2026年4月1日(水)

 素早い韓国の石油危機対策 「コロナ」の教訓を生かす

石油備蓄量をチェックするソン・ジュソク社長ら韓国石油公社役員(出典:韓国石油公社)

 湾岸諸国の石油への依存度が高い韓国も、中東危機の影響をもろに受けている。ガソリン価格が急騰し、エネルギー危機が叫ばれている。

 韓国の石油備蓄量は約200日前後と見積もられているが、中東危機が早期に終息しなければ、経済や庶民生活に深刻な影響をもたらすことになる。

 韓国政府は当面の対策として財源規模26兆2000億ウォンの補正予算案を編成している。内訳は、高油価負担の軽減に10.1兆ウォン、民生安定に2兆8000億ウォン、産業被害の最小化とサプライチェーンの安定化に2兆6000億ウォン、地方財政補填に9兆7000億ウォン、国際返済に1兆ウォンとなっている。

 また、国を挙げてこの危機を乗り切るための対策も打ち出している。新型コロナウイルスが蔓延した際には、10分でできるドライブスルー型PCR検査体制をいち早く導入したが、今回も早々に気候・エネルギー環境部がソウル市を始め全国17の市・道とともにエネルギー節約のための協力会議を開き、公的部門における乗用車の5部制を導入し、3月25日午前0時から実施している。

 車両ナンバーの末尾を基準に、月曜日は1と6、火曜日は火曜日は2と7、水曜日は3と8、木曜日は4と9、金曜日は5と0の車両が運行制限の対象となる。運用時間は通常、平日の午前7時から午後7時までで、土日および祝日は除外される。

 「コロナ」の際にも、マスク不足対策として、生年月日の末尾が1と6の人は月曜日、2と7の人は火曜日、3と8の人は水曜日、4と9の人は木曜日、5と0の人は金曜日に1人に付き2枚まで薬局や郵便局で購入できる措置が取られたことがあった。

 今回、適用対象車は、政府・地方自治体・公共機関に出入りする車両(約150万台)だけでなく、来訪者の車両も含まれる。ただし、軽自動車や身体障害者・妊婦使用の車両、幼児送迎車、緊急車両、報道用車両、外交官用車両などは除外対象である。また、電気自動車や排気量1000cc未満の車両も対象外となる。

 仮に一般市民が公共機関を訪問する際に5部制に違反したとしても、一般道路での速度違反のように自治体や警察から直接的な過料(罰金)通知を受けることはない。しかし、過料がないからといって不利益がまったくないわけではない。公共機関の内部指針により、違反車両は庁舎への進入が拒否されるほか、その機関に勤務する公務員が違反した場合は、人事上の不利益や成果給算定時の減点要因となり、4回以上の違反で懲戒処分の対象となる。

 ちなみに「コロナ」の際、日本では人権上の問題もあり、本人の同意なく強制的に隔離することはできなかったが、韓国では感染者が隔離を拒否した場合、逮捕も可能とされ、1年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金が科せられた。

 韓国は今後、車両に限らず、「コロナ」の際と同様に段階的に規制を強化していく方針とみられるが、2013年に電力不足の危機に見舞われた際には、ブラックアウト(大規模同時停電)を未然に防ぐため、企業や一般家庭に対して以下のような節電を呼びかけ、実施していた。

 1.産業界に対して
▲冷房の30分中断
 電力消費の多い時間帯に、ビルや職場のエアコンを順次30分中断する。

▲適切な室内温度の維持
 デパートやホテルなどの大型商業施設では、室内温度(26度)を維持する。

▲インセンティブの支給
 電力消費の多い時間帯を避けて操業する場合、節電量に応じて企業にインセンティブを支給する制度を施行する。

▲休暇日程の調整
 企業間で休暇日程を分散し、電力使用の集中を避ける。

▲勤務時間の調整
 電力消費の多い時間帯に勤務時間を調整する(調整が困難な業種は自家発電を最大限に利用する)。

▲発電所の整備日程の調整
 毎年春に実施される発電所の予防整備を秋に変更し、夏の電力需給に支障が出ないようにする。

 2.オフィスや一般家庭に対して
▲使わないプラグは抜く
 年間で電気使用量を約1か月分節約できる。

▲室内温度を26〜28度に維持する
 冷房温度を1度上げることで、年間約7%のエネルギー節約効果がある。

▲勤務中はネクタイを外す
 体感温度を下げる効果がある。

▲昼食時間は事務所のモニターを切る
 コンピューターの消費電力の60〜80%を節約できる。

 原油危機がさらに深刻化すれば、こうした節電計画が復活する可能性もある。