2026年4月27日(月)
ロシア国防相は制圧を目指すドンパス地方にも北朝鮮に派兵を要請か?
ロシアのベロウソフ国防相一行と会談する金正恩総書記(朝鮮中央通信から)
ロシアのベロウソフ国防相が4月26日、のが4月26日、訪朝した。北朝鮮が対露派兵を称えるために建設した「海外軍事作戦戦闘偉勲記念館」の完工式にウォロジン下院議長と共に出席するためだと報じられている。
ウォロジン下院議長はプーチン大統領の名代として出席するが、ベロウソフ国防相には別の目的もあるようだ。
ベロウソフ国防相にとっては、プーチン大統領の訪朝(2024年6月18日)時を含め今回で3度目となる。前回、2024年11月の訪朝は、ロシア連邦軍事代表団団長としての電撃訪問だった。それも、ロシア連邦安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記の9月13日の訪朝から、わずか2か月後のことである。
当時は、ウクライナ軍に占領されていたロシア西部クルスク州で、ロシアが約5万の兵力を集結させて大規模攻撃を仕掛け、また米国がウクライナ軍による米国製兵器の使用制限を緩和し、地対地戦術誘導ミサイル「ATACMS」によるロシア本土攻撃を容認したタイミングでの訪朝だった。
ベロウソフ国防相が平壌に到着した日に応対した金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「米国と西側がキエフ当局を押し立て、自国製の長距離打撃兵器でロシア領土を攻撃させたことは、紛争への直接的な軍事介入であり、反ロシア戦争の侵略的実体が前面に現れたものだ。敵対勢力が相応の代償を払うようロシアが断固たる行動を取るのは正当防衛権の行使である」と述べ、「今後もロシア連邦の政策を変わることなく支持する」と表明した。
北朝鮮は、ウクライナ軍がクルスクに侵攻してから約2か月後の10月に約1万人規模の特殊部隊を中心とする兵力を派遣した。その結果、形勢は逆転し、劣勢に立たされたウクライナ軍は2025年4月にはクルスクから撤退した。この時点で、北朝鮮の海外軍事作戦、いわゆる「クルスク解放」は終了したといえる。
昨年4月26日に開催された党中央軍事委員会で、金総書記は「朝ロ両国の軍隊が肩を並べ、同じ塹壕で血を流して戦い収めたこの勝利によって、約9カ月に及ぶクルスク地域の占領が終息した」と述べ、目的達成を強調した。しかし、北朝鮮軍は依然としてクルスクを含むロシア領内に駐留している。ロシアの特別軍事作戦が完全に終結していないためである。
ロシアはウクライナに停戦条件あるいは和平案として、ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の割譲を迫っているが、ウクライナ軍の抵抗にあって戦況は一進一退が続いている。膠着状態を打開するには、さらなる決定打が必要とみられる。
プーチン大統領は、クルスクにおける北朝鮮軍の戦闘を高く評価しており、ハルキウやマリウポリといった激戦地への進出を期待している可能性がある。但し、ハルキウ州は現在もウクライナの主権下にあり、仮に北朝鮮軍が侵入すれば明白な領土侵犯となる。
北朝鮮の対露派兵は「露朝包括的戦略パートナーシップ」の第4条、すなわち「一方が武力侵攻を受けた場合、軍事援助を行う」との規定に基づいている。このため、ロシア領防衛に限定されている。金総書記も昨年5月9日、ロシアの対独戦勝記念日に際し、モスクワ訪問の代わりに平壌のロシア大使館を訪問し、行った演説で「キエフのネオナチ勢力がロシア領に侵攻する蛮行を行わなければ、このような事態にはならなかった」と、派兵の正当性を主張していた。
仮に戦闘地域をウクライナ本土に拡大する場合、大義名分だけでなく、それに見合う見返りが必要となるであろう。