2025年11月12日(水)

 尹錫悦前大統領が戒厳令発令のために北朝鮮との戦争を画策 韓国の内乱特検捜査チームが結論

韓国軍が昨年10月に北朝鮮に向け飛ばした無人機(朝鮮中央通信)

 韓国軍が昨年の10月3日、9日、10日と立て続けに海の軍事境界線と称されている北方限界線(NLL)上の島から無人機を北朝鮮に向け飛ばしたのは北朝鮮との軍事衝突を誘発するためであったことが明らかになった。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の内乱容疑を捜査中の特別検査チーム(特検)は尹錫前大統領が戒厳令宣言の名分つくりのため北朝鮮を挑発し、南北武力衝突の危険を増大させようと忠岩高校の先輩にあたる金龍顯(キム・リョンヒョン)前国防長官と共謀し、高校後輩の呂寅兄(ヨ・インヒョン)国軍防諜司令官に命じて引き起こした「ドローン浸透作戦工作」であったとして、事件発生から1年経った11月10日に3人を起訴し、裁判所に引き渡した。

 韓国軍が平壌に向け飛ばした無人機の座標はこれまでは金正恩(キム・ジョンウン)総書記の執務室がある「15号官邸」とされていたが、「特検」が押収した呂寅兄国軍防諜司令官の携帯電話メモの中には▲核施設2か所▲三淵元にある偶像化施設▲元山の外国人観光地▲元山にある金総書記の別荘などが含まれていた。

 「15号官邸」は北朝鮮にとっては核心施設で、金総書記の執務室のある労働党庁舎や護衛司令部、さらには外務省などの行政機関が集中した言わば、平壌の心臓部である。また、核施設はおそらく平壌から40km離れた寧辺の核施設を指すものとみられる。

 また、両江道にある三池淵は革命の遺跡地として知られ、金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)前総書記の銅像など革命記念碑が散在している。

 さらに、元山は外国人観光客を誘致するための観光リゾート地として北朝鮮が国家プロジェクトとして最も力を入れていた地域で金総書記も別荘のあることから元山に頻繁に訪れていた。

 尹前大統領らは金総書記の執務室のある労働党庁舎の上空から無人機を使って金総書記を扱き下ろすビラを散布すれば、北朝鮮は確実に対抗措置として無人機を飛ばすか、NLL上の島に砲弾を撃ち込んでくるとのシナリオを描いていたようだ。そうなれば、「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態においてのみ戒厳を宣布できる」(憲法第77条)非常戒厳令を合法的に発令できるからだ。

 かつて北朝鮮は金正日政権下の2009年10月に脱北団体の対北ビラ散布に対して「軍が実践行動を取る」と警告し、11月23日に韓国の延坪島を砲撃したことがあった。また、金正恩政権下でも2014年1月に京畿度蓮川からのビラに向け対空機関銃を10数発発射したことがあった。

 北朝鮮は無人機が首都に侵入した際、人民軍総参謀部が12日に国境線付近の各砲兵連合部隊に完全射撃準備態勢を整えることに関する作戦予備指示を下達し、翌13日には国防省スポークスマンが「無人機が再飛来すれば、宣戦布告とみなす」との警告を発した。「

 そのうえで14日に金総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が米国に向け「核保有国の主権がヤンキー(米国)が手なずけた雑種の犬(韓国軍)によって侵害されたならば、野良犬を飼った主人(米国)が責任を負うべきことである」と韓国をコントロールするよう促し、北朝鮮の発表で「無人機事件」を知った国連軍、即ち駐韓米軍が韓国軍に停戦違反にあたるので無人機を飛ばさないよう警告したこともあって呂防諜司令官は昨年10月18日に携帯電話メモ帳に「不安定な状況で短期間に効果を発揮できる天才的な機会を見つけて攻撃しなければならない」と書いていたが、韓国軍は以後、軍事行動を自制せざるを得なかった。

 それにしても恐ろしい話だ。仮に、北朝鮮が尹大統領の挑発に乗れば、局地戦争、へたをすると、全面戦争に発展したかもしれない。そうなれば、駐韓米軍だけでなく、在日米軍、即ち日本を巻き込んだかもしれない。

 なお、昨年10月27日付の呂防諜司令官のメモには「戒厳令布告違反最優先逮捕捜索リスト」が記載されており、当時野党代表だった李在明(イ・ジェミョン)大統領、第2野党「祖国革新党」の゙ 国(チョ・グク)代表、当時与党「国民の力」の代表だった韓東勲(ハン・ドンフン)氏らの名前が記載されていた。