2025年6月13日(金)
北朝鮮の毎年駆逐艦2隻の建造は可能?
北朝鮮の第2号駆逐艦「姜健」の進水式
北朝鮮は5月21日に日本海に面した清津造船所で新型駆逐艦をお披露目し、派手に進水式をやるはずだったが、駆逐艦は金正恩(キム・ジョンウン)総書記の目の前で横転、座礁し、ものの見事に浸水に失敗してしまった.
激怒した金総書記は党中央員総会が行われる今月下旬までに「原状どおりに復元せよ」と命じていたが、大方の予想を裏切り、僅か3週間で修繕し、昨日(12日)羅津造船所で無事進水式を行うことができたせいか、配信された写真を見る限り、ご機嫌だった。
敵性国家の韓国や米国から「設備もないし、北朝鮮の技術では元に戻せない」「引き揚げに失敗すれば沈没するかも」「駆逐艦を切断するほかないであろう」「海中から引き揚げても使い物にならないのでは」と散々言われていただけに面子が保てて安堵したのだろう。
今月初めに艦の均衡性を復元した北朝鮮の現地復旧推進班は「次の段階の精密復旧作業は羅津船舶修理工場の乾ドックで行われる予定で作業期間は7〜10日間を見込んでいる」と党中央軍事委員会に報告していた。それだけ作業を急ピッチで進めたので予定を早めることができたのであろう。
事故が発生した時は「国家の尊厳と権威を一瞬にして失墜させた」として現場の責任者である清津造船所支配人、清津造船所技師長、行政副支配人、それに党の責任者である党軍需工業部の副部長ら4人の責任を厳しく問い、身柄まで拘束していたが、今度は一転、清津造船所と羅津造船所をはじめとする艦船工業部門の労働者や関連部門の科学者、技術者、幹部らに感謝を言葉を述べていた。
金総書記は式典での演説で4月に進水式を終えた第1号駆逐艦には祖父金日成(キム・イルソン)主席のパルチザン同士で、初代国防相の崔賢(チェ・ヒョン)の名を、そして今回の第2号駆逐艦には朝鮮戦争で戦死した同じくパルチザン同士の姜健(カン・ゴン)の名を付けたが、何よりも驚くべきは「1年半足らずの短期間に2隻を建造した」(金総書記)ことである。
金総書記は来年から「崔賢」級、またはそれ以上の駆逐艦を毎年2隻ずつ建造し、日本海など作戦水域に配備することを明らかにしているが、韓国の基準では1隻日本円で400億円相当する駆逐艦を毎年2隻建造とはそれだけの軍資金があるということなのだろうか?
金総書記は軍事偵察衛星についても「2024年中に3基保有する」と宣言していたが、2023年から打ち上げが始まった偵察衛星は過去4回発射テストが行われ、そのうち3回失敗し、昨年5月以来、中断したままである。
ちなみに駆逐艦については韓国の海軍は2003年に4500トン級の「忠武公李舜臣」駆逐艦を就役した後に同級を6隻、さらには7600トン級の「世宗大王」級のイージス艦3隻を建造し、保有している。
(参考資料:内外が注目する駆逐艦進水失敗の責任 粛清はあるのか、ないのか、それが問題!)