2025年7月27日(日)

 旧統一教会への家宅捜査を巡る報道で韓国版「世界日報」で「内紛」

家宅捜索された京畿道加平にある教団の総本山(「SBSテレビ」さぴさぃ)

 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は「世界日報」という新聞社を持っているが、韓国にもその姉妹紙「セゲイルボ(世界日報)」がある。

 ソウル五輪(1988年)の翌年に創刊された「セゲイルボ」の設立者は故文鮮明(ムン・ソンミョン)教主と後継者の夫人、韓鶴子(ハン・ハックジャ)総裁であるが、韓国ではこれまで教団の宣伝機関紙としてではなく全国紙として一般に認知されてきた。

 扱われる記事は普通の一般紙と変わりはない。政治、経済からスポーツ、芸能にいたるまで国内の様々なニュースを扱っており、また、世界いたるところに特派員を置き、海外のニュースも取り上げる日刊紙として知名度もあり、保守層には一定の影響力を有する媒体である。

 保守系であることから社説などは保守の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領側に立つ論調が目立っていたが、それでも「尹錫悦内乱」関連記事や特別検察官による金建希(キム・ゴンヒ)夫人の家宅捜索などはきっちりとそれなりに報道してきた。教団のNo.2だった尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長が身柄を拘束されたことについても25日付で客観的に伝えていた。

 何よりも今年4月に尹前世界本部長が尹錫悦夫妻の指南役として知られる易者を通じて金夫人にダイヤのネックレスを贈ったとされる疑惑が表面化されて以来、「セゲイルボ」は教団を正面から弁護、擁護する記事を掲載することはなかった。

 ところが、7月23日付の初版1面上段に7月18日の教団の総本山への特別検察チームの家宅捜索について「特検(特別検察官)の過剰捜査、魔女狩りはあってはならない」との見出しの特集記事が載ったことが「セゲイルボ」内部で大きな波紋を招き、一線の記者らが「社主である統一教側が編集権を侵害した」と批判の声を上げる事態に至っている。

 特集記事は「家庭連合への家宅捜索は宗教価値を損なう過剰な捜査」と題する社説や韓国平和宗教学会長でもある「鮮明大学」(教団系の大学)の金ミンジ教授が寄せた寄稿文が大きなスペースを占めていた。

 金教授は「違反行為に対する捜査を行わなければならないが、書面捜査や召喚状捜査など抑制された方法で真実を完全に明らかにすることができる」と主張し、それにもかかわらず家宅捜索を行ったのは「(教団に)恥をかかせようと意図している」と批判していた。

 統一教会を代弁する記事が編集委員会議を経ずに1面に掲載されたことに驚いた韓国記者協会に加盟している記者協会世界日報支部(記者会)はその日のうちに「編集権を侵害する不当な干渉に反対する」との声明を出して「財団は世界日報の使用を中断しなければならない」とし「我々の要求が受け入れられなければ、編集人と編集長の退陣運動も辞さない」との強硬姿勢を打ち出した。

 「寄稿文は根拠のない主張で溢れていた。セゲイルボの顔が毀損された」と、現場が抗議したことで2版からは該当の寄稿文は1ページから削除され、オピニオン面に移された。

 「セゲイルボ」は統一教会の財団法人である「世界平和統一家庭連合維持連合」が大株主であるが、「セゲイルボ」記者会は「社主が財団であって、(セゲイルボは)財団が運営する機関紙ではない」と、財団を忖度するとか、財団の支持を受けた取材は拒否するとの立場を表明している。