2025年9月6日(土)
北朝鮮が早速「金正恩訪中記録映画」を放映 注目すべき3つのポイント
北朝鮮で放映された「金正恩訪中記録映画」プーチン大統領と談笑する金正恩総書記(朝鮮中央テレビ)
北朝鮮の国営テレビ「朝鮮中央テレビ」は金正恩(キム・ジョンウン)総書記が中国から帰国(5日)してまだ1日も経っていないのに金総書記の訪中記録映画を流していた。これまでならば早くても1週間後、遅ければ1か月ぐらい間を置いて放映するのが常だが、今回は異例にも迅速に対応していた。
約1時間の映像は金総書記の特別列車が北京駅に到着した9月2日から帰国する4日夜まで「抗日戦争勝利80周年記念式典」に出席した金総書記の動静を中心に編成されていたが、映像を見て、気づいたことが何点かある。
一つは、金総書記に同行した「ジュエ」と称される娘が特別列車から降り立った北京駅で父親の後ろで出迎えに来た党序列5位の蔡奇弁・中国共産党政治局常務委員兼書記処書記と王毅外交部長らに挨拶するのを待っていたにもかかわらずスルーされたことだ。金総書記が娘を紹介せず、また中国側も金総書記とだけ握手を交わし、娘を無視してしまった。
娘はこの記録映画では北京駅に降り立ったところと、宿舎となった北京駐在の北朝鮮大使館に到着した時以外は映し出されてなかった。帰国の途についた時に車窓から外を眺めている写真が一枚映し出されていたが、北京での2泊3日の動静は不明のままだ。
次に、映像ではナレーターが赤いカーペットを歩く各国の首脳らの名前を読み上げていたが、韓国の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長夫妻についての言及がなかったことだ。
禹元植議長は軍事パレードが始まる前に金総書記に「7年ぶりです。お会いできて嬉しいです」と挨拶し、これに対して金総書記も「お会い出来て嬉しいです」と答え、握手を交わしたと帰国報告していたが、北朝鮮は韓国からも中国の式典に代表が招かれている事実を人民に知らせなかった。このことから強硬派の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権から融和派の李在明(イ・ジェミョン)政権になっても「韓国は相手にしない」との方針に変更がないことが読み取れる。
もう一つは、金総書記は3日にプーチン大統領と4日に習近平主席とそれぞれ単独会談を行っているが、プーチン大統領の宿舎で行われた会談では終了後、プーチン大統領は玄関で金総書記を見送っていた。それに対して習主席は歓迎宴後、玄関まで見送らず、宴会場で手を振って別れていた。親密度の違いが見て取れる。
なお、映像にはなかったが、金総書記は式典で近寄ってきたマレーシアの総理と挨拶を交わしていた。
かつては良好の関係にあった両国は2017年の金正男(キム・ジョンナム)暗殺事件をきっかけに関係が悪化し、今は国交断絶状態にある。両首脳が握手を交わしたことで今後、国交回復に向けての交渉が始まるかもしれない。
(参考資料:娘の後継擁立をなぜ急ぐのか? 「ジュエ」を訪中に同行させた金総書記の狙い)