2025年5月22日(木)

 韓国大統領選 野党候補の圧勝予想から与党候補の追い上げで一転接戦へ!

与党の金文洙候補(左)と野党の李在明候補(韓国中央選挙管理委員会から)

 韓国の大統領選挙は序盤、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の圧勝が予想されていたが、5月18日のテレビ討論を境に与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補が激しく追い上げ、接戦の兆しが出てきた。

 投票日(6月3日)まで2週間を切ったが、金韓国の大統領選挙は序盤、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の圧勝が伝えられていたが、5月18日のテレビ討論を境に与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補が激しく追い上げ、接戦の兆しが出てきた。

 投票日(6月3日)まで残り13日となったが、金文洙候補の終盤の追い上げ次第では、あるいは「国民の力」と袂分かった保守系野党「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)候補との一本化が成立すれば、逆転もあり得る。

 テレビ討論後に実施された幾つかの世論調査をみると、支持率では李在明候補が依然としてリードしているが、その差は徐々に接近しつつある。

 大手紙「東亜日報」系列のテレビ放送会社「チャンネルA」が5月21日に実施した世論調査によると、三つ巴の大統領選で「だれに投票するのか」の設問に「李在明」46.1%、「金文洙」35.4%、「李俊錫」9.9%と、李在明候補がライバルの金文洙候補を約11ポイントも引き離している。

 ところが、李在明候補と金文洙候補の2者対決だと、李在明候補の48.9%、金文洙候補の39.5%と、その差は一桁の9.4ポイント。5月下旬の第1回調査時よりも李在明候補は3.6ポイント減らし、逆に金文洙候補は11.1も上昇していた。

 差が二桁だと、厳しいことに変わりはないが、「差は一桁」との世論調査の結果もある。

 その1.「エネルギー新聞」が大手世論調査会社「リアルメータ」に委託して20日から21日に掛けて行った調査

 李在明候補48.1%、金文洙候補38.6%、李俊錫候補9.4%という結果が出た。ここでも李在明候補は先週より2.1ポイント下落し、逆に金文洙候補は3.0ポイントもアップしていた。

 そして、李在明候補と金文洙候補の直接対決となった場合は、李在明候補の50.3%に対して金文洙候補は43.5%と、その差は6.8ポイントまで接近。1週前の調査では13.9ポイントの開きがあったが、僅か1週間で半分近く差が縮まっていた。

 その2.韓国紙「デイリアン」の委託を受け世論調査会社「公正」が5月19日から20日にかけて実施した世論調査

 「6月3日の大統領選挙には誰に投票するのか」では「李在明」が45.1%、「金文洙」が41.9%と、その差は僅か3.2ポイント。完全に誤差の範囲だ。先週の調査と比較すると、李在明候補は0.7ポイント減で、逆に金候補は3.1ポイント上昇していた。

 李俊錫候補は8.8%なので万が一、保守が金文洙候補で一本化すれば、49.9%となり、李在明候補を完全に逆転する。

 その3.「エブリニュース」が「エブリリサーチ」に委託して5月19日に行った世論調査

 李在明候補46.0%、金文洙候補41.6%と、金文洙候補は4.4ポイントの差まで追い上げていた。

 その4.「アジアトゥデイ」が韓国世論評判研究所(KOPRA)に委託し、5月20日に行った世論調査

 李在明候補46%、金文洙候補41%と、ここでもその差は5ポイントまで接近していた。(李俊錫候補は10%)

 李在明候補の支持率低下はテレビ討論会や遊説で「ホテルの予約金がキャンセルになったとしてもその間、地域でカネが回っていれば、経済はなんとなるもの」との「ホテル経済」発言や「コーヒーは一杯8千ウォンから1万ウォンなのに原価は120ウォンに過ぎない」発言などで自営業者や小商工人ら有権者らの反発を買い、一部中道層の支持率が離脱しているのが要因となっている。

 一方、金文洙候補は、足を引っ張っていた尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が自ら進んで離党したことや予備選で敗退し、選挙戦を傍観していた韓東勲(ハン・ドンフン)前代表が応援に乗り出すなど保守層が結集し始めたことが支持率上昇に繋がっている。

 なお、ニュース専門放送局「YTN」が実施した世論調査では尹前大統領の離党については国民の56%が肯定的に捉えていた。