2025年3月16日(日)
中国のメディアが韓国観光に注意報 「暴風前夜」の韓国訪問に用心!
15日に開かれた尹大統領弾劾賛成集会(左)と反対集会(韓国「ニュース1」から)
少し気になっていたが、中国の「人民日報」が出資したオンラインポータブル言論メディアの「人民網」が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の釈放で韓国は「暴風前夜である」として韓国を訪問、旅行する中国人に注意を促す記事を数日前に載せていた。
確かに、尹大統領が釈放されたことで弾劾棄却を求める大統領支持派の声が一段と高まり、その反動で危機感を深めた弾劾賛成派が再び、総結集し、一斉に街頭に繰り出したことで弾劾賛成派と反対派の対立は先鋭化し、ソウル市内が騒然となっているのは事実である。
それでも一般の市民生活にはさほど影響はない。集会やデモで場所によってはところどころ渋滞が発生しているが、外出禁止令が出ているわけでもない。日本人を含め観光客は減少していない。飛行便は飛んでいる。
しかし、中国人にとっては今の韓国は居心地が悪いはずだ。
非常戒厳令を発令した尹大統領が12月12日の国民向け釈明談話で「中国産の太陽管パネルが韓国全域の山林を傷つけている」とか、中国人スパイがどうのこうのと「反中発言」を連発し、それに触発された大統領支持派のユーチュバーらが「中国共産党が韓国の不正選挙に関与していた」とか「大統領の弾劾集会に中国人が大挙参加している」とのフェイク情報を流し、反中感情を煽っているからだ
駐韓中国大使が韓国政府に抗議するほど中韓関係は最悪の状態にある。実際に中国人とわかっただけで妄言を浴びせられるケースが相次いでいるようだ。
「人民網」によると、1月22日には中国人女性一行が大統領支持派の集会の近くを通り過ぎようとしていたところデモ隊から集団暴行を受ける映像がSNSで公開され、中国国内で拡散したようだ。暴行された中国人女性の中には妊婦がいて、お腹に手を当てて苦痛を訴えたが、デモ隊の興奮は収まらなかったとのことだ。
ソウル市内の弾劾賛否集会は光化門だけでなく、大統領の弾劾可否を決める憲法裁判所の前を含め大学街などいたるところで散発的に行われていることからガイドなしでは旅行者が集会場所を避けて通るのは容易でない。
当然のこと、旅行者にとっては治安と安全が何よりも望まれる。
韓国文化体育観光部と観光公社は中国人観光客を誘致するため3月6日に中国・広州で「Kポップ観光ロードショー」を開催するなど観光PRに力を入れていたが、中国のネット上では「韓国内の不安な政局を棚上げにして、中国人を危険な地域に誘因しようとしている」と非難の声が上がっている。
韓国観光公社によると、昨年(2024年)韓国を訪れた外国人観光客は総計で1637万人だが、最も多いのが中国人で、460万人(28%)。2位の日本(322万人)よりおよそ100万人以上多い。韓国にとっては中国人は一番の「お客さん」なのである。
しかし、今年の春節(1月28〜2月4日)に韓国を訪れた中国人観光客は「反中」感情が災いしたのか、日本だけでなく、タイにも抜かれたようだ。