2025年3月19日(水)
日米を戦争に巻き込んだかもしれない韓国大統領の「陰謀」
赤線はNLL,黒線はDMZ,緑線はNFL、黄線はヘリの飛行ルート(調査報告書)
一度ならば見逃すこともできるが、二度、三度となるとそういうわけにはいかない。まして、それが戦争になるかもしれない危険なゲームならばなおさらのことである。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳令宣布直後に最大野党の「共に民主党」(民主党)は尹政権が非常戒厳令の口実を作るために軍に「ゴミ風船を飛ばしている北朝鮮の原点(拠点)を攻撃させようとしていた」と非難し、また戒厳令発令のおよそ2カ月前に北朝鮮の平壌上空に無人機を3度も飛ばしたのも「北朝鮮を挑発し、局地戦に誘導することにあった」と、糾弾していた。
衝撃的な発表であったが、正直俄かに信じ難かった。挑発は北朝鮮の「専売特許」で、韓国とは無縁と韓国民の多くはそう理解していたからだ。
非常戒厳令の内幕を追及している国防委員会所属の「民主党」の朴範界(パク・ポンゲ)議員が軍関係筋から得た情報によると、尹大統領と共に戒厳令の計画を練った金龍顯(キム・ヨンヒョン)国防部長官(当時)は軍合同参謀本部に対して「なぜ、北朝鮮のビラ風船に警告射撃をしないのか、風船を飛ばしている原点(地点)をなぜ攻撃しないのか」と、再三叱責していたようだ。無人機については側近の呂寅兄(ヨ・インヒョン)国軍防諜司令官に指示し、10月に3回平壌上空に飛ばすことができたようだ。
無人機が平壌に侵入し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の執務室のある労働党庁舎の上空から金総書記を扱き下ろすビラをばら撒けば、北朝鮮は過去の例からして間違いなく韓国が実効支配している海の軍事境界線と称される北方限界線(NLL)上の島々に砲弾を撃ち込んでくるとのシナリオの基に決行されたようだ。非常戒厳令は「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態においてのみ戒厳を宣布できる」(憲法第77条)からである
野党の「北風工作疑惑」追及に合同参謀本部も大統領室も「事実無根である」と否認し、制服組トップの合同参謀本部の金明秀(キム・ミョンス)議長にいたっては「絶対にない。首を賭けても良い」と全面否定していたが、国会特別調査委員会に参考人として呼ばれたカン・ホギョン地上作戦司令官は金国防長官から「原点打撃でなくてもゴミ風船には警告射撃すべきではないか」との電話があったことは認めていた。
その後、尹大統領の弾劾裁判に世論の関心が向けられたこともあって尹政権の「北風工作」疑惑は収まっていたが、尹大統領の「外乱」を執拗に追及する「民主党」の「内乱真相調査団」は今月17日、軍内部からの情報に基づく調査結果として、「尹政権が非常戒厳令を発令するため北朝鮮を挑発し、武力衝突を引き起こそうとしていた」との報告書を再度発表していた。
調査団長の秋美愛(チェ・ミエ)議員(元法務部長官)が記者会見で発表した調査結果によると、軍は昨年6月から11月までの間に計4回、NLL上の白リョン島で「統合情報作戦」を遂行し、北朝鮮との武力衝突を誘導しようと画策していた。
具体的には2024年6月26日に西北諸島防衛司令部の海兵隊第6旅団が白リョン島で7年ぶりに海上射撃訓練を再開させ、自走砲や多連装ロケット、70ミリ誘導ロケットなど計290発を公海上の標的に向けて発射したが、問題は砲射撃直後に空軍戦闘機とアパッチヘリを飛ばし、威嚇示威飛行を行ったことだ。
この時、作戦に参加したアパッチヘリの操縦士らに下された命令は「休戦ライン付近で高度を上げ、北朝鮮軍に意図的に露出せよ」というもので、操縦士らは「作戦のブリーフイングの段階でも『敵に露出するのが目的である』との発言があった」とのことである。
操縦士らは命令を受けた時に「なぜ、ここまでして北朝鮮を刺激しなければならないのか」と、疑問を持ったそうだが、「戒厳令が宣布された後になったその理由がわかった」と「調査団」に証言している。
飛行禁止線(NFL)以北の飛行は敏感な飛行だけに飛行機は定められた航路である回路を通じて飛行することになっている。回路を少しでも離脱すれば、直ちに警告無線で知らされる。
この時の「統合情報作戦」ではジグザグ模様の飛行経路である回路の最北端頂点と最北端頂点を横切り軍事境界線(DMZ)を超近接して飛行するよう指示されていた。また、地上ではリアルタイムで監視装備を活用し、北朝鮮軍の位置を把握し、操縦士らを北朝鮮軍のいる地点に誘導し、「敵に見えるように高度を上げろ」との命令を出していた。
注目すべき点は「敵を叩け」との交信が「秘話通信」(盗聴防止用の通信)ではなく、一般用の通信を使ったことだ。あえて北朝鮮軍に聞こえるようにし、北朝鮮が探知、対応できるようにしたとの疑いが持たれている。
調査団は「『統合情報作戦』は単なる軍事作戦ではない。北朝鮮軍の対応射撃の誘導あるいは強烈な反発を誘導するための意図的な挑発である。仮に、北朝鮮が対砲射撃した場合、即時、交戦に発展したかもしれない」と、事態の深刻さを強調していた。
秋団長によると、危険なのは「統合情報作戦」は回数を重ねる度に危険度を増したことである。
戒厳令が宣布される前の11月6日にも同じく海兵隊第6旅団が白リョン島で訓練を実施したが、自走砲が200発発射された後に飛び立ったアパッチヘリはNFLを越え、回路最北端と北端を横切り、より北朝鮮に近い地点で飛行作戦を実施していたことだ。
万が一、北朝鮮が挑発に乗って手を出せば、局地戦争どころか、へたをすると全面戦争に発展したかもしれない。そうなれば、在韓米軍どころか在日米軍、そして米軍に基地を提供している日本も巻き込まれることになる。
「民主党」の調査団はこの件で何度も軍に問い合わせていたが、軍は即座に回答せず、黙秘を通していたが、最近になって「通常の訓練である」との回答を寄せていた。
(参考資料:韓国軍が無人機を平壌上空に飛ばしたのは北朝鮮の軍事挑発を誘導し、戒厳令を敷くためとは驚いた!)