2026年4月26日(日)
トランプ大統領同様に金正恩総書記も暗殺を警戒! 実際にあった2017年の「金正恩暗殺未遂事件」!
昨年北朝鮮で公開された「金正日暗殺未遂事件」を題材にした映画「対立の昼と夜」のワンシーン(出典:「NKニュース」)
ワシントンのヒルトンホテルで開かれたホワイトハウス記者会主催の夕食会で発生した銃撃事件に、トランプ大統領は肝を冷やしたのではないだろうか。大統領選の遊説中に起きた銃撃事件で間一髪、命拾いした出来事に続くトランプ大統領にとっては衝撃的な事件である。
容疑者の詳細はまだ明らかにされていない。しかし、西部カリフォルニア州の在住者であるならば外国人ヒットマンではなく、米国人、もしくは米国市民権を持つ人物による犯行の可能性が高いとみられる。
トランプ大統領は、国内の過激な反トランプ勢力だけでなく、最高指導者ハメネイ師を殺害されたイランや、襲撃を受けマドゥロ大統領が拘束されたベネズエラなどからも命を狙われているいるだけに、今後も注意が必要だろう。
今回のテロ事件を「対岸の火事」あるいは「他人事」と見ていない指導者がいるとすれば、それは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記にほかならない。というのも、金総書記は「金正恩斬首作戦」を検討していた朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016〜17年にかけて命を狙われたことがあったからだ。
北朝鮮のスパイおよび反体制派取締機関である国家保衛部は、保衛省時代の2017年5月5日、「米CIAと韓国国家情報院(国情院)の指令による最高首脳部(金総書記)への国家テロを企てた一派を摘発した」と発表したことがあった。
発表によれば、「米CIAと国情院が結託し、ロシア・ハバロフスク地方の林業に出稼ぎに行っていたキム・ソンイルという名の労働者を買収。帰国後、錦?山太陽宮殿での行事や閲兵式、大衆集会の際に最高首脳部を狙った爆弾テロを実行させる計画だった」という。
捜査内容は以下のように詳細だった。
「ロシア滞在中、テロに必要な装備、資材、資金は情報院が全面的に提供し、具体的な指令を与えた。また、2回にわたり2万ドルの資金と衛星送受信機材を渡し、使用に習熟させた」
「国家情報院の関係者は平壌に定着したキムと衛星通信で連絡を取り、2016年1月、5月、8月、9月に作戦名とともに、生化学物質による各種テロ手法や対象者の買収方法、行事場への潜入方法を提示。最も効果的で成功確率が高く、安全な方法を選び報告するよう指示した」
「2016年8月12日には、行事が頻繁に行われる場所の周辺環境や監視状況、行事の秩序など、生化学テロに関する詳細な資料の送付を指示。米中央情報局と協力して最も合理的な案を検討するため可能な限り多くの情報収集を求めた。また、テロ用装備や資材、資金を安全に搬入するため海外連絡拠点の設置を促し、その資金として2回にわたり10万ドルを提供した」
「さらに、2016年11月4日及び翌年4月13日、17日、20日には首脳部テロに使用する生化学物質と装備の種類の確定、米CIAへの依頼、テロ実行者の信念や洗脳教育の状況確認、資金提供の事実が露呈した場合のリスクへの警戒などについて、繰り返し指令が出された」
「国家情報院長リ・ビョンホは、キムを『民族と国家情報院にとって非常に貴重な存在』と持ち上げながら作戦を直接組織し、『国家情報院チーム長』のハンおよび要員チョ・ギチョルらに実行を指示。殺害指令は実に80回以上に及んだ」
北朝鮮当局が「将軍様」へのテロ未遂を公表するのは極めて異例である。これまで、隙のない一枚岩の体制と、最高指導者と国民の「一心団結」を強調してきただけに、自らの脆弱性を認めることは体制の威信を損なう行為に等しいからだ。
当時、韓国情報院はこの件について「関知していない」と一蹴した。しかし、その後、韓国のテレビ「Channel A」の週一番組「今会いに行きます」にキムと連絡を取ったとされる関係者が登場し、「今だから話す」として、国情院とコンタクトし、実際に資金や機材、情報を提供し、キムを勧誘した、と証言していた。証言者は驚いたことに韓国で脱北者の救出活動を行う人権団体の都フィユン代表だった。
都代表は2002年に北京のスペイン大使館に25人の脱北者が駆け込んだ事件を手配したことで知られている人物である。都代表によると、ロシア滞在中のキムから直接連絡があり、約2年間メールで連絡を取り合っていたという。
金総書記が2018年に板門店で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、またシンガポールでトランプ大統領と首脳会談を行う度に妹の金与正(キム・ヨジョン)党部長が、あるいは警護員が、会談場所のテーブルやひじ掛け椅子を布で消毒する場面を見て、違和感を感じたが、その理由がなんとなくわかったような気がする。
金総書記もまた、トランプ大統領同様に身の危険を感じているのであろう。