2025年6月24日(火)

 肩透しに終わった労働党総会 会議内容も「金正恩演説」も人事も非公開

朝鮮労働党中央委員会第8期第12回総会で演説する金正恩総書記(朝鮮中央通信)

 北朝鮮が予告していた党中央委員第8期第12回総会拡大会議がいつの間にか平壌で開かれていた。先週末の土曜日(21日)に開かれ、昨日(23日)閉会していた。

 韓国の情報機関は今回も事前にキャッチできなかった。また 北朝鮮国内の「消息筋」や「情報筋」のネタを「スクープ」として報じる「朝鮮日報」を含め韓国のメディアも「労働新聞」や「朝鮮中央通信」などの報道を受けて今朝になって一斉に報道していた。

 「労働新聞」によると、総会では国家の主要政策実行状況が中間総括され、下半期の事業の中心と闘争方向が再確定され、また一連の党及び国家政策課題の戦略的調整と即時的施行方案が検討承認されたようだ。

 当然、対外政策についても議論されたものと推定されるが、詳細は明らかにされなかった。また、組織問題、即ち人事異動についても公表しなかった。

 何よりも、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「重要演説を行った」(朝鮮中央通信)のにその演説も伏せられていた。いつもなら、大々的に公開するのに実に珍しいことだ。

 敵対国家である米国と韓国で政権交代が実現し、北朝鮮にとっては融和的なトランプ政権と李在明(イ・ジェミョン)政権が誕生した直後だけに韓国など周辺国では北朝鮮の対米、対韓政策及び「金正恩発言」が注目されていた。

 また、ロシアとの「包括的戦略パートナーシップ条約」からまる1年ということもあってロシアに対する今後の軍事支援やイスラエルと米国によるイラン空爆で激変した中東情勢への対応なども関心の的だった。これらの問題について討議されたのかも不明だ。

 さらに、5月21日に起きた5000トン級駆逐艦「姜健号」の進水式の失敗について金総書記は「犯罪行為である」として「責任のある者らは絶対に自分らの罪科をうやむやにしない」と、党総会で討議することを予告していたが、しかし、この件についても何も触れらてなかった。

 事故直後に清津造船所支配人のホン・ギルホ、清津造船所技師長のカン・ジョンチョル、行政副支配人のキム・ヨンハク、党の責任者である党軍需工業部のリ・ヒョンソン副部長の4人が「重大事故の発生に大きな責任がある」として身柄を拘束されていたが、総会ではどのような処遇が下されたのか明らかにされなかった。

 人事異動については配信された写真で若干の変動があったことは確認できた。

 党の総会のひな壇の最前列は金総書記を真ん中に4人の政治局常務委員が着席しているが、今総会では朴泰成(パク・テソン)総理、趙甬元(チョ・ヨンウォン)党書記(党組織指導部担当)、崔龍海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長の3人の他に李煕用(リ・フィヨン)当幹部部長が向かって一番左端に座っていた。政治局員から政治局員常務委員に昇格したものと推測される。

 反対に 昨年12月に総理を解任され、党経済部長に配置換えされた金徳訓(キム・ドクフン)と今年3月に党軍事委員会副委員長のポストを外れ、党軍需政策担当総顧問に就任した李炳哲(リ・ビョンチョル)の2人は後段の政治局員の席に座っていた。

 政治局員は向かって左から党規律調査部長の金才龍(キム・ジェリョン)、前党経済部長の呉秀容(オ・スヨン)、李炳哲、外相の崔善姫(チェ・ソンヒ)、金徳訓、党軍政指導部長の朴正天(パク・ジョンチョン)、党軍需工業部部長の趙春龍(チョ・チュンリョン)、党科学教育部長の崔東明(チェ・ドンミョン)、国防相の努光鉄(ノ・グァンチョル)、潜水艦事故後に大将から上将に降格された軍総政治局長の鄭京澤(チョン・ギョンテク)、軍総参謀長の李永吉(リ・ヨンギル)、それに国家計画委員会副委員長の朴正根(パク・チョングン)の12人である。

 なお、2019年12月から宣伝先導担当書記の座にあった李日煥(リ・イルファン)は消えていた。また、金正官(キム・ジョンクァン)副首相の姿もなかった。

(参考資料:内外が注目する駆逐艦進水失敗の責任 粛清はあるのか、ないのか、それが問題!)