2026年4月14日(火)

 李大統領の「イスラエル非難」発言の波紋 在イスラエル韓国人会長は反発

韓国の李在明大統領(出典:大統領室)

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が10日と11日、SNSを通じてイスラエルを批判したことは、内外で大きな波紋を呼んでいる。

 「勇気ある発言だ」と称賛する声がある一方で、韓国国内では野党や一部保守メディアから「一国の大統領としてあるまじき振る舞い」と批判されている。

 李大統領の発言について、他の外国首脳からの連鎖的な反応はないが、海外ネットユーザーの間ではどうやら共感を呼んでいるようだ。中には、自国の指導者たちが沈黙を続けていることへの苛立ちや不満などもうかがえる。

 アラブ圏では当然のように、李大統領の「特定の国家が建国以来70年間、パレスチナ人に過酷な悲劇を与えてきた」との言葉に共感の輪が広がっており、同じイスラム圏のインドネシアでは「韓国の大統領が国際舞台でインドネシア大統領よりも勇敢に特定の国を批判するとは、誰も予想していなかった」との書き込みがあった。

 また、中国では「李在明大統領、あなたはとても勇敢だ」と称え、なぜか李大統領に「となりのトトロ」というニックネームまで付けていた。日本でも「韓国の大統領だが支持する。まともな発言をする人が大統領だなんて韓国人がうらやましい。日本国民も頑張らなければならない」といった声が上がっている。

 李大統領に肯定的な反応が多く寄せられる一方、李大統領から正面から批判されたイスラエルは、外務省が公式アカウントを通じて「ホロコースト追悼日前夜にユダヤ人虐殺を軽視するかのような李大統領の発言は容認できず、強い非難に値する」と猛反発している。

 イスラエルは、「この事件の中心にいたテロリストについて李大統領から一言も言及がなかった」と批判したうえで、「(李大統領は)最近イランやヒズボラがイスラエル市民に対して行ったテロ攻撃についても沈黙している」と強く非難した。

 イスラエル政府の抗議に対し、韓国外交部は「特定の事案への介入ではなく、普遍的人権に対する信念を表明したものだ」と釈明し、事態の収拾を図った。しかし李大統領はその後も追加メッセージで「絶え間ない反人権的行為について世界の指摘を振り返るべきなのに残念だ。自分が痛ければ他人も痛いものだ」と書き込み、一歩も退かない姿勢を示した。

 それでも肝心の国内では、イスラエル外務省の声明に大統領が再反論したことについて、最大野党「国民の力」から「史上最悪の外交惨事」と批判され、同党の重鎮、安哲秀(アン・チョルス)議員も「大統領のイスラエル批判は事実上の利敵行為だ。売国外交をやめるべきだ」と加勢した。さらに同党の趙容述(チョ・ヨンスル)報道官は「北朝鮮には沈黙、外国には口出し――李在明式の選択的人権外交の実態」と題した論評を発表し、大統領を痛烈に批判した。

 特に、李大統領にとっては予想外だったのは、イスラエル韓国人会の李ガングン会長からの批判である。

 李会長は自身のSNSで「李在明大統領の発言が大きな問題となっている。イラン戦争休戦の日、イスラエルの国家非常事態が終了する日、イスラエル裁判所はネタニヤフ裁判の再開を通告します。これが民主主義の力です。イスラエルのように李大統領も裁判を受けたらどうですか。それが正常国家というものです。一国の大統領がこうした発言をするのを見ると、李大統領は韓国の大統領ではなく、まるで野党の代表のようです。この言動でイスラエル在住の韓国人が被る苦痛がわかりますか。大統領として適切ではありません。困らせないでください」と、李大統領に不満をぶつけていた。

 李大統領は今朝、自身のXに野党の抗議を念頭に「内輪もめに執着するあまり、地球侵略を企てる火星人の側につくような構えだが、まずは地球を救うべきではないか」と書き込んだが、それ以上は踏み込まなかった。青瓦台で主宰した閣議兼第5回非常経済点検会議でも、中東情勢に関する外交部の対応状況の報告を受け、「戦争当事国も普遍的人権保護の原則と歴史の教訓に基づき、世界が切に望む平和に向けて勇気ある一歩を踏み出してほしい」と一般論に留めていた。

 少し腰が引けたのか、李大統領は南北外交戦では常に韓国に与し、「日本海」ではなく、「東海」と呼称するぐらい伝統的な友好国であるイスラエル国民に韓国が「反イスラエル」「親イラン」に受け止められないよう、またイスラエルと同盟関係にある米国の感情をこれ以上逆なでしないよう軌道修正を図ろうとしているようだ。

(参考資料:イスラエルと韓国がバトル 李大統領のイスラエル批判が引き金)