2025年7月10日(木)

 1年9か月の間に3度も訪朝するラブロフ外相 その理由は?

2023年10月に訪朝したラブロフ外相を空港で出迎えた崔善姫外相(朝鮮中央通信)

 ロシアのラブロフ外相が北朝鮮外務省の招きで7月11日から13日まで北朝鮮を公式訪問する。

 ラブロフ外相は2023年10月18日に北朝鮮外務省に招かれ平壌を訪れているが、昨年6月もプーチン大統領に同行し、訪朝している。従って、この1年9か月の間に3度も訪朝することになる。

 北朝鮮は2023年の時と同様に2日前にラブロフ外相の訪朝を告示しているが、前回は1泊2日の日程だったが、今回は平壌に2泊する。前回1泊だったのは直前まで北京の一帯一路首脳会議に出席したプーチン大統領と習近平主席の首脳会談に同席していた事情による。

 平壌空港に夜遅く到着したため出迎えに来ていた崔善姫(チェ・ソンヒ)外相との会談は翌19日に行われ、その後、労働党中央委員会本部を訪れ、金正恩(キム・ジョンウン)総書記に面会し、その日のうちにトンボ帰りしていた。

 当時、金総書記との接見の場にはロシア側からは随行者のアンドレイ・ルデンコ外務次官とアレクサンドル・マツェゴラ駐朝ロシア大使が陪席したが、金総書記は通訳のみで誰も同席せず、一人で応対していた。

 金総書記は「ラブロフ外相に安定的で未来志向的な新時代の露朝関係の百年の大計を構築し、その威力で両国人民の福利を増進させ、強大な国家建設偉業を力強く促す労働党と北朝鮮政府の確固たる立場を伝えた」と党機関紙「労働新聞」は報じていた。北朝鮮側からはそれ以上の会談内容は明らかにされなかった。

 一方、ラブロフ外相は崔外相との会談後の記者会見で日米韓3か国の軍事演習の増大と米国の核戦略資産の韓国移転への北朝鮮の憂慮に理解を示し、ロシアは北朝鮮及び中国とともに日米韓が推進している「非建設的で危険な路線に反対し、緊張緩和と緊張高揚不要路線を推進し、緊張高揚に対する建設的な代案を提案するため努力している」と述べていた。

 また、ロシア外務省も声明を出して「ラブロフ外相と崔外相は朝鮮半島の状況を外交的に解決するため共に努力する意思を確認する」と同時に「アジア太平洋地域の状況を悪化させる米国の覇権的な野望に抵抗する決意を示した」と伝えていた。さらに「我々は前提条件のない朝鮮半島の安保問題を議論するための定期的な交渉プロセスを構築することを支持する」と付け加えていた。

 しかし、その後の推移をみると、露朝が米韓に対話や交渉を呼びかけたことは一度もなく、実際にバイデン政権と尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権下では対話や交渉は皆無だった。

 今回のラブロフ外相の訪朝はショイグ安全保障会議書記の6月17日の訪朝からまだ1か月しか経っていない。確か、2023年の時もショイグ書記(当時国防相)が3か月前の7月25日に祖国解放戦争勝利(休戦協定)70周年式典に参加するため訪朝していた。

 軍事と外交のトップが入れ替わり立ち代わり訪朝して協議しなければならない重要な懸案が気になるが、韓国のメディアはロシアや北朝鮮の要人が訪朝する度に「金総書記の訪露をお膳立てすることにある」と伝えているが、ウクライナ戦が継続している限り、金総書記は保安上、訪露できないであろう。

 ロシアのドミトリーペスコフ大統領報道官もタス通信に「現在のところ、近い内に金総書記の訪露の予定はない。そうした計画があれば知らせる」と否定していた。

 ペスコフ大統領報道官はラブロフ外相の訪朝は「北朝鮮との戦略対話を行うことにある」(ペスコフ大統領報道官)と発表していた。

 露朝の戦略対話は崔善姫外相が昨年10月末に訪露し、1回目が行われている。

 結局のところ、現状ではラブロフ外相の3度目となる訪朝は露朝の外交、軍事、経済分野に関する提携強化にあるようだ。