2025年10月9日(木)

 北朝鮮軍事パレードの5つの注目点 娘の「ジュエ」は出てくるのか?

2023年7月27日の戦勝(休戦協定)70周年軍事パレード(朝鮮中央通信から)

 北朝鮮の朝鮮労働党創建80周年記念軍事パレードは今日か、明日には実施される。

 注目点及び見どころは以下の5点である。

 その1.パレードはまた夜に行われるのか?

 金正恩(キム・ジョンウン)政権(2012年〜)になってから軍事パレードはこれまで延べ14回実施されている。最後に行われたのは2023年9月9日の建国75周年記念の時だ。

 軍事パレードは7回目の2018年(9月9日の建国70周年)までは午前中(午前10時)に行われていた。しかし、8回目の2020年(10月10日の労働党創建75周年)からは広場に彩られたネオンやカラフルなLEDで粉飾された飛行戦隊から発射された光線と火花で描かれた労働党のマークや「75」の数字が鮮やかだったことから夜、時には真夜中に行われることが多くなった。夜の開催は外国の要人が出席した時も例外ではなかった。

 ロシアからセルゲイ・ショイグ国防相と中国から李鴻忠全国人民代表大会常務委員会副委員長が出席した2023年7月27日の休戦協定70周年の軍事パレードも夜8時に始まっている。序列12位の劉国中政治局員(副総理兼全人代常務委員会主任)が外国要人として唯一出席した2023年9月9日の建国75周年記念軍事パレードも午前0時にスタートしていた。

 恒例ならば、10日午前0時に開始するが、平壌の天候はその時間帯から10日午後まで雨マークなので早ければ今夜8時〜9時に前倒しして行われるかもしれない。この場合、それまでに外国の要人らが全員平壌に到着しているかが鍵となる。

 その2.李雪主(リ・ソルジュ)夫人と娘「ジュエ」の出席は?

 李雪主夫人は2018年(2月8日の朝鮮人民軍健軍70周年)と2022年(4月25日の人民革命軍創建90周年)、そして2023年(2月8日の朝鮮人民軍創建75周年)に3度姿を現している。

 娘の「ジュエ」は朝鮮人民軍創建75周年の時に母親と一緒に現れたが、前夜の宴会では金総書記の右側に着席していた。宴会には李夫人も同席していたが、報道では夫人の名前は読み上げられなかった。

 直近の2023年9月9日の建国75周年軍事パレードでは李夫人は欠席し、「ジュエ」一人で出席していた。当時、朝鮮中央通信は「金正恩総書記と尊敬するお嬢様を戴き、軍の元帥、指揮官らが幹部壇の特別席についた」と報道していた

2023年9月9日の建国75周年軍事パレードに登場した娘「ジュエ」

 娘を後継者に定めているならば、同席させたとしても不思議ではない。今年7月11日には訪朝したロシアのラブロフ外相にも紹介しているし、先月は中国にも連れて行っているので隠す必要はない。

 その3.軍事パレードで金総書記の右隣に立つVIPは誰か?

 今回の式典には中国、ロシア、べトナム、イラン、ブラジル、ニカラグア、赤道ギニアなど多くの国々から要人が招かれている。

 これだけ多くの外国の貴賓が招かれるのは中国序列3位の栗戦書政治局常務委員(全人代委員長)、ロシア連邦議会のワレンチナ・マトヴィエンコ議長、モリタニア共和国のムハンマド・ウルド・アブデルアズィーズ大統領ら外国要人が多数招待された2018年9月9日の建国70周年以来である。

 今回は特に中国からは共産党序列2位の李強総理、ロシアからも序列2位のドミートリー・メドベージェフ前大統領、そしてべトナムからは最高指導者のトー・ラム共産党書記長が出席する。7日に平壌入りしていたラオスの最高指導者のトンルン・シスリット国家主席は訪朝を終え、昨日出国しているので、軍事パレードは欠席ということになる。

 中央アジアや東南アジアから数多くの国家元首が招待された9月の中国の「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」ではプーチン大統領が習近平主席の右隣(向かって左)に立っていたことからも明らかなように1番の賓客がホストの右側に並び立つことになる。

2023年7月の休戦協定70周年では金総書記の右(向かって左)はロシアのショイグ国防相(朝鮮中央通信)

 北朝鮮が中露を重視すれば、李強総理とメドベージェフ前大統領のどちらかになるが、肩書を重視しているならば最高指導者のトー・ラム共産党書記長が陣取ることになる。誰になるのか、実に興味深い。

 その4.金総書記は演説をするのか?

 金総書記は2012年4月15日の金日成主席生誕100周年軍事パレーを皮切りに、2015年10月10日の労働党創建70周年、2018年2月8日の朝鮮人民軍健軍70周年、2020年10月10日の労働党創建75周年、そして2022年4月25日の人民革命軍創建90周年の軍事パレードで計5回演説を行っている。

 党創建80周年という節目の年であることから演説する可能性が高いと思われるが、その場合、国際社会に向けて何を語るのかに関心が寄せられるであろう。ちなみに演説時間の過去最長は2015年10月10日の労働党創建70周年での25分である。

 その5.大型大陸間弾道ミサイル「火星20」型はお披露目されるのか?

 軍事パレードでは10月4日に開催された武力装備展示会「国防発展―2025」で陳列された新型極超音速滑空ミサイル「火星11マ」をはじめとする各種極超音ミサイル、潜水艦弾道ミサイル、巡行ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、無人攻撃機など新型兵器が登場するものとみられる。

10月4日に開催された武力装備展示会「国防発展―2025」(労働新聞から)

 中でも最大の見どころは、多弾頭ミサイルとみられている超大型ICBM「火星20」型と金総書記が「間もなく世界は、我々の国防技術分野にどんな新しい目標が提示され、次の段階にどんな変化様相を帯びて進化するのかを実感することになるであろう」と豪語した「秘密兵器」が登場するのかにある。

 それと、部隊行進ではロシアに派兵された「暴風軍団」と呼ばれている第11軍団の特殊作戦部隊が北朝鮮国内では脚光を浴びることになるであろう。

 (参考資料:北朝鮮の軍事パレードで金総書記の右隣に立つVIPは中国か、ロシアか、ベトナムか、ラオスか?)