2025年10月31日(金)

 北朝鮮は中国に次ぐ第2のレアアース埋蔵国

北朝鮮の鉱山採掘(「今日の朝鮮」から)

 注目されていた米中首脳会談は決裂せず、米国は中国からの輸入品に課している追加関税を10%に引き下げることで、中国はレアアース(希土類)の輸出規制を1年延長することで妥協した。

 当初強気だったトランプ大統領は中国に80%も依存しているレアアースを習近平主席が持ち出したことで譲歩せざるを得なかった。換言すれば、中国のレアアースは対米貿易戦争での強力なカードとなったようだ。これにより、今後、レアアースが注目を浴びることになるであろう。

 レアアースはネオジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジスプロシウム、ルテチウムなど17の希土類元素の総称で、卓越した化学的・電気的・発光的な特性を持っており、携帯電話、コンピューター、ハイブリッド自動車や電気自動車のモーターなど先端技術やハイテク製品に欠かせない物質だ。蓄電池や発光ダイオード(LED)など電子製品をつくる際にも使われる。

 北朝鮮が有数のレアアース(希土類)埋蔵国であることは知られてない。しかし、十数年前から「世界1位の中国に次ぐ埋蔵量があるかもしれない」と囁かれていた。

 中国の証券時報網が2013年12月13日に「北朝鮮で大規模なレアアース鉱床発見か…潜在価値は数兆ドル」との見出しの記事を載せ、それに合わせて労働党機関紙「労働新聞」が2013年12月23日付に「我が国のレアアースの埋蔵量は世界的なレベルとなる」と報じたことによる。

 北朝鮮はすでに国家資源開発指導局を国家資源開発省に格上げし、レアアース鉱物資源の開発事業はこの省が取り仕切っている。同省の金興柱(キム・フンジュ)副局長は2013年から2014年にかけて朝鮮中央通信記者のインタビューに「レアアース鉱物資源の効果的な利用は経済強国の建設で重要な意義を持つ」と述べ、北朝鮮がレアアースの開発にただならぬ関心を払っていることを示唆していた

 しかし、肝心の埋蔵量については正確なことは何一つわかってない。埋蔵量一つとっても、北朝鮮は2千万トンと推定しているが、韓国では数百万トンと見積もっていた。

 金興柱副局長によると、最大の埋蔵量地は平安北道定州で、この他に江原道平康郡と金化郡、黄海南道青丹郡に点在しているとのことである。さらに咸鏡南道や両江道にもレアアースの鉱床があり、「探査が行われば、埋蔵量は(2千万トンよりも)もっと増えるかもしれない」とのことだ。

 俄かに信じ難いことだが、前出の証券時報網によれば、定州の鉱物の埋蔵量は60億トンと推定されており、そのうちレアアースだけでおよそ30分の一の2億トンに上り、数兆ドルの価値があると見積もっていた。これが事実ならば、レアアースの世界地図を大きく塗り替えることになる。

 しかし、埋蔵量がどれだけあるにせよ、現実には未だに発掘、商業化には至ってない。探査も含めて北朝鮮の独力には限界がある。採掘から分離、合金化に至るまで高度な専門技術も持ち合わせていない。

 そのため一時は、国際ファンド会社である「SREミネラルズ社」が合弁会社「パシフィックセンチュリ」を英バージン諸島に設立し、参入を試みたこともあったが、国連安保理の経済制裁で北朝鮮の鉱物輸出が全面禁止されたこともあって撤退してしまった。

 ちなみに、「SREミネラルズ社」は2013年に地質地質調査を行ったところ、驚いたことに定州地域の鉱床に推定で2億T600万トンのレアアースが眠っている可能性があると発表していた。

 今から12年前にビル・リチャードソンニューメキシコ州知事がグーグルのエリック・シュミッツ会長一行と3泊4日の日程で訪朝したことがある。表向きは北朝鮮に抑留されていた在米韓国人の釈放交渉が目的とされていたが、当時、シュミッツ会長が米企業を代行し、レアアースの交渉を行うため訪朝したとの説が流れたことがあった。 

 ヘッジファンドの先駆者として知られる「天才投資家」のジョージ・ソロス氏は2014年頃から北朝鮮に関心を寄せているが、ソロス氏曰く「北朝鮮は真っ白なキャンバスのようなもので、何でも絵になる、即ち金になる」と、制裁解除後の北朝鮮の潜在力に注目していた。

 トランプ大統領が北朝鮮に関心を寄せる理由は米国に向けられている核ミサイルの脅威を取り除くことだけでなく、北朝鮮を中国から切り離し、「ベトナム化」させ、さらには日本海に面した元山海岸リゾート地にコンドミニアムを作ることにあると言われているが、虎視眈々と狙っているのは実は北朝鮮のレアアースである。