2025年2月4日(火)
尹大統領が12月3日に慌ただしく戒厳令を発令したのは政治ブローカーの携帯電話が原因
尹大統領夫妻の秘密を握っている政治ブローカー尹テギュン氏(JPニュースから)
有事でもない、非常事態でもないのになぜ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨年12月3日に大義名分のない非常戒厳令を宣布し、戒厳軍を国会に送り込み、国会議長や与野党党首の逮捕を企図し、国会を封じ込めようとしたのか、尹大統領のみぞ知る、未だに解けない謎である。謂わば、与党「国民の力」の議員も含め多くの国民が疑問に思っている最大の謎である。
今朝、文在寅(ムン・ジェイン)前政権下で法務大臣だった野党「民主党」の朴範界(パク・ボムゲ)議員が出演した「SBS」放送のラジオ番組で尹大統領が12月3日に慌ただしく戒厳令を発令したことについて尹大統領夫妻と親交のある政治ブローカーの孟(ミョン)テギュン氏が「私の携帯電話の中身が公開されるのを恐れたからだ」と語ったことを明かにした。
朴議員は旧正月の連休中(1月25−30日)に政治資金法違反容疑で現在、慶尚南道の昌源刑務所に収監されている孟氏に面会し、この件について聞き出していた。
韓国では孟氏の携帯電話は色が「黄金色」であることから「イエローフォン」と呼ばれているが、ある種の「バンドラの箱」のようなもので、箱が空けられると、大統領夫妻の選挙介入などの実態があからさまにさらけ出されるようだ。当時、孟氏は刑務所から出さなければ、弁護士を通じて尹大統領を弾劾しようとしている野党にこの携帯電話を渡すと、半ば尹大統領を脅していた。
検察は尹大統領の107ページ分量の起訴状の中で孟氏と尹大統領夫妻とのメールの内容も復元したようだが、それによると、尹大統領は大統領選挙期間中から孟氏のアドバイスに従っていたことが窺える。
尹大統領は孟氏とは「2021年7月初に初めて会った。その後ももう一度会ったが、大統領になってからは孟氏とはメールのやりとりも、通話した事実もない」と発言していたが、大統領就任前日の2022年5月9日にも尹大統領は孟氏と通話していたことが明るみ出たことで尹大統領は「大統領就任後は孟氏とは追加通話はない」と釈明せざるを得なかった。
この時の通話では尹大統領は「金ヨンソン(前議員)を何とかしてあげろと(選挙対策本部)言っているのだが」と金ヨンソン前議員の公認を依頼していた孟氏に返事し、これに孟氏は感謝の言葉を述べていた。
孟氏は大統領選挙中に自らが経営する世論調査会社「未来韓国研究所」を通じて尹大統領候補に有利な調査を行っていた。孟氏自身も自ら金ヨンソン前議員の会計責任者(カン・ヘギョン氏)との通話で「世論調査で尹の支持を洪よりも2%上げてあげた」と語っていた。この調査結果が功を奏し、尹大統領は与党「国民の力」の大統領候補に選出されたと言われている。
尹大統領は「私は孟氏に世論調査をして欲しいなどと言った覚えはない」と、孟氏との関係を否定したが、金建まれ(キム・ゴンヒ)夫人は交通費という名目で500万ウォンを孟氏に渡していた。未来韓国研究所の金テヨル前所長は「孟氏から大統領選挙が終わって金ヨンソン前議員が当選する前に金建希夫人からお金を受け取ったという話を聞いた」と陳述している。
金前議員の会計責任者も昨年10月21日の国政監査で「孟氏が世論調査の対価として金前議員の公認を取り付けてきた」と述べ、キム前議員はその代償として孟氏に政治資金7620万ウォンを渡した疑いで逮捕されている。
孟氏は2021年大統領選挙期間中に尹ハンホン議員の尹大統領候補の秘書室長任命や慶尚南道知事出馬を妨害したが、これにも金夫人が絡んだ疑いが指摘されている。
公職選挙法第9条1項には「公務員その他、政治的中立を守らなければならない者は占拠に対する不当な影響力行使や選挙結果に影響を及ぼす行為をしてはならない」と規定されている。大統領は言うに及ばず、大統領に準ずる優遇と権限を与えられるので当選人も義務を守る必要がある。尹大統領は中央地検の検事長当時、朴槿恵(パク・クネ)元大統領を公職選挙法違反で起訴し、懲役2年の実刑に処したことがある。
仮に民間人の孟氏が尹大統領の「指南役」を担っていたならば、尹大統領も朴元大統領が友人の崔順実(チェ・スンシル)に踊らされていたのと同じケースにあたる。朴元大統領は結局、これがあだとなり、弾劾され、最後は憲法裁判所で罷免されている。