2025年2月8日(土)
政治的に考えが合わない人とは「恋愛も、結婚もしたくない」 韓国のショッキングな報告書
ソウル鍾路区・世宗通りでの保守派の尹大統領弾劾反対集会(「TVニュース1」から)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾を巡っては韓国の国論は真っ二つに分かれている。
毎週土曜日、首都・ソウルでは弾劾賛成派と反対派による大規模集会、デモが行われているが、今日もソウルや第3の都市・大邱をはじめ全国で双方の「決起集会」が開かれている。
ちなみに最近は集会動員数では「反対派」のほうが上回っている。世論調査では逆に「賛成派」の方が若干多い。
直近では、世論調査会社「エース・リサーチ」が韓国のメディアの委託を受けて2月1〜2日にかけて調査を行ったが、それによると、一時はダブルスコアだった「賛成」と「反対」の差が51.4%対46.9%と、誤差の範囲まで接近している。
注目すべきは野党「共に民主党」の支持者のうち90.6%が大統領は罷免されるべきと回答しているのに対して与党「国民の力」の支持層も同様に圧倒的多数の86.6%が「弾劾は棄却されるべき」と回答していることである。実に好対照である。
もう一つ、興味深いのは同じ若い世代でも20代と30代では真逆の結果が出ていることだ。
大学生を含む20代は「賛成」57.4%、「反対」40.9%なのに対して社会人の30代は逆に「賛成」46.6%、「反対」51%と逆転している。
米国も韓国同様に「共和党」支持者と「民主党」支持者の対立が深刻だが、韓国ほど極端ではない。韓国は政党だけでなく、出身地や世代によっても色分けされているからだ。その象徴が慶尚道と全羅道の伝統的地域対立である。
慶尚道が保守の牙城ならば、全羅道は進歩一色である。当然、伝統的に慶尚道出身者の多くは与党「国民の力」を支持し、その逆に全羅道出身者は圧倒的に「共に民主党」側である。従って、昔も今も慶尚道と全羅道はそりが合わない。お見合いも少なければ、結ばれるケースも少ない。
それにしても今の近代社会でこうした政治、イデオロギー対立が地域を越え、全国に、それも若い世代にまで波及しているのは何とも驚きである。
韓国の保健社会研究院が2月5日に発表した報告書「社会葛藤に関する韓国人の意識変化」によれば、韓国国民の10人中9人が韓国の最も深刻な社会問題として案の定、保守対進歩の「政治対立」を挙げていた。
具体的には、国民の92.3%が「政治対立が人間関係にまで影響を及ぼしている」と回答し、「自分と政治的考えが異なる人とは関係を持ちたくないとか、市民、社会活動を共にしたくない」という人が71.4%に達していた。
最も衝撃的なのは「恋愛もしたくなければ、結婚もしたくない」との回答者が53.4もいたことだ。また、10人中、3人が「一緒に酒も飲みたくない」と回答していた。
自民党支持者ならば、立憲民主党支持者ならば、あるいは共産党支持者ならば、酒席も共にしたくなければ、付き合いたくないと言っているようなものだ。日本では考えられない現象である。
これほど今の韓国の政治、イデオロギーの対立は最悪の状況にあるが、では「政治対立による社会葛藤は今後改善されると思うか」との問いには「改善される」との回答は6.6%しかなかった。「変わらない」が65%、「もっと酷くなるだろう」が28.2%と総じて絶望的だった。
回答者は一様に社会葛藤を解消するためには政府、国会など政治圏の役割が重要であることを指摘していたが、問題は政府も国会も国民の信頼度が高くないことだ。この調査では「政府」への国民の信頼度は41.9%、「国会」に対しては22.6%しかなかった。
尹錫悦大統領の弾劾を審議している憲法裁判所の判決は早ければ3月中旬には出るが、どちらに転んでも、最悪の場合、不服側による反乱が起きるかもしれない。