2025年1月13日(月)

 クルスクで生け捕りされた北朝鮮捕虜の肉声 間違いなく北朝鮮訛りだった!

ウクライナ軍当局の尋問に答えた北朝鮮兵士(ゼレンスキー大統領のテレグラムから)

 ウクライナ軍によって1月9日に生け捕りされた北朝鮮兵士2人のうち1人がついに口を開いた。

 ウクライナ軍が占拠したクルスク州での戦闘中に生け捕りされた2人の北朝鮮兵士は現在、首都・キーウの収容所の独房に入れられているが、ゼレンスキー大統領は12日、自身のSNSにウクライナ情報当局(SBU)が韓国情報機関(国情院)から派遣された韓国人通訳の協力を得て行った尋問の一部を公開した。

 公開された肉声は2005年生まれの2021年に入隊したばかりの若い兵士(A)で、2016年に入隊した今年26歳になる狙撃偵察将校(B)は顎を負傷したためか質問には答えられず、頷くだけだった。尋問官と若い兵士とのやりとりは以下のとおり。

 Q:「今、ここがどこかわかっているのか?」

 A:まばたきして首を横に振る

 Q:お前は今、ウクライナにいるのだ。ウクライナだ。ウクライナを相手に戦っていたのだ。

 A:まばたきして首を横に振る

 Q:知らなかったのか?

 A:頷く

 Q:ではここの指揮官らは何と言っていたのだ?誰と戦うと言っていたのだ?

 A:訓練を実践並みにやると言っていた。

 Q:前線には1月3日からいたのか?

 A:頷く

 Q:1月3日から捕まるまでは?

 A:1月3日に(前線に)出てきて、同僚らが死ぬのを見て、ほとんど防空壕で潜んでいたところ1月5日に負傷して・・・

 Q:北朝鮮に戻りたいか?

 A:(しばらく考えてから)ウクライナの人は良い人か?

 Q:ウクライナは悪くない、良いと思う。

 A:(しばらく考えて)ここで暮したい。

 Q:ここに私の他にウクライナの友人ら先生らがいただろ。彼らに話して、できるだけ暮せるように上手くやってあげるから。健康に気を付けて、与えられた食事をしっかり食べて元気にいなさい。またちょくちょく来るから。

 A:家には戻れないのか?

 Q:家に?家に帰りたいのか?

 A:帰れと言えば、帰るし。

 Q:帰れと言えば、帰るし、ウクライナに残れと言えば、残るのか?

 A:頷く。

 聞き取りはここで終わっていたが、イントネーションを含め北朝鮮特有の話し方だった。怪我と捕虜になったことによる不安から声は弱弱しかった、

 ウクライナの尋問官は狙撃将校(B)にも以下のような質問をしていたが、将校は首を振り、頷くだけで質問にはまともに答えられなかった。

 Q:北朝鮮に家族はいるのか?

 B:頷く

 Q:家族がいるのか?

 B:頷く

 Q:両親はお前が今どこにいるのか知っているのか?

 B:頷く

 Q:北朝鮮にまた戻りたいか?

 B:頷く

 韓国のメディアは北朝鮮兵士が北朝鮮への送還を拒否し、「ウクライナで暮したい」との見出しを掲げ、若い兵士の肉声を一斉に伝えていた。

 なお、ゼレンスキ大統領はSNSにウクライナ語や英語だけでなく、韓国語でも以下のようなメッセージを発信していた。

 「初めて生け捕りされた兵士以外にも間違いなく、他にも北朝鮮兵士がいるはずだ。ウクライナ軍がもっと多く占領するのは時間の問題だ。また、世界の誰にもロシアの軍隊が北朝鮮の軍事支援に依存している事実を疑ってはならない。プーチンは3年前、NATOの最後通牒と歴史を書き直そうと試み、今では北朝鮮の軍事支援なくしては何も達成できないでいる。ウクライナは金正恩(キム・ジョンウン)がロシアに抑留されているウクライナ人戦争捕虜と北朝鮮の軍人を交換する場合のみ北朝鮮人を金正恩に引き渡す準備ができている。帰還を望まないならば、北朝鮮兵士らには他の方法もあり得る。特にこの戦争に対する真実を韓国語で広く知らしめ、平和を一日も早くもたらしたいとする韓国人らにそうした機会が与えられると思う。ウクライナは国際社会の世論を喚起し、支援を得るため北朝鮮捕虜らの記者会見も検討中である」

(参考資料:クルスク州でウクライナ軍に生け捕りにされた2人の北朝鮮捕虜の詳細)