2026年4月11日(土)

 イスラエルと韓国がバトル 李大統領のイスラエル批判が引き金

李在明大統領(出典:青瓦台)

 今朝、李在明(イ・ジェミョン)大統領はイスラエル政府に対し、真正面から「失望した」と批判していた。

 何のことかと言えば、前日にイスラエル政府が李大統領のSNS投稿について「容認できない」と反発したことに対し、李大統領が言い返したのである。

 イスラエル政府は、李大統領の10日のX投稿に反発していた。というのも、李大統領が2024年にガザ地区で撮影された映像を持ち出し、「絶え間ない反人権的・反国際法的行為によって苦しんでいる世界中の人々の指摘を、一度は振り返るべきなのに失望している」と、中東で起きている事態について言及していたからだ。

 この映像は2024年にガザ地区で撮影されたものとされ、投稿者は「兵士はイスラエル国防軍であり、落とされた人物はパレスチナの子どもだ」と主張していた。李大統領は自身のXで武装した兵士たちが建物から人を突き落とす映像を共有していたのである。李大統領は一応「事実かどうか、事実であればどのような措置が取られたのか確認する必要がある」と断りながらも、「我々が問題視する慰安婦の強制やユダヤ人虐殺、戦時の殺害と変わらない」とイスラエルを非難していた。 

 イスラエル外務省は、李大統領の10日のSNS投稿について、「ホロコースト追悼日を前にユダヤ人虐殺を軽視する発言をした」として「受け入れられず、強く非難されるべきだ」と批判した。さらに、李大統領が言及した映像について「2024年の出来事を現在の出来事のように歪曲して提示した」とし、「当該内容は反イスラエルの虚偽情報を拡散してきたアカウントに由来する」と反論した。

 これに対して李大統領は今朝のSNSで、イスラエル外務省の反論を掲載したうえで、「自分が苦しければ他人も同じだけ苦しいものである」とし、「自分の必要のために誰かが苦しむなら、申し訳なく思うのが当然だ」と述べ、改めてイスラエルを窘めていた。

 さらに李大統領は、「いかなる状況でも国際人道法と人間の尊厳は妥協できない価値だ」とし、「このような惨劇が繰り返されてはならない。どのような状況でも国際人道法は遵守されるべきであり、人間の尊厳もまた最優先の価値として守られなければならない」と述べ、イスラエルのレバノン爆撃を念頭にイスラエルを非難した。

 韓国とイスラエルが公然と対立するのは珍しい。両国は重要な協力パートナーであり、伝統的に友好関係にあるためだ。

 共通点は多い。地政学的には、両国とも建国以来、隣国との緊張の中で生存してきたことから、安全保障・防衛を最優先としている。また、いずれも米国と同盟関係にあり、天然資源の不足という厳しい条件の下で、人材と技術によって成長と繁栄を遂げた国でもある。

 人口・領土ともにイスラエルの約5倍である韓国は、イスラエルを建国と同時に承認し、1962年には大使級の外交関係を樹立した。韓国はテルアビブに、イスラエルはソウル鍾路区にそれぞれ大使館を置いている。また韓国は、アジアで初めてイスラエルとFTA(自由貿易協定)を締結した国でもある。

 両国は、ミサイル防衛システムの構築や兵器開発、対北制裁など、軍事・安全保障分野で強固な協力関係を維持している。

 1970年代のオイルショック以降、石油とドル確保のため韓国がアラブ諸国との関係強化を進めたことで、両国関係が疎遠となり、1978年にはイスラエルが大使館を撤収した時期もあった。しかし現在でも、イスラエルはトルコと並び、中東において韓国が最も信頼できる国の一つとされている。

 米国を介して強固な関係を維持している両国だが、近年の韓国は民主化の流れと国益優先の立場から、イスラエル一辺倒とはいかず、距離を置く場面も見られる。エルサレム宣言の際にも、韓国は「エルサレムの最終的地位は中東和平プロセスを通じて解決されるべきだ」との原則的立場を維持し、国連総会での拒否決議ではフランス、ドイツ、日本など他の西側諸国とともに賛成票を投じた。また、トランプ政権が進めた米国大使館のエルサレム移転案に関する国連採決でも、米国とイスラエルに同調せず、反対票を投じている。

 過去にイスラエルの大統領や首相が数回韓国を訪問したことはあるが、韓国の歴代大統領はアラブ諸国への配慮から、国交樹立以降一度もイスラエルを訪問していない。イスラエル政府は、韓国大統領による答礼訪問がないことに触れ、暗に不満を示していた。