2025年11月10日(月)

 金建希夫人は「悪名高い夫人」として韓国の歴史に刻まれるのか

収賄した高額なネックレスを身に付けて外遊していた頃の金建希(大統領室から)

 世界のファーストレディーの中には死刑判決を受けた毛沢東夫人(江青)や処刑されたルーマニアのチャウシェスク大統領夫人(エレナ)、海外亡命を余儀なくされたフィリピンのマルコス大統領夫人(イメルダ)などが不幸な末路を辿っているが、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人(金建希)もまた、そのリストに加わることになりそうだ。最悪の場合、夫を没落させた「悪名高い夫人」として韓国の歴史に名を残すかもしれない。

 金建希(キム・ゴンヒ)夫人は韓国国内のディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作に関与し、株価だけで8億ウォン(約8436万円)以上の利益を得た容疑だけでなく、その他斡旋収賄容疑などで収監され、現在、裁判を受けている。

 斡旋収賄も賄賂授受も5年以下の懲役だが、収賄額が1億ウォン以上だと、無期もしくは10年以上の懲役が宣告される。金夫人の収賄額は現在までのところ総額で3億9273万ウォン(約4191万円)に上る。その詳細は以下のとおりである。

 ▲2022年3月 中堅建設会社「瑞熙(ソフィ)建設」の李鳳官(イ・ボングァン)会長から尹大統領当選祝いとして6200万ウォン(約660万円)相当の高級ブランド「フ&アーペル」のネックレスを直接受け取る。

 ▲2022年4月 元梨花女子大総長で大韓民国国家朝食祈祷会の李培鎔(イ・ベヨン)副会長から大統領当選祝いとして200万ウォン(約21万円)相当の「金の亀」を受け取る。見返りとして7月に李氏を韓国初の国家教育委員長に任命。大韓民国国家朝食祈祷会の会長は金夫人に貴金属3点セットを渡した李鳳官「瑞熙建設」会長である。

金夫人が李培鎔氏から貰った「金の亀」(JPニュースから)

 ▲2022年4月 統一教会から「乾真法師」と称されている尹大統領夫妻の指南役の全聖培(チョン・ソンベ)を通じて802万ウォン(約84万円)相当のシャネルのバッグを受け取る。

 ▲2022年4月 李鳳官会長から追加で2600万ウォン(約272万円)相当のティファニーのブローチと2200万ウォン(約233万円)相当のグラフのイアリングを直接受け取る。李会長からは娘婿の就職の斡旋を要請される。結局、娘婿は同年6月3日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相の秘書室長に任命された。

 ▲2022年7月 統一教会から全聖培氏を通じて6220万ウォン(約660万円)相当のグラフのネックレスと1271万ウォン(約134万円)相当のシャネルのバッグ、それに高価な高級人参茶を受け取る。統一教会から尹錫悦政権にODA(政府開発援助金)による教団のカンボジアプロジェクト支援の要請を受ける。教団は「教団とは関係がなく、尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長が個人的に行ったこと」と釈明。

 ▲2022年9月 「ロボット犬」輸入業を営む事業家のソ・ソンビン氏から5400万ウォン(約572万円)相当のスイス製ヴァシュロン・コンスタンタンの高級腕時計を受け取る。尹錫悦政権発足と同時にソ氏は大統領警護処との間で「ロボット犬」の警護に関する随意契約を結んだ。

 ▲2022年9月 在米韓国人の崔在鎔(チェ・ジェヨン)牧師からソウル瑞草洞にある金夫人の会社「コバナコンテンツ」で300万ウォン(約32万円)相当のクリスチャンディオールのバッグを受け取る。

 ▲2023年3月 元検事の金相?(キム・サンミン)氏から兄を通じて1億4000万ウォン(約1513万円)相当の現代美術家、イ・ウファン(李禹煥)氏の絵画を受け取る。「特検」は国会議員選挙で公認を求める請託の見返りとして金相?氏を逮捕、起訴している。

 ▲2023年3月 当時与党だった「国民の力」の代表に選出された金起R(キム・ギヒョン)議員の妻から100万ウォン(約10万5千円)相当のロジャー·ヴィヴィエのバッグを受け取る。この件について金起R議員は「請託したことはなく、社会的、儀礼的な贈り物に過ぎない」と釈明しているが、妻は贈り物に「当選させてくれたありがとうございます」との御礼の手紙も添えていたことから特別検察チーム(特検)は請託禁止法違反として金議員を逮捕、起訴する方針と伝えられている。

 この他にも大統領官邸移転工事との関連でインテリア業者の「21gram」のキム・テヨン代表の妻からクリスチャンディオール製の貴金属を受け取った疑惑を「特検」が追及中である。

 金建希夫人は李鳳官会長からの「ヴァンクリーフ&アーペル」のネックレスについては当初「友人からの借り物」と説明し、その後「10年以上前に香港で母へのプレゼントとして購入したコピー商品」と弁明したものの最終的には李鳳官会長が「あれは私が購入し、金建希氏にプレゼントしたしたものである」と自供したことで容疑が固まった。

 統一教会からのシャネルのバッグは随行秘書だった当時韓国大統領室のユ・ギョンオク行政官が受け取った後、シャネルの店舗を訪れ、802万ウォンのシャネルのバッグは730万ウォンのバッグと158万ウォン相当のサンダルと交換。また1200万ウォン相当のバッグは1100万ウォン相当のバッグと490万相当のバッグと交換していた。

 金建希弁護団は裁判で「最初はバッグの提供を断ったが、全聖培氏に説得され最後まで断れなかった。受け取ったものは一切使用せず、全聖培氏に全て返した」と説明し、「統一教会との共謀や請託、癒着などの関係は一切なかった」と弁論している。

 公職者倫理法では500万ウォン(約53万円)以上の貴金属は申告することが義務付けられており、請託禁止法では公職者とその配偶者は300万ウォン(約32万円)を超過する金品の授受を禁じられている。