2025年11月8日(土)
珍事!夫婦揃って同じ日に同じ裁判所に出頭 夫の尹錫悦被告は4階で 妻の金建希被告は3階で
尹錫悦大統領夫妻(JPニュースから筆者キャプチャー)
韓国では共謀容疑が掛けられても夫婦が同時に身柄を拘束され、収監されるケースは稀だ。例えば、現在第2野党「祖国革新党」の党首である元法相の゙国(チョ・グック)夫妻の娘の不正入学疑惑事件では先に逮捕、収監された夫人が勾留期間満了で釈放された後に゙国氏が2年の刑で収監されている。
同時に身柄を取らず、片親を残すのは韓国ならではの子供らのための恩情である。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の場合は、二人の間に子供がいないせいもあって、また容疑が重大で多岐にわたっていることもあってそうした例外が適用されていない。
尹前大統領は昨年12月の非常戒厳の発令を巡る特殊公務執行妨害などの疑いで7月10日に再逮捕され、現在は京畿道義王市にあるソウル拘置所に収監されている。
夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏は後を追うように1か月後の8月12日に株価操作や斡旋収賄など複数の容疑で逮捕され、ソウル九老区にある南部拘置所に収監されている。
大統領就任後の民族衣装を着た晴れやかな尹錫悦夫妻(大統領室から)
囚人番号「3617」の尹前大統領は約2坪(約6.6平方メートル)の、「4398」の金夫人は約1.9坪(6.56平方メートル)の独房に入れられている。独房は官物台(棚)と折り畳み式の机、便器、それにテレビが備え付けてあるが、エアコンはない。ベッドはなく、床に布団を敷いて就寝しなければならない。
拘置所を別にしたのは尹前大統領を収容しているソウル拘置所の負担が増すのを回避するためだけでなく同じ拘置所に置いておけば、弁護士など第3者を介して口合わせをする恐れもあり、金夫人をソウル九老区にある南部拘置所に移送したと伝えられている。
金夫人は収監された直後に接見した弁護士に「再び夫と一緒に暮らせるだろうか。再び会うことができるのだろうか」と、不安げに質したそうだが、昨日(7日)二人は奇遇にも収監されてから初めて同じ建物にある裁判所に出頭していた。
裁判所内での重なる動きを防ぐための措置として裁判は時差で行われ、それも尹前大統領の裁判は4階にある417号法廷で、金夫人の裁判は一つ下の3階の311号法廷で開かれたため二人が直接会うことはなかった。
尹大統領の特例公務執行妨害容疑裁判はソウル中央地裁刑事35部(裁判長:ぺク・テヒョン部長判事)が、金夫人の独身時代のドイツモーターズ株価操作疑惑(転換社債を相場よりも安い価格で購入した疑惑)や大統領夫人になってからの旧統一教会絡みの斡旋収賄疑惑をめぐる金夫人の裁判はソウル中央地裁刑事27部(裁判長:ウ・インソン部長判事)が担当しているが、金夫人の裁判は非常戒厳令1周年にあたる来月(12月)3日に検察の求刑と金夫人の最終陳述を最後に終結する。
慣例に従えば、裁判所は公判終結から1〜2ヶ月後には宣告を出すが、今回は宣告重大な裁判であり、国民の知る権利を保障するため裁判は生中継、もしくは録画中継されるようだ。
金夫人は現在、健康問題を理由に保釈を申請し、11月12日に保釈審問で直接陳述することになっているが、仮に保釈されなければ、来年、拘束された状態で判決を受けることになる。もし1審で有罪を宣告されれば、そのまま刑務所暮らしが続くことになる。
一方、尹前大統領は昨日の公務執行妨害以外にもソウル中央地裁刑事25部(裁判長:チ・グィヨン部長判事)で4月から公判が始まった内乱容疑裁判が今も継続中だが、11月22日まで後9回公判を行い、審理を終える予定である。
仮に1月18日まで判決が出なければ、今年1月19日に逮捕された尹前大統領の拘束期間は1年なので来年1月19日は保釈しなければならない。
そうしたことから尹前大統領の弁護団は容疑を全面否認、反論するだけでなく尹前大統領に有利な証言をしてくれる証人らを次々に証言台立たせるなどして裁判の遅延を図っているとも言われているが、特別検査チーム(特検)は内乱罪で有罪判決(死刑もしくは無期懲役)が下るまで海兵隊員殉職事故への職権乱用容疑や公職選挙介入容疑などで起訴し、拘置所にとどめておく方針のようだ。