あるが、中でも時事評論家でもある「自由統一党」メディア本部長の申恵植(シン・ヘシク)が代表になっている「神の一手」、1980年代に初めて政治評論家の肩書で登場した「承喜(ペ・スンヒ)弁護士の「TV 弁護士 ペ・スンヒです」、朴槿恵(パク・クネ)政権時代から保守メディア「テレビ朝鮮」に登場していた政治評論家の高成国(コ・ソングック)氏の「高成国TV」などは登録者は100万人を軽く越えている。
この他にも日本に進出している新興宗教団体「サラン第一教会」の教祖として知られている全光T(チョン・グァンフン)氏も「全光TTV」を通じて熱狂的な信者らにメッセージを発信するなど一定の影響力を保持している。
影響力のある保守系ユーチューバが一斉に連日、大統領支持を呼び掛けていることが保守層結集の要因であることはこの世論調査からも明らかだ。