2025年9月7日(日)
衝撃的な米海軍特殊部隊の「金正恩盗聴極秘作戦」「暗殺作戦」ならば北朝鮮はどうする!
潜水艇で浸透訓練を行っている米海軍特殊部隊ネイビーシールズの「チーム6」(出所:米海軍)
金正恩(キム・ジョンウン)総書記の電話などの通信を盗聴する装置を設置するため「2019年に米軍特殊部隊が北朝鮮に浸透した」とする米紙「ニューヨーク・タイムズ」(5日付電子版)の暴露記事は衝撃的だ。すでに広く知られているが、概要は以下のとおりである。
▲トランプ第1次政権は金総書記の核放棄に向けた意図を把握するため電子機器を仕掛けようとした。米情報機関が新たに開発した通信傍受機器による盗聴を提案していた。
▲盗聴作戦は2018年に米海軍特殊部隊の中でも「9.11」テロを主導した国際テロ組織アルカイダの首領、ビン・ラディンを殺害した前歴のある最尖鋭のネイビーシールズの「チーム6」に下された。
▲部隊を指揮する米合同特殊作戦司令部(JSOC)は米朝高位級対話が行われていた2018年秋にトランプ大統領から承認を得ていた。
▲盗聴作戦は念入りに練られ、「チーム6」は米国の海域で2019年初まで準備を重ね、ハノイでの2度目の米朝首脳会談が開かれる2019年2月前に決行された。(作戦の日時、場所などは明らかにされていない)
▲「チーム6」は原子力潜水艦で北朝鮮近海に移動し、船の往来が途絶えた時間帯を狙い、北朝鮮沖に停泊させた原子力潜水艦から特殊部隊員数人が2隻の小型潜水艇で沿岸に接近し、上陸しようとした。
▲1隻が海岸に近づいたところ、全長4mほどの北朝鮮の小型船が突然現れ、潜水艇に接近し、閃光を海に照らし、男性1人が海に飛び込んだ。発見されたと判断した隊員らは小型船及び男性に向けて発砲した。
▲北朝鮮の小型船の乗組員は数人で、全員死亡した。小型船の船内には銃や軍服はなく、漁師だった可能性がある。「チーム6」は北朝鮮軍への発覚を恐れて作戦を打ち切り、潜水艦に撤収し、こうして夜間上陸作戦は失敗した。
この報道に米国防総省は論評を避け、トランプ大統領は「私は知らなかった。初めて知った」とコメントしていた。
記事をスクープした記者は現地時間の9月5日、公営ラジオ「NPR」とのインタビューで「北朝鮮への浸透作戦は必ず大統領が直接承認しなければならない。北朝鮮の領土に米軍を投入する状況で問題が発生した場合、人質事態に繋がるケースもあり、また核戦争に発展するかもしれないからだ」と説明していた。
また、現・前当局者らが記者に秘密作戦をリークした理由について「成功事例だけを公開し、失敗を覆い隠せば、特殊部隊は無条件成功するとの誤った認識を植え付けさせかねないだけでなく、政策決定者らにも歪曲した視点を植え付けさせる恐れがあるからだ」と語っていた。
トランプ大統領は否定しているが、「ニューヨーク・タイムズ」の記事は間違いないであろう。というのも当時は「盗聴作戦」どころか、米CIA主導の「金正恩除去作戦」まで作成されていたからである。トランプ大統領は2017年4月に北朝鮮政策を再検討した際、金総書記の殺害まで真剣に検討していた。
当時、CIA長官だったポンペオ氏はこの年の7月26日、コロラド州で開かれた安全保障フォーラムで「秘密工作を含む多様な作戦を検討している」と述べ、「金正恩除去作戦」の存在を隠さなかった。
実際に2017年10月13日に釜山に入港した射程2000kmのトマホークミサイルを150発装着した世界最大級の原子力潜水艦「ミシガン」に最精鋭特殊部隊の「チーム6」の要員らが極秘裏に搭乗し、訓練を行っていた。
「人狩りマシン」.で知られる「チーム6」の要員らの演習参加が判明したのは潜水艦上部に乗せられていた円筒型の設置物がドライデッキシェルター(DDS)で、DDS内には特殊部隊要員らが水中で移動する際に利用する潜水艇が入っていた。潜水艇の最高速度は10ノット(時速約18km)で、電気モーターを使用するためノイズが低く、水深45mまで長時間潜水が可能で最大で8名まで乗れた。当時、米海軍広報担当者はこの潜水艇が海軍特殊部隊用であることは認めたものの特殊部隊の乗船事実の確認は拒否していた。
この「ニューヨーク・タイムズ」の報道に北朝鮮は9月7日午後5時現在何の反応もしていない。
全く知らなかったとすれば、相当驚愕しているはずで当然、猛反発があってしかるべきだ。▲領海を侵犯し、主権を踏みにじったこと▲休戦協定を違反したこと▲漁民を情け容赦なく殺害したこともさることながらトランプ大統領の背信行為には怒り心頭であろう。というのもそれまでに両首脳はラブレターを交換するほど良好な関係にあったからだ。
金総書記は2018年12月25日にトランプ大統領に「今でも全世界が大きな関心と希望を持って見守る中、美しく聖なる場所で閣下の手を固く握った歴史的瞬間を忘れられず、その日の栄光の再現を願っている。ファンタスティック映画の一場面を彷彿させる私と閣下のもう一つの歴史的出会いがそう間もない未来に全世界が再び見ることになるだろう」との内容のクリスマスカードを贈り、これに対してトランプ大統領もお返しに2019年1月8日に「親愛なる金正恩(国務)委員長が幸福の日になるのを祈願している。委員長の国はまもなく歴史的で、繁栄の道を歩むことになるであろう」とするバースデーカードで応えていたからだ。
仮に、この作戦が「盗聴」ではなく、「暗殺」だったとすれば、金総書記は絶対に許せないであろう。
さりとて、今頃になって、それも米紙の報道で侵入された事実がわかったとなれば、沿岸の防衛体制の脆弱さを自ら曝け出すことになり、これまた国の恥ということになる。従って、知ったかぶりしてあえて無視する可能性もゼロではない。
北朝鮮がどう対応するのか、実に見物だ。