2025年1月27日(月)
尹大統領の半年間拘留で注目される金建希夫人の去就 裁判所暴動関与の疑惑も浮上
旧正月の時の尹大統領夫妻(大統領室から)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が哀れにもついに検察に拘束起訴されてしまった。
尹大統領の内乱容疑裁判は来月から始まる。1審判決は早ければ7月には下されるが、それまでの間、尹大統領は長期間ソウル拘置所に勾留される。裁判所には拘置所から出廷することになる。
尹大統領の弁護士は保釈を申請する意向を明らかにしている。しかし、有罪の場合には懲役10年以上の重刑が科せられる金龍顯(キム・ヨンヒョン)前国防長官同様に最高刑が死刑もしくは無期刑の被告人である尹大統領の保釈が認められる可能性は極めて低いと伝えられている。
仮に第1審で有罪判決が下されれば、尹大統領は拘置所から刑務所に直行することになる。当然、「逮捕も起訴も不当」だとする尹大統領は高裁、最高裁まで争うのであろう。どちらにせよ、最高裁で有罪判決がひっくり返らない限り、尹大統領は二度とシャバには出て来れない。そうなると、尹大統領にとって気懸りなのは、溺愛している金建希(キム・ゴンヒ)夫人の去就である。今年の旧正月は不幸にも大統領官邸で一緒に迎えることができなかった。
内乱罪裁判よりも先行している大統領弾劾裁判は遅くとも3月には結審となる。仮に罷免され、失職すれば、金夫人は自動的に大統領夫人の身分を剥奪され、1週間以内に大統領公邸から去らなければならない。そうなると、公邸から放り出された夫人を待ち受けているのは「天敵」野党の疑惑追及である。
金夫人には株操作疑惑から大統領選挙や国会議員選挙への介入疑惑など大小合わせて様々な疑惑がくすぶっている。国会で多数を占める野党はこれまで「金建希特別法」を採択し、特別検察官による金夫人の追及を試みたが、その都度、尹大統領が「伝家の宝刀」である拒否権を発動し、夫人を守ってきた。しかし、今や「守護神」の夫は堀の中である。
折しも運悪いことに金夫人に新たな疑惑が持ち上がっている。
今月19日、尹大統領に逮捕状を発付したソウル西部地裁に大統領支持者らが乱入し、暴動を起こす事件があったが、その際、建造物侵入容疑と器物損壊容疑で身柄を拘束された極右系ユーチューバーの中に「金建希ファンクラブ」である「クイーンゴンヒ(女王建希)」のSNS運営者が含まれていたようだ。
韓国調査ジャーナリズムセンター
が運営しているインターネット新聞「newstapa」(1月23日)が尹大統領夫妻をよく知っている与党「国民の力」の関係者の話として伝えたところによると、「クイーンゴンヒ」のインスタグラムを運営しているのは登録者が84万人にもいる極右ユーチューバー「ヤングパースペクティブ(若い視点)」である。
この「金建希ファンクラブ」は大統領選挙時の2021年12月に開設され、世間の注目を浴びた「建希クラブ」とは別組織で尹大統領就任直後の2022年5月に国際的なイメージアップのためより洗練されたものにする必要があるとの金夫人の意向に沿って結成された新たなクラブである。事実上金夫人の肝いりのクラブである。
「newstapa」によると、2022年5月25日にユーチューブコミュニティやFacebookなどのSNSに金夫人の新しいファンクラブ「クイーンゴンヒ」のボランティアを募集する告知が投稿され、この告知に「ユ・ジェイルのユーチューブ」、「ホン・チョルギTV」などのユーチューブチャンネルと元江西区長のキム・テウの「キム・テウTV」などが協力し、「クイーンゴンヒ」をサポートしていた。
当時の公知には「金建希夫人は今や韓国を超えて世界の注目対象として急速に浮上している」とか「金建希夫人を新たな韓国の新たな高級ブランドにするために協力しよう」と書かれてあった。
漢陽大学卒の今年43歳になる「クイーンゴンヒ」の運営者は尹大統領の非常戒厳令発令を擁護し、さまざまな極右集会に参加していた。西部地方裁判所に大統領支持者が乱入し、抗議する様子を動画で撮影していたところを警察に逮捕され、22日に拘束されていた。
「newstapa」は「金夫人が法廷暴行に参加した背景に直接関与していたかどうかは確認されていない」としているが、野党「共に民主党」の調査委員会は「金夫人が右翼ユーチューバーらをけしかけたようだ」と疑い、追及する構えを崩していない。
なお悪い時に悪いことが重なるもので金夫人の母校、淑明女子大は金夫人の大学時代の修士論文盗用疑惑を調べているが、仮に淑明女子大が金夫人の修士学位を取り消した場合、金夫人の博士論文に免罪符を与えていた国民大学も博士学位を剥奪する方針のようだ。
金夫人にはまだ出国禁止措置は取られていない。その気になれば、出国も可能だ。
(参考資料:「守護神」の夫の逮捕で戸惑う尹大統領夫人 逮捕か、入院か、国外脱出か)