2025年3月10日(月)
米国のウクライナ担当特使が「朝鮮半島で戦争が起きればロシアが派兵」と言及 米韓合同軍事演習が始まる!
一昨年3月の米韓海軍上陸部隊の訓練(韓国海軍配信)
北朝鮮の再三にわたる警告も意に介さず米韓が恒例の合同軍事演習「自由の盾(フリーダム・バンガード)」を本日(10日)スタートさせた。
朝鮮半島での全面戦争を想定した指揮所訓練と陸海空及びサイバーや宇宙など全領域にわたる連合野外機動訓練は3月20日まで続けられる。今年で59回目となる野外機動訓練は昨年8月19日〜29日まで行われた時よりも6件上回り16件に上る。昨年夏の演習には米韓の戦闘機合わせて200機が投入された。
米韓合同軍事演習が始まれば、北朝鮮が対抗手段として短距離ミサイルを発射し、グアムから戦略爆撃機が飛来すれば弾道ミサイルの発射で米韓を牽制するのが恒例となっているが、昨年は北朝鮮外務省米国研究所の名で演習を批判する広報文を出しただけで、北朝鮮は軍事的アクションを取らなかった。
しかし、今年は3月3日に金正恩(キム・ジョンウン)総書記の代理人でもある妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長が「米国は新しい政府が発足するやいなや、前政府の対朝鮮敵視政策を継承し、我々に反対する政治的・軍事的挑発行為をエスカレートさせている」との非難談話を出し、「米国は我々の意志と能力を試そうとするな。それは非常に危険なことである」と、不気味な警告をしていた。
米韓合同軍事演習が始まった今日も外務省報道局が「米国が乱発している腕力行使は増大した安保危機に回帰するであろう」と題した公報文を発表し、「米国が反共和国敵視政策に常習的に執着するほど我々が明らかにした最強硬対米対応原則の当為的名分だけを増し、増大した安保脅威にぶつかる願わない結果を迎えるようになるということを銘記すべきである」との警告を発していた。
昨年に比べて、北朝鮮の反発の強度が増していることは明らかだ。
北朝鮮はすでに昨年10月に国防省の金康一(キム・ガンイル)副相の名で米国の軍事圧力に対して「米本土の安全に重大な憂慮感を増す新たな方式」で対応することを予告している。
その「新たな方式」が仮に太平洋に向けてのICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星17号」や固形燃料使用の「火星―18型」の発射とか、中距離弾道ミサイル「火星12号」を米国領の近海に落とすとか、あるいは太平洋上で新たに建造した戦術核攻撃潜水艦からSLBM(潜水艦弾道ミサイル)の発射実験などを行なえば、朝鮮半島の軍事緊張は否が応でも高まることになる。
まだ一触即発ではない現状では米韓合同軍事演習が引き金で第2次朝鮮戦争の勃発とは考えにくいが、米国のウクライナ担当のキース・ケロッグ特使が3月6日、米外交協会での基調演説で「朝鮮半島で戦争が起きれば、ロシアが北朝鮮を助けるため軍隊を派遣する可能性がある」と発言し、注目されていた。
ケロッグ特使はロシアの対朝派兵は「露朝条約上、その可能性がある」との趣旨からの発言だが、「そうなれば、約2万人の駐韓米軍が脅かされることになる」と発言していた。
プーチン大統領が訪朝した昨年6月に調印され、12月に発効した「露朝包括的戦略パートナーシップ条約」の第4条には「一方が個別的な国家、または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態に瀕する場合、他方は遅滞なく自国が保有する全ての手段で軍事的及びその他の援助を提供する」ことが明記されている。
従って、朝鮮半島有事の際に仮にロシアが北朝鮮のウクライナ戦への対露派兵への恩返しとして朝鮮半島に軍隊を派遣すれば、米露が正面衝突し、交戦することになる。米国としては避けなければならないシナリオであることからウクライナ和平をめぐるロシアとの交渉で北朝鮮の対露派兵だけでなく、ロシアの対朝派兵についてもケロッグ特使は議題に取り上げる考えのようだ。
ケロッグ特使はトランプ第1次政権の4年前との違いは「北朝鮮、イラン、ロシア、中国が一つに固まっていることである」と述べ、「この点をトランプ大統領もルビオ国務長官も理解している」と語っていた。
朝鮮半島で戦争が勃発すれば、ロシアだけでなく、中国も人民解放軍を派遣する可能性もないとは言えない。形骸化されたとはいえ、中朝間にも1961に交わされた相互援助条約である「友好・協力及び相互援助に関する条約」があるからだ。
条約の第2条には「一方に対するいかなる国家からの侵略をもこれを阻止するためすべての措置を共同で執る義務を負う。一方が、いかなる一つの国家,または、いくつかの国家の連合から武力侵攻を受け、戦争状態にある場合、協約相手方はあらゆる力量を尽くして、遅滞なく軍事的及びその他の援助を提供する」と定められている。
(参考資料:ウクライナに目を奪われている間に危機高まる朝鮮半島 「金正恩の代理人」が米空母の釜山入港に反発)