2025年1月28日(火)
韓国 旧正月休みの「政治休戦」中に野党が支持率で与党を逆転
前回の大統領選挙時の尹錫悦候補と李在明候補(党選挙公報HPから筆者キャプチャー)
韓国の政争は旧正月の1月25日から30日まで6連休に入り、目下「休戦中」である。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾裁判は1月14日を皮切りに、16日、21日、23日とすでに4回開かれているが、次回は2月4日である。
政争の「主役」である尹大統領はソウル地方裁判所が旧正月を前に検察が請求した拘束期間延長を不許可にしたことで安堵したものの検察が直ちに尹大統領を内乱罪で拘束起訴したため現在は拘留の身である。また、起訴されたため「弾劾裁判」と同時に「内乱裁判」を抱えることとなった。
「弾劾裁判」は3月には結審が、「内乱裁判」は7月に第1審が予定されているが、大方の予想では尹大統領に厳しい判決が下されるものとみられている。即ち、罷免と死刑もしくは無期懲役である。
こうしたことから与野党ともに罷免を想定し、早ければ5月にも予定されている大統領選挙への対応を急ぐ必要が生じている。
政権与党の「国民の力」は党が選出した党員の尹大統領を守るため連日、裁判所や検察、野党批判の論陣を張っているが、その一方で直近の世論調査の支持率が上昇し、巨大野党の「共に民主党」を上回る結果も出ていることから強気に転じ、巨大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に勝てる候補を擁立する動きが俄かに表面化している。
(参考資料:尹大統領と政権与党の支持率急上昇の5つの原因)
与党候補として取り沙汰されているのは韓東勲(ハン・ドンフン)前代表、元代表の洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、安哲秀(アン・チョルス)議員、それに劉承ミン(ユ・スンミン)元議員の5人の穏健保守候補に加え、急進右翼の金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官の名前が上がっている。
一方、野党陣営では李在明代表の出馬が確実視されているほか、「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)前代表も準備を進めている。
大統領選挙が三つ巴になるにせよ、あるいは無所属候補を含め乱立するにせよ、最終的には「国民の力」の候補と「共に民主党」の李候補との一騎打ちになりそうだ。簡単な話が「政権継続」か、それとも「政権交代」かの争いになる。
世論調査の政党支持率では一時、「国民の力」が「共に民主党」を上回ったこともあったが、直近の調査では「共に民主党」が再び「国民の力」を逆転したようだ。
大手世論調査会社「韓国ギャラップ」(1月24日に発表)の調査では「国民の力」の支持率は38%に対して「共に民主党」は40%だった。また、旧正月連休中に行われ、昨日発表された「KBSテレビ」の調査(1月24〜26日)では「国民の力」が35%、「共に民主党」が37%だった。いずれも「共に民主党」が2ポイントリードしている。
同じく昨日発表されたもう一つの大手世論調査会社「リアルメーター」の調査では「政権継続」を望む声が46%なのに対して「政権交代」は49.1%と、「政権交代」が3ポイント上回っていた。ちなみに前出の「韓国ギャラップ」の調査でも「政権継続」の42%に対して「政権交代」は51%となっていた。
政党支持率も含め誤差範囲にあるが、大統領支持者のソウル西部地裁乱入事件を機に再び、野党が再び盛り返したようだ。
なお、今朝発表された尹大統領の裁判に関する「SBS」の調査(1月23〜25日実施)によると、「弾劾賛成」は59%、「弾劾反対」は37%、大統領の戒厳令発令は「内乱に該当する」が56%、「内乱にあたらない」が38%となっていた。
(参考資料:哀れ!大統領公邸からソウル拘置所に勾留された尹大統領の「処遇」)