2026年4月6日(月)
「トランプなら北朝鮮を攻撃するかも」は第1次政権時の「決断」とイラン攻撃が根拠
金正恩総書記とベネズエラのマドゥロ大統領(労働新聞とトランプ大統領のSNSから筆者キャプチャー)
トランプ大統領は、まるで「反米国家」狩りをしているかのようだ。ベネズエラに続き、イランが終わればキューバに狙いを定め、そして最後は北朝鮮――という見方が韓国の保守層では広まっている。脱北団体の間では待望論さえ沸騰している。
核を保有している国への攻撃は、常識では考えられない。これまで米国が武力侵攻してきた国は、パナマからグレナダ、イラク、セルビア、アフガニスタン、シリア、そしてイランに至るまで、非核保有国ばかりだ。北朝鮮は米合衆国50州を攻撃できるだけの数の核爆弾と、「火星14」から「火星20」までの大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有している。トランプ大統領もそのことを認知しているはずだ。
それでも「イランを石器時代に戻す」とか「地獄まで48時間」といった、イランに対する正気を逸した最近の言動を見ると、もしかすると北朝鮮に対してもやりかねないとの疑念が生じる。
第1次政権の時も、トランプ大統領は、6回の核実験を行い、プルトニウム型、ウラン型、そして水爆まで手にし、グアム、ハワイ、アラスカ、さらに米本土にまで届く弾道ミサイルを開発した北朝鮮に対して本気で攻撃を検討していた。
トランプ第1次政権当時に国土安全保障省長官の顧問を務めたマイルズ・テイラー氏は、2023年に出版した著書「逆流――トランプ再選から民主主義を守るための警告」の中で、「彼が(金正恩に対して)『炎と怒り』に言及した当時、核紛争をほとんど歓迎しているかのように見え、私たちは恐怖に駆られた」と振り返っていた。
テイラー氏によると、国土安全保障省の高官全員が集まり、北朝鮮の核危機について議論し、専門家たちは米本土への核攻撃に関する様々なシナリオを検討し、対応計画を点検していた。テイラー氏は、「トランプ政権時代に、本土への核攻撃を含め、実際に戦争に踏み切る可能性を検討したのは、これが初めてだった」と付け加えている。
テイラー氏の著書が世に出る2年前、米国の著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏もまた、「激怒」という表題の本を出版しているが、その中に80発の核兵器に関するくだりがある。
ウッドワード氏は、「2017年、マティス国防長官はトランプ大統領が北朝鮮への先制攻撃を行うとは考えていなかったが、戦争のための計画は準備されていた」と記し、米ネブラスカ州の戦略軍司令部が北朝鮮の政権交代を目的とした「米韓連合作戦計画5027」を綿密に検討していたが、この計画には「攻撃時に80発の核兵器使用の可能性が含まれていた」と記述している。
米戦略軍は長距離核爆撃機、ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)という三本柱の核戦力を運用しており、韓国などの同盟国が核攻撃を受けた場合、米本土が攻撃された場合には、同等の戦力で報復・打撃するという拡大抑止を提供している。特に米国は北朝鮮に対して具体的な核攻撃計画を持っており、米本土を脅かし得るICBMを保有する北朝鮮への核攻撃については、韓国への事前通告なしに行われることになっていた。
平昌冬季五輪に北朝鮮が代表団を派遣したことで、朝鮮半島の緊張は一時的に緩んだが、当時マクマスター大統領補佐官は、平昌五輪への参加表明など柔軟姿勢を示した金正恩(キム・ジョンウン)総書記の新年辞について、「新年辞を聞いて安心する人がいるとすれば、正月にシャンパンを飲みすぎたからだろう」と述べた上で、「北朝鮮の非核化を強制的に導く」と、北朝鮮への武力行使を示唆していた。実際に、「米国は五輪期間中も『鼻血作戦』を決行するための演習を秘密裏にハワイで行っていた」と、米紙ニューヨーク・タイムズ(2018年2月28日付)が報じていた。
「鼻血作戦」とは、先に殴って出血させることで震え上がらせ、反撃する気を喪失させる作戦のことである。あるいは、相手の報復を招かないレベルで制限的打撃を加え、反撃すれば破壊も辞さないとの警告を発する作戦を指す。いずれにしても、先制攻撃であることに変わりはない。
元米空軍副参謀総長のトーマス・マキナニー氏は、2017年8月、フォックス・ビジネスのインタビューで、「もし金正恩がソウルを爆撃すれば、米国の核による反撃で15分以内にすべてが終わる。北朝鮮のすべての都市は消えるだろう。北朝鮮がソウルを攻撃すれば、米国は直ちに『クローム・ドーム』と呼ばれる戦略核爆撃を行うため、北朝鮮には何も残らない。攻撃命令とともに、我々の巡航ミサイル2000発が発射される」と述べていた。
米国は「Xデー」に向け、韓国在留の米国人を密かに米空軍の輸送機で韓国から退避させる訓練を行っていた。退避は駐韓米軍の配偶者と直系家族および米大使館員ら政府関係者が最優先で、優先順位の2番目がその他の米国市民であり、彼らは韓国軍が提供する列車で最南部の釜山に移動し、そこから輸送船で脱出することになっていた。
国連のジェフリー・フェルドマン事務次長(当時)が訪朝し、米朝を仲介し、シンガポールでの米朝初の首脳会談が実現したことで事なきを得たが、当時、トランプ大統領の以下の発言を思い出さざるを得ない。
オバマ元大統領は「戦争になれば韓国が深刻な影響を受ける」として軍事オプションを選択しなかったが、トランプ大統領は「戦争になればあっちで死に、こっちではない」と発言していた。「あっち」とは朝鮮半島の人々を指していることは言うまでもない。