2025年3月18日(火)
ハッキングを監視、追跡されても北朝鮮のビットコイン保有量は世界3位に
パソコンを扱っている軍人の隣に立って見つめている金正恩総書記(労働新聞から)
外電によると、北朝鮮のビットコインの保有量は現在1万3562BTCで米国(19万8109BTC)、英国(6万1245BTC)に次ぎ、世界3位とのことである。
北朝鮮のビットコインの保有量はドルに換算すると、推定で11億4000万ドル(約1700億円)相当になる。
北朝鮮当局はサイバーによるハッキングを否定しているものの、北朝鮮のサイバー攻撃が国際的にクローズアップされたのは2014年12月に北朝鮮が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の暗殺を題材にした映画「ザ・インタビュー」を製作した米ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)にハッカー攻撃を仕掛けてからだ。
北朝鮮はすでに金正恩政権が発足した2012年から「キムスキー」「ラザルス」 「APT38」
「アンダリエル」などハッキングループを運営し、サーバー攻撃を全方位で展開していた。例えば、「APT38」は2014年以降、米国、台湾、マレーシアなど約11カ国、16か所の銀行にハッキングを仕掛けていた。
また、韓国の国家情報院(国情院)によると、韓国では2016年に仮想通貨取引所から260億ウォン(約26億5523万円)相当がハッキングされており、日本でも2017年以後、980億円相当のビッドコインが盗まれている。
韓国は北朝鮮が2017年から7年間で暗号通貨のハッキングにより総額で13億4000万ドルを稼いでいたと推定している。
国連安保理制裁委員会が2021年3月に公表した報告書でも北朝鮮は新型コロナウィルス期間中の2019〜20年の間に仮想通貨交換所への攻撃で推計3億1640万ドル(約333億円=当時)を奪ったとされている。また、「国情院」の報告では北朝鮮は2022年の1年だけで約7億ドル(約978億円)相当の暗号資産を盗んだとみられているが、この被害額は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の30発に匹敵する費用と見積もられている。
米中央情報局(CIA)や米連邦捜査局(FBI)など16の情報・捜査機関を束ねている国家情報局(DNI)のアブリル・ヘインズ長官(当時)も2023年5月5日、米上院軍事委員会が開催した聴聞会に出席し、北朝鮮がハッカー攻撃で奪取した暗号資産が「北朝鮮の核とミサイル開発に使用されている」として「米国の安全保障にとって脅威である」と警戒心を露わにしていた。
盗んだとされる金を何に使ったかは、北朝鮮のみぞ知るところだが、それにしても仮に核・ミサイル開発に使っているならば、国連安保理がいくら経済制裁を掛けても、サイバー攻撃を止めない限り、核・ミサイル開発は止まらないだろう。
金融機関や仮想通貨交換所へのサイバー攻撃による資金強奪は銀行強盗と同じ犯罪行為である。北朝鮮が国家レベルで組織的にやっているならば、まさに国家犯罪である。
国家犯罪は本来ならば、国際刑事裁判所で裁かれるべきだが、人権問題では提訴されたが、金融機関へのハッキングで北朝鮮を訴えたとの話は聞いたことがない。北朝鮮に対しては完全にお手上げの状態にあるようだ。
北朝鮮は核やミサイルに限らず、人道問題での国連の非難、制裁決議も一切黙殺しているわけだからどうにもならない。
仮に「どうして盗むんだ」と詰問されたとしてもおそらく「制裁を受け、貿易ができず、金がない。生きてゆくには盗むほかない」と、「盗人にも三部の理がある」との理屈を平然と持ち出すのではないだろうか。